4月4日

 西コースでの練習。3月7日の西、20日のフルコースに続く3回目の本コース。が、またしても雨模様であった。最初の走行は雪がちらつき、スリックで走ったけれど、初めてであることもあって、非常に怖い思いをし、20日は午後から雨が降ってウエット路面での走行。そして、またしても雨である。そして、普段なら午前、午後にそれぞれ2枠ずつ、計4枠2時間走ることができるのだが、今回は午前中に1回の計3枠しかない。

 前回は、雨が降ってからはただおどおど走っていただけで、練習にならなくてもったいないことをした。雨だからこそ、ドライより低い速度でいろんな挙動が体験できる。全体を速く走る必要はまだない。テーマを決めて走り込めば、路面の違いはあまり関係ない。前回は貴重なフルコースの2枠をもったいない走りで終わらせてしまったから、今回は気合を入れて走ることにする。

 日々、次はどのように走るかを考える生活になってしまった。今回のテーマはリアが流れることに慣れることだった。フォーミュラはグリップで走るものとの固定観念があったのだが、グリップ走行の範囲内で走っていたら、一生速くは走れないらしい。FJは空力デバイスがないから、余計にグリップを超えたところのコントロールが要求されるんじゃないだろうか。と、一人で勝手に想像している。

 リアが流れる、と簡単に書いているけれど、かなりのアングルが付いてから対応してもなんとか持ちこたえられるロードスターと違って、やばい、と思ったらすでにコントロール不能になっているのがFJだ。それで何度かスピンやコースアウトしている。リアのタイヤのスリップアングルを感じながら走らなければならないのだが、感じたときには手遅れ、というのが今までだった。それを何とかしたい。

 西コースだと、練習になるコーナーはどこか。ヘアピンやショートカットでは車速が落ちすぎていて練習にならない。130Rやスプーンの1つ目で最初から攻めたらマシンが何台あっても足りないだろう。やっぱりデグナーかな、と思って最初の走行に望む。

 困るのがヘルメットの曇りだ。しかも、メガネをかけていると両方とも曇ってしまって危ない。走行前にピットレーンに並んでいるときからすでに前が見えない。スクリーンを半開きにしておき、走り始めればすぐに晴れるのだが、開けておくと水滴が侵入してきてまた視界を妨げる。いずれにしても危ないことこの上ない。

 かなりの降雨量だったので、路面は完全に水で覆われて、ほかの車の後ろに付くとまったく視界がなくなる。いちおう、雨の日はテールの赤いランプを点灯するのだが、まったく見えない。そんな状態で前の車にくっついてコーナーに突っ込んだら、追突してしまいかねない。だから、ほかの車の後ろについてしまったら、あきらめてラインを変えたり、早めにブレーキを踏んだりするしかなかった。

 走り始めて数周で赤旗が出てすぐにピットイン。レース屋さんが来てくれており、「デグナーの2つ目はジワリとアクセルを開けるんだ」とアドバイス。上り坂になっているから、いつまでもケツを振っていると、ヘアピンまでの加速でかなりの差が付いてしまう。肝に銘じてコースイン。ウエットが初めての人なのか、かなり遅いペースの人がいるので、コース上は渋滞気味だ。いらいらしながらヘアピンまで走り、200Rへの立ち上がりで前の車に付いていって、フォーミュラエンジョイやFJを何台か抜く。

 ようやく攻められると思ったら、前の車に付いて行きすぎて、スプーンコーナーをオーバースピードで進入。気が付いたときには回復不能なぐらいリアが流れており、精一杯カウンターを当てるも、そのままコースアウト。我がマシンは土の中に埋まった。土の中で横っ飛びしたものだから、コックピットの中まで砂利が降りかかってきた。20分ぐらいスプーンコーナーを見学する。貴重な時間が見学になってもったいない。

 間近で見学すると分かるのだが、やっぱり速い人はコーナーの進入から立ち上がりまで動きが全然違う。フロントタイヤにリアタイヤが付いていく感じではなくて、ドライバーを中心に車がコマのように回ってコーナーを旋回する感じ。ドライバーはかなり忙しく動いているに違いない。

