なぜか仕事場にあるカラー現像機が先日、ぶっこわれた。予兆はあった。ここ1、2年、フィルムを現像に掛けると、「ぶぉんぶぉん」とものすごい騒音がしていた。こんなものだろうと、だましだまし使っていたのだが、先日、ついに音を上げてしまったのだ。変なエラーが続出。フィルムの乾燥には200Vの電源を使っているのだが、この電源が来てないと言うようなエラーが出る。電話で技術者に聞いてみると「ブレーカーが落ちていないか」とのこと。ねじを外して電源部を見ると、案の定ブレーカーが落ちていた。
通電すると、エラーがぴたりとやんだ。よかったよかったと、フィルムを現像する。すると、間もなくとんでもなくまずそうな、焦げ臭いにおいが仕事場内に立ちこめた。いまにも燃え出しそうなにおい。これはやばいやばいと、電源の100Vと200Vのブレーカー両方を落として、修理を依頼する。
修理に来たおじさんは「乾燥部に水を掛けたんじゃないの? よくあるトラブルよ」と言って、ちょいちょいっと調整してテスト現像を始めた。すると「ガガガガガ」と、尋常ではない音が発生。おじさんもようやく事の重大性に気づいた。
どうやら、現像液をくぐって濡れたフィルムを乾燥する、ドライヤーのようなモーターが焼け付いたらしい。ここ1、2年の騒音はこいつが原因だ。ベアリングにでもがたが来ていたらしく、たたいたり蹴ったりしてだましだまし使っていたのがついに降参して、モーターが焼き付いてしまったのだ。ブレーカーが落ちたのは、焼き付く前兆の過電流のためか。その後の焦げ臭いにおいは、完全にモーターが死亡したにおいだと思う。
このおかげで、1日中仕事もせずに現像機にかかりっきりなってしまった。まず、スペアのモーターを受け取るために仕事場に待機。ターボチャージャーみたいな形の送風モーターが届くと、すぐ修理のおじさんもやってきたので、修理を手伝う。
30分もあれば終わりそうな作業。しかし、トラブルが続出する。まず、届いたモーターの寸法が微妙に違って、他の部分と干渉し、取り付けができない。現像液の一部を抜いて、大胆にばらす。このとき、長年現像液の攻撃を受けていたねじが腐って、なかなか外れないものがあった。おじさんは電車で来たのであまり工具を持っていない。仕事場に横付けしてあったロードスターからおもむろに工具を取り出して貸してあげる。車からさまざまな工具が取り出されたのを見ておじさん、びっくりしていた。
腐ったねじはKNIPEXのウオーターポンププライヤー(アリゲーター)でゆるめることができた。干渉している部分を対策。モーターは付いた。
やれやれ、と再び現像機を組み立てていく。すると、新しく来たモーターの電源部分のコネクターの形状が違う。仕方なく、配線をぶち切って古いコネクターと付け替えることに。電線を確実につなぐため、半田付けをした。
ようやく付いて、やれやれと現像機の暖気をする。現像液は39度まで暖めなければならない。スイッチを入れると20度ちょっとしかない。30分以上待つ。
現像液もあたたまり、テスト現像をしようと思ったら、先ほど外した現像液のタンクの中身が少なくなっていることに気づいた。開けてみると、現像機の中は洪水状態。タンクに穴が開いていた。ちょうどロードスターに積んであったバンパー用パテで修理。どうやら、腐って穴が開きかけていたのが、修理でいじった拍子に開通してしまったらしい。
ようやくテスト現像。うまくいった。やれやれと、仕事で使うフィルムを現像する。すると、また変なエラーが。ヒーターのヒューズが切れていた。それの修理も終わって、気が付くと午後3時すぎ。機械を相手にしただけでなんの仕事もできなかった。
おじさんの話によると、この現像機は他のものより故障が少なかったらしい。機械って、1カ所が壊れると、同時多発的にいろいろな部分が壊れる。
で、なんでこんなわけのわからないことを長々と書いているのかというと、連日あまり仕事をしていない後ろめたさに対する、いいわけなのです。