5月12日

 信じられない光景を目の当たりにした。

 なぜか、小学校の校長室で校長先生とお話をしていたとき。がらりと入り口の引き戸が開いてのぞいたのは、小学校2、3年生の子ども4人。「せんせーい」と入ってきた様子からすると、どうも、お話をしたくて入ってきたらしい。

 自分が小学生のころ、校長先生といえば、子どもから見ればおじいさんで、なぜか偉そうにしていて、意味もなく怖かったから、校長室の前を歩くときなどは、音を立てないように足早に通り過ぎたものだ。「お、悪い悪い、いまお客さんが来ているから今は相手できないんだ。また今度ね」と話す校長先生の姿を見れば、「いまどきの子どもはずうずうしい」という話ではなく、校長先生の人徳としか思えない。子どもに好かれるってことは、日ごろの接し方がきちんとしているということだろう。良い先生だな、と思った。

 世の中、いろんな問題が噴出して、どこから手をつけたら暮らしやすくなるのか皆目見当がつかないぐらいだが、いろいろ考えていくと、教育の大切さに思いが至る。やはり社会が良くなっていくには、次の社会を担う人たちをきちんと育てないといけないのだ。ところが、いまの学校は新しい時代を感じて変化しているわけじゃない。どんな処方せんがあるんだろう、とまったくの門外漢が余計な心配をしていたのだが、謙虚にきちんと子どもと接する校長の下、地域の人をボランティアとして積極的に校内に招くこの小学校をみて、ヒントをもらった気がした。