 こんなときの20分はかなりの長さに感じる。ようやくチェッカーが出て、マシンのところまで駆け寄ると、シートに水たまりができていた。サーキットの車に引っ張ってもらってコース上に出してもらい、シートに尻を付けないように変な体勢でピットに戻る。急ブレーキを踏むと、乗っていた砂利が「ざーっ」という音を立てて落ち、いくぶんか作業が楽になるのだが、さすがにコースを汚すようなまねはできなかった。ピットに戻れば、マシンの掃除が待っている。とにかくどろどろなので、カウルは外して水道で洗い、アームやエンジン周り、アンダーパネルは水をかけて泥を洗い流す。ウエスで綺麗にふき取る。

 お昼を食べる。Dさんからアドバイスを受ける。

 午後からの走行。デグナーへの進入を練習する。1つ目は進入速度が速くて練習にはもってこいなのだが、まだ怖くて攻められない。2つ目をまず攻めることにしたのだが、なかなかうまくは行かない。2枠目は無事完走。レース屋さんからは「形になってきた。デグナーへの進入で、最後の1周でやっていたようにカウンターを当てる感じで走れ」とアドバイスを受ける。総監督は「まだアクセルやブレーキのふみ方、ハンドルの切り方が雑。丁寧に。さらに130Rでアクセルを抜くのが一番早い。みんな怖いんだからがんばれ」とのこと。肝に銘じる。

 レース屋さんから、シートの位置について注意される。「そんなに身長がないくせに、肩まで飛び出していて格好悪い。そんなに起きた姿勢じゃ、マシンの挙動をちょっと高い位置、背中で感じることになってしまう。もう少し潜り込むように座って尻で挙動を感じるようにしろ」とのこと。シェイクダウンのとき、首があまりにも痛かったから、寝そべるように座る姿勢がもう少し起きるように背中にスポンジを張っていた。これをばりばりとはがして座ってみると、なるほど、潜り込むような姿勢になって目の位置もかなり下がった。特にハンドルやシフト、ペダルの位置に不具合はない。3本目に突入。

 かなりウエット路面にも慣れて、コーナースピードが上がったのが実感できる。数周して、130Rへの進入に向けストレートを加速したら、赤旗が出たのでピットに戻る。出たタイミングが良く、再開後は一番先にコースに出ることになった。ほかの車がいると、視界がなくなって思ったように攻められない。それでも、タイヤが冷えているスタート時からトップでコースインするのはまだ怖いから、ありがたい赤旗だ。

 赤旗解除後、コースインして130R。まだ暖まった状態らしく、十分、タイヤが食っているので後ろの人に抜かれる前に攻めることにする。デグナーの進入、ヘアピン前のブレーキ位置、200Rのライン取り、スプーン前のブレーキングポイント。2つ目のスプーンのライン取り。いろいろ考えながら走る。そして130R。まだ突っ込むのは怖いから、加速重視のかなりびびりが入った進入しかできない。

 何台かに抜かれる。僕より速い人たちだから、先に行ってしまうので邪魔になる心配はない。驚いたのは、抜かれてもしばらく付いていけることだった。明らかに今までと比べてスピードが乗っていて、それでもコントロールができたので、なんだか自分で操縦している気がしなかった。

 今回もデグナーの進入を重点的に練習する。今度はデグナー1つ目の練習だ。かなり怖いが、エスケープゾーンが広いので大丈夫だろうと、楽観的に攻める。甘く考えすぎて大スピンをしてしまった。何とかコース上にとどまったので再スタート。数周後、今度はデグナー2つ目でリアを流しすぎてスピン。コーナーの出口でスピンしてコース上に止まると、ほかの車が突っ込んでこないか、非常に恐ろしい。

 路面が2本目より良かったこともあって、タイムも上がった。レース屋さんもデグナー進入についてはほめてくれた。ウエットでは良くても、ドライではどのくらい攻められるだろうのか。まだまだ練習が必要だろう。

 雨の中、駆け抜けてくれた愛車を工場できれいに洗う。だんだんと自分のマシンである実感がわいてきて、愛着がわいてくる。