4月10日

 鈴鹿フルコースで練習。快晴で、路面は完全ドライだ。3月7日の西コースは雪がまっていて、ちょっと湿っていた上、未体験のスピード域にまともに走れなかった。2回目の20日は、午前中が完全ドライだったものの、午後からウエット。4月4日の西コースは、一日中雨。要するに、ドライで思いっきり走った経験って、まだ少ないのである。

 4日のウエットでそこそこ走ることができて、ちょこっと自信を持っちゃったのだが、その自信はまったくあさってな勘違いであることを思い知った。朝一番の1本目、けっこう攻めているつもりなのに、一向にタイムが伸びない。前回3月20日のフルコースで走ったときよりも、遅いのだから、かなり焦ってしまった。頭から血の気が引く思いで走っていたら、トラブル発生。アクセルオフしているのに、車が前に進む。シフトアップのとき、クラッチを切っているのに、1秒ぐらいエンジン回転が落ちてこない。たぶん、アクセルワイヤがしぶくなって、スロットルの動きが悪いんだろう、と思って、ピットイン。CRC吹いてもらったら治った。やはり雨の中走った車だから、注油しないと不具合が出る。

 走行再開するも、良いところがなく終了する。総監督曰く「今日は元気がないな」。1周2分半かかるコースで与えられた時間は30分。のんびりしている暇はない。

 2本目。やっぱりタイムが伸びず。焦りまくる。

 午前中の走行を振り返り、まだまだドライ路面のスピードに慣れていないのが一番の敗因だと思う。ドライバーが勝手に車の限界を作っちゃって、それ以上の速さで走れないのだ。でも、ドライバーにしたら、怖さを抑えていっぱいいっぱいで走っているのである。

 3本目。強制的に先頭でコースインさせられる。レース屋さん曰く「荒っぽいけど、速い車に付いていくしかない」。覚悟を決めてコースイン。付いていくのだけれど、あっという間に離されてしまう。速い車に付いていったときはタイムがちょこっと上がるのだが、一人になるとぐんぐんタイムが落ちてゆく。そうして、コース上にひとりぼっちになってコーナー進入速度の指標がなくなり、怖いな、と思っていたら、逆バンクでリアが流れ、慌ててカウンターを当てるも回復できず、スピン。ぐるりと180度回ってコースアウトした。出られると思ったが、左リアタイヤがくぼみにはまって空転してしまったため、車を降りる。総監督曰く「走りを見ていたら次の周は戻ってこないと分かったぞ」とのこと。ドライバーが原因のアンダーオーバーが出まくりで、はたから見ても雑な運転だったらしい。確かに、ひとりぼっちになって怖くなったら、集中力が切れていた気がする。

 散漫な気持ちで走っていたら、それこそ高いお金を出して走っている意味がない。次の走行開始までの数十分の間に、なるべく集中する努力をする。走行前、早めにヘルメットやグローブを付けて、いすに座って気持ちを落ち着けて、次にどう走るのか、イメージをつくる。

 4本目。やっぱり先頭からのコースイン。速い車からコースインするのが普通だから、あっという間に追いつかれ、抜かれ、そして付いていけなかった。

 課題は1、2コーナーとスプーンカーブ、130R。いずれも高速コーナーですっごく怖いコーナー。特にメインストレートから1コーナーのブレーキングの最中に、ものすごい勢いで抜かれていくから、それだけ僕が遅いということになる。Dさんによると「かなり突っ込んでも大丈夫。ブレーキングしながら1コーナーを曲がっていく感じ」と聞いていた。速い人に付いていき、どこでブレーキを踏んでいるかを学ぶ。何周かするうち、明らかに前より速く進入できるようになった。体力的には3本目よりきつかったけれど、集中力は切れなかったので、冷静に走ることができる。トップの人たちより1周4、5秒落ちぐらいのタイムにまでこぎ着けた。

 赤旗中断。残り5分でコースイン。タイムが計測できるのは2周目だけである。気合を入れて走り、自力で先ほどまでのベストと同じぐらいタイムが出せた。

 3本目まではタイムがろくに上がらず、焦ってしまったけれど、4本目でようやく進歩がみられてホッと一息ついた形。今回、向上したから良いけれど、タイムが良くならなかったら、かなりへこんでいたに違いない。

 タイムを上げる過程は、自分の壁を一つ一つ乗り越えていく作業だ。壁は次から次へと現れる。たくさんの壁の向こう側に、トップグループの人たちがいる。