いよいよ本コースデビュー。これまで体験したことがない速度域での走行。シビアなFJ。どうなるのか、想像も付かない。
午前6時起床。思ったよりも体の疲れは回復していた。金曜日にばててしまった原因の一つは、メシをあまり食べていなかったことがあるのではないかと思い、おにぎりをたくさん食べる。名古屋インター近くのコスモで20リットル携行缶にガソリンを買い、名古屋インターから東名阪に乗ろうとしたら、東名に乗ってしまった。引き返すわけにも行かず、春日井で降りて勝川から東名阪へ。
途中から雪がちらついてきた。橋が凍っているほどの悪天候だ。8時前に鈴鹿西コースパドックに到着。すでに、総監督や見学の方が来ていた。ときどき雪がちらつく天候。
自分の車が運ばれてくる。20000円分の走行券を買い、Dさんにコースの様子を教えてもらう。ちょっとした緊張が気持ちよい。
いよいよ、走行開始。Dさんの後ろについて走っていくことにする。ゲートをくぐってコース内へ。10台ぐらいずつコースに入っていく。
「コースインでも2速でもリアが空転するから気を付けて」とのDさんの言葉の通り、リアタイヤの空転を感じつつ、バックストレートを加速していく。すぐ130R。タイヤが冷え切っているから慎重に曲がり、加速していったら、Dさんの車が急激に近づいてきた。西コースのショットカット。右ヘアピンが控えていたのである。予測していなかったので、パニックブレーキになり、ロックしたまましばらく滑走。なんとか追突は回避したものの、曲げることができない速度でショートカットに進入。まだフルブレーキしているから、車も曲がらない。ショートカット直後においてあるパイロンが近づいてくる。止まらない。ブレーキをゆるめて何とか車を曲げて車をすき間に放り込み、事なきを得た。いや、タイヤにフラットスポットを作ってしまったから、事なきではなかった。
気を取り直して、縁石またいでコースに戻る。ついていくはずのDさんは先へ行ってしまいもういない。2速での加速は強烈だ。あっという間に3速、4速でデグナー進入。後ろから来る車は先に行かせて慎重に走る。いや、先に行かせるまでもなく抜かれていく。ヘアピンもブレーキが少し遅れたが、車速が出ていないので大丈夫。200Rにむけて上り坂を加速する。
200Rは上りながらゆるく右に曲がっているのだけれど、ぐんぐん加速していくからだんだん恐怖が増してくる。さすがに最初は全開にできない。そして、スプーンに向かって少しの間ストレートがあるのだが、登り切った後下っているので、車速が出ていることもあり、どこでブレーキを踏めばよいのか分からない。スプーンもどこのラインを走るのか見当が付かない。
バックストレートに入る。まだ様子見だからそんなに回転は上げない。4速6000回転ちょっとから、ついに5速。怖いけれど、いちおう全開にする。風景が一気に流れていく。ピットが右手にあったはずだが、そんなところを見ている余裕がない。130Rがぐんぐん近づく。やばいと思ってブレーキを踏み、車を曲げようとしたら、リアが流れてスピン。やばいと思ってクラッチ切り&フルブレーキ。芝生の上を滑って後ろ向きになり、そのまま回転しながら滑走して再び前向きになって舗装の上で停止した。エンジンは止まっている。
わりと冷静にエンジンを再スタートさせる気になった。が、セルをいくら回してもかぶり気味になっていてかからない。アクセルの踏み加減をいろいろ変えて回し続けると、ぼうんとバックミラーに炎が映った。しばらく待ってから、再び回してようやくエンジンがかかる。車が来ないことを確認してコースイン。
最初の5、6周はブレーキを踏む場所も分からず、ただうろうろと走っているだけ。後ろからFJがぐんぐんと追い付き、追い越される。F4なんかは、来たことも気が付かないうちに爆音でその存在に気づき、すでに前を走っているという状態だ。
ヘアピンなどで何度かスピン。何が何だか分からないまま、最初の30分は終了。チェッカーを見て気が付いたのだが、どこからピットインするのか正確には知らなかった。後ろから来た車に合図して抜いてもらい、後ろを付いていった。
2回目の走行ではDさんに「200Rは全開」と聞いていたので、タイヤが暖まってきた3周目ぐらいに調子に乗って5速全開で走ったらラインが膨らんでしまい、スプーン進入にむけてラインを取り直そうと無理をしたら、スピン、そのままコースアウトして砂利の中に埋まった。残りの20分あまり、コースの外から他の車を見ているだけだった。
走行後、総監督から「自分が何秒だったか見ていたか」と聞かれ、「余裕がなくて見ていない」と正直に答えた。恐怖の5速全開でヘルメットにまともに当たってくる風に対抗しながら何とか前傾姿勢を取っているのだ。視線を向ける余裕などなかった。
3、4回目は何度かのスピンもあったけれど、何とか無事に走行終了。少し遠慮しすぎたかもしれない。毎回、きっちり課題を作って攻めていかないと、せっかく高いお金を出して走っているのに、無駄になってしまう。タイムはまだ気にする段階じゃないと言われた。
5速全開の後の130Rは、初めての者に取っては恐怖そのものだ。4速までとは世界が変わってくる。エンジン回転とともに視野が狭くなっていき、左に緑色、ピット横を通ると右にいろいろな色が出現する。ときどき、F4が軽々と抜いていく。右手にコーナーまでの距離を示す「200」「100」「50」の数字が出てくるとともに、130Rがぐんと近づく。ここが速い人が本当に速いんだろう。
走り終わった我が愛車は、FRP製のアンダーパネルが割れていた。どこでやったのかさえ、分からない。