3月26日

 我が社の高岡オフィスの同僚が、名古屋の本社に異動になった。この同僚、僕が7月まで住んでいた愛知県江南市の事務所兼住宅に住むことになる。僕が8月の異動で富山に来たとき、後任として僕が住んでいた事務所兼住宅に住むことになったのが高岡オフィスで勤めていたこの同僚の奥さん。新婚さんだったのだが、新婚生活を味わう余裕もなくあっという間に奥さんだけ太平洋側に飛ばされてしまったという、鬼のような異動だ。このたび、4月の異動で晴れてだんなさんが本社に異動になり、本社に十分通うことができる僕の古巣で、奥さんと住むというわけ。

 駐車場の大量のオイル染みの原因が僕にあることと、新婚さんには微妙に縁起が悪いことはだまっておこう…。

 で、普段なら富山で開く送別会を、今回は高岡でやった。午後7時開宴だが、やっぱり遅れて8時前に到着。高岡のボスの横に座ったこともあって、ビールの後、日本酒を大量に摂取してしまった。

 濃いお酒を飲むと、飲み過ぎてしまう傾向があるので、おなかに入らないという意味でも普段は飲み会でビールばかり飲んでいる。それでも、お銚子を傾ければ返杯があるわけで、禁断の日本酒をぐびぐびと。2次会でビールに修正したが、かなり限界に近い感じ。そろそろお開きとなって、みなでタクシーでも拾って帰ろうというときに、高岡のボスに呼び止められた。「さしで次行くぞ」と。

 けっこう古い付き合いで、普段から語り合いたいこもあって、しっぽ振ってついて行ったのは良いのだが、日本酒もあってすでに限界を超えている。ここら辺から記憶も断片的になり、気がついたらいつの間にか独り、高岡の街をずかずかと早足で歩いている僕がいた。たぶん、タクシーもいないから、歩き出したんだろう。富山駅前なら家まで歩いて15分。

 城址公園方面に歩いて、1キロぐらい歩いたところでふと気づいた。朝まで歩いたって富山まで帰れないことに。あわてて電話ボックスに飛び込み、タウンページでタクシー会社の電話番号を調べて、かき集めた30円を投入してタクシーを呼んだ。胸ポケットの携帯電話を駆使すれば、すぐに電話番号も分かるし、そのまま電話だってかけられるのだが、脳みそが麻痺していると古い方の習慣が表に出てきてしまうらしい。

 高岡からタクシーだと料金が高いなあと心配したのだが、名古屋駅前から実家ぐらいの料金で到着。ほっと胸をなで下ろして布団に倒れ込んだ。