5月11日

 今回の連休で一番やりたかったのが幌の交換。15年ものの幌は縮んでひび割れてあちこちに穴が空いてきて、もうそろそろ限界に近い。今は自転車置き場をカーポート代わりにしているから良いけれど、青空駐車をしたら間違いなく内装にカビが生えてしまうぐらいの状態だ。

 幌の交換ぐらい、お店に任せてしまっても良いのだが、余分なものが付いている僕の車はちょっと手間がかかる。たぶん、ロードスター専門店でもない限り、持ち込んでも断られるんじゃないだろうか。

 幌を外すにはシートベルトの根元付近にあるボルトを外す必要がある。僕の車には石井自動車の「ど〜だバー」が付いているので、幌交換の前にまずはど〜だバーを外さなければならない。ど〜だバーを外したければ、ど〜だバーと一体化するように付いているど〜だロールバーも外さなければならない。まず、幌にたどり着くまでがやっかいなのだ。ロードスター専門店も知っている人ばかりでこんな面倒な作業を押しつけられないから、自分でやるしかない気がする。

 で、マツダに勤めている親戚がいる友だちに頼み、NAノーマル幌やウエザーストリップを取り寄せておいた。で、連休中に富山の車屋さんにおしかけ、おもむろにロールバーや内装をバラし始めて分からないことがあったらやり方を教えてもらう(いや、やってもらう)作戦だ。

 ど〜だバーをばらしながら思う。なんて頑丈に作ってあるんだと。感心しているんだか、めんどくさくて腹が立っているのか訳の分からない状態でがしがしととにかくボルトをゆるめていく。幌回りのボルトの多さに閉口しながら、無言で外す。なんだか最近、以前よりも体力がなくなっちゃったらしく、少し作業をしては呆然としてしまうので、遅々として進まない。

 ようやく幌を外して、構造を見ながら幌骨から幌を外していく。リベットはドリルを借りて外す。途中まで丁寧に外していたのだが、途中から面倒になってカッターナイフを使う。車上荒らしがこんなに簡単にできる車もない。

 15年も使われてきた幌骨なので、あちこちにさびが浮いている。黒の塗装の下からさびが浮き出していて、エアツールを借りてさびを削るとかなり広範囲にさびが広がっていた。もう15年使わなければならないので、丁寧に削って塗装し直すことにする。

 そこで車屋さんに「シャーシブラック貸して(はあと)」とお願いする。「はいよ〜」と出てきたのが、ペール缶に入った業務用シャーシブラック。エア配管をつないで吹く。さすが車検整備をするだけあって、スプレー缶なんかは使わないらしい。

 スプレーでしゅしゅっと吹くつもりが巨大なエアツールが来てしまったものだから困った。加減が分からないものだから、レバーを引くとどばっとシャーシブラックが噴射される。結局、どばっと吹いてどろどろっとたれて醜く仕上がってしまった。ま、どうせ幌で隠れる場所だから良いのだけれど。

 幌にレインレールをリベット止めする。手伝ってもらった人曰く「お前、けっこう不器用だな」。車いじりは器用不器用よりも、根気が大切なのかもしれない。

 朝から初めて、夕方までやってここら辺までで終了。幌交換の隣では翌日のレースに出場するレースカーの整備が進む。前まで真っ白だったスターレットが、メタリックブルーと黄色のツートンカラーで塗られ、レッドブルのかっちょいいステッカーが張られて、見た目ではすでに優勝している。

 トラブルが発生し、そのスターレットを一度間瀬サーキットに置いてくることに。レースドライバーは休んでもらうことにし、僕が助手席でおつきあいをする。積載車なのに一度も高速で抜かれることもなく間瀬に到着。そのままとんぼ返りして、海沿いのワインディングや高速道路を飛び跳ねながら再び富山に戻った。

 2度目の間瀬はビールを飲んでから楽ちん車の後部座席に座ったら、間瀬まで意識を失っていてまるでワープをしたみたいだった。タイム計測をお手伝いし、行きにちゃんと寝ていて睡眠が足りていた僕が運転して富山に戻る。

 宴会後、ソファで意識を失い連休、最終日を迎える。その日のうちにちゃんと幌を付けないと運転しながら傘をさして帰る羽目になるので、朝から再び作業。

 幌骨に幌を付けていく作業はほとんどやってもらった。エアツールのリベッターで幌と幌骨をリベット止めしたり、指先を痛めながらハンドパワーで幌骨に幌を固定したりとけっこう大変。車に載せて、今度は逆の作業。車体に幌骨を固定し、大量のボルトを止めて、ど〜だバーを取り付け、ど〜だロールバーを取り付け、と作業を進める。最後にど〜だロールバーのあて板を付けるのを忘れるトラブルがあったが、なんとか夜までには作業は終了。

 幌を閉めようとしたが、きつくてなかなか閉まらない。幌交換後、3日間は幌を開けない方が良いみたい。

 今はリアスクリーンが存在しないかのような後方視界。るんるん気分である。