5月20日

 今日もお仕事。日曜日はまったく働く気がない。朝にちゃちゃっと現場に出かけて、隠れ家の喫茶店でぱぱっと仕事を終了させる。静かな店内で昼過ぎまでゆっくりとコーヒーを飲みながら過ごし、家に戻る。

 帰宅し、おもむろにつなぎに着替えてロードスターの洗車を始めた。事務所に住まわされている立場なので、洗車は会社の看板の下ですることになる。出番の日に事務所の駐車場で洗車をするのも気が引けるのだが、周りの人は日曜日で休みだと思っているから本社に通報されることはないだろう。

 ホースで水をかけながら洗車をしていると携帯がなる。事務所にかかってきた電話は携帯電話に転送するようにしてある。この4月に入社したばかりの新人からで、現在は北名古屋で研修中だが、現場に出たときの参考のために僕の事務所を見てみたいという。休みなんだから、ぼーっとしていれば良いのに、感心なやつというか、くそまじめというか。

 「今、近くにいるので、行って良いですか?」

 こっちは仕事をさぼってがんがん洗車しているわけで、今すぐ来て良いわけがない。

 「あ、仕事で出かけているんで今は無理かな」

 「忙しいところすみませんでした…。また日を改めます」

 うそを言って心苦しい(忙しいことには間違いがない)が、働き出す前から先輩の激しいさぼりぶりを見ちゃったら、不良社員になってしまうだろう。目の毒だから。君にはまだ早いから。

 「近くに」という言葉を思い出して、慌てて建物内に隠れたのは言うまでもない。