5月21日

 昨日は同期と飲みに行ったものの、ビール4杯に留めて置いたから今日の朝はそれほど不快ではなかったのだが、なぜか長野県知事の田中康夫の顔を見てしまったから、一日中不快な気分になってしまった。

 ある場所で独りでしゃべりまくっていたのを嫌々聞いていたのだが、昨年あたりに話していた内容とそれほど変わっていない。別に彼のすべてを否定している訳ではないのだから、実現してほしい政策だってあるのだけれど、なかなか県政が変わっていかないのは、行政という組織に問題があると考えるのが妥当か。

 昨年から変わったことと言えば、彼の支持率が落ちている、ということである。大きな変化も達成しないまま、任期が来て、彼が知事を投げ出すか、落選してしまったとしたら、いよいよ、長野県民が不幸になるだけである。結局、「おいしい」公共事業にまつわる税金を一方的に国に突き返しただけで終わってしまうことになる。

 おいしい公共事業と言えば、今松本市でホットな話題は、市民会館の建て替え工事である。総事業費145億。あまりにも巨額であまりピンと来ないけれど、確かマツダが昨年度出した黒字よりは多いはず。駅前の大通りにどーんと馬鹿でかい建物があと2年もすれば出現する。世界的な指揮者・小沢征爾が監督を務めるオペラが上演できるのが売りである。昨年11月に起工式があったのだが、今頃になって反対運動が活発化し、「一時中止を」という声を上げている。

 「市民に説明のないまま着工したのはおかしい」「145億円も使うのなら、福祉に使うべき」「市がオペラホールを作るのはおかしい」といったのが主な反対意見。反対運動は2年ぐらい前からずっと継続してあったのだが、市民の共感を得るようなムーブメントにはならなかった。最近再び盛り上がったのも「今さらなにさ」という感じである。すでに予算は市議会を通り、起工式だって済んでいる。本気で反対するなら、事業が決定される前に効果的にやらなければ意味がない。

 それでも、反対運動を受けて、市は現在、説明会を開いている。「説明が足らないならしましょう」と、市長をはじめ、助役、収入役、関係部長といった市のトップが勢揃いして、200人ぐらいの住民を前に、くそまじめに説明する。単なる「アリバイ作り」「セレモニー」にすぎないのだけれど、その内容は市長の後援会の構成員とおぼしき人が集まった翼賛会である。「市民会館賛成! 早く造れ」という意見に拍手喝采が起こるのだから、茶番を通り越してあきれるしかない。

 裏側をのぞいてしまうと、すべてが茶番に見えてくる。