朝6時前に起きて鈴鹿に出かける。初フルコースである。普通の順序なら、南コースで練習して車に慣れ、その後フルコースのうち、東半分の東コースで慣れてから130Rもある高速の西コースを走り、そして東、西が繋がったフルコースを走るというのが筋道だろう。が、鈴鹿の走行スケジュール通りにしていたら、3月7日に突然西コースを走り、次にフルコースというちぐはぐな順序になってしまった。
ただの駐車場がピットの西コースと違い、東コースは屋根付きのピットに食堂などの設備があって、さすが国際レーシングコースだな、と思う。走行開始は9時すぎだったのだが、7時半には到着して、初めて走る東コースの下見をする。一番見て置かねばならないのは、ピットインの場所だ。西コースではコースに出てから下見をしていないことに気が付いて焦った覚えがある。
S字や逆バンクを見ながらピットを確認。ちゃんとピットインの表示があった。が、下見をしたにもかかわらず、ピットインで失敗してしまうとはこのときは知るよしもない。
Dさんが鈴鹿インター付近の渋滞に巻き込まれて1回目の走行までに間に合わなかったため、1人でコースインすることになってしまった。まったく初めてだから、本当なら知っている人に1、2周引っ張ってもらうと良いのだが、それもかなわず。走行開始前、ピットロードに出走する車がわれ先にと並んでシグナルが青になるとともに、出発していくのだが、僕はピットで待機してほとんどの車が出ていくのを待ち、のろのろと出発していく。
インベタで1コーナーに進入し、ゆっくりと2コーナーを立ち上がる。タイヤが冷えているから、ちょっと変な操作をするとあっという間にスピンしてしまう。S字の進入。外から見るよりも勾配があるように見えた。左、右、左と曲がると逆バンク。少し登ってダンロップで長い左を立ち上がり、ここから前に走った西コースへ。すぐデグナーに進入する。1発目2発目。ゆるい上り坂とゆるい右カーブの直後にヘアピンがある。もっとも車速が落ちるところだ。
ここはなぜかいつも右フロントがロックしてしまう。立ち上がって「まっちゃん」こと200R。ゆるい右がずっと続き、しかも全開で加速し続けなければならない怖いカーブだ。登っており、頂上付近で直線に入るのだが、登り切るときに一瞬なにも見えなくなる。車速も出ているから、怖いことこの上ない。すぐにスプーンカーブ1発目がやってくる。かなりつっこめそうなのだが、攻めるのはまだ無理だ。早めにブレーキをしてインに付き、またアウト側に向かって加速して改めてブレーキをかけ、2発目を曲がる。
バックストレートにむけて加速。最高速に到達する。7日に西コースを走ったとき、風景がとろけて色しか見えなかったのだが、今回は様子が違って、きちんと回りが見えた。ちょっとスピードに慣れたのかもしれない。130Rに進入。怖くて攻められない。
「ヘアピンの入り口が見えないから何度かまっすぐ突っ込むぞ」と聞いていたので気を引き締めていたのだが、西コースのショートカットの少し奥にあるだけで距離の看板も出ているから、手前で減速しすぎたぐらいですんだ。少し登っているのか、減速しやすい。
ホームストレートにむけてのゆるい右カーブを立ち上がる。5速に入れて、1コーナーでどこまでつっこめるかを見極めようとしたが、まったく分からず、下り坂になっているから怖くなってアクセルをゆるめてしまった。かなり減速して安全に1コーナーを曲がり2コーナーへ。
結局1回目の30分は前回の西コースのように下見をしただけのような走行だった。スプーンコーナーがどのくらいまでつっこめるか試してみたら、縁石の右側を走行してしまって土埃にまみれてしまう。無事コースに復帰できて完走。「次からはもう少しがんばって2分30秒を切らないと、練習にならないぞ」とレース屋さんに注意される。
2回目の走行も最後尾スタート。各コーナーの進入にも慣れてきて、30秒が切れるようになった。S字がなかなか面白くて調子に乗っていたら、コースから少しタイヤがはみ出しスピン。コースを横切ってイン側の砂利に突き刺さってしまう。走行枠の最後の方だったのが幸いした。
砂利にまみれたマシンは、あちこちにトラブルを抱えていた。なぜか冷却水漏れが発生。これはエンジンを組んだときのミスらしい。あと、キャブが土を吸い込んだらしく、エンジンの調子が悪かった。レース屋さんが昼の時間を使って直してくれた。ここら辺の手際よさはさすがである。
昼メシを食べていたら雨が降ってきてしまう。止んでくれ、と祈っていたが、その気配はなくウエットコンディションでの走行。コースにも慣れていないのにウエットである。ストレートでは、前の車が巻き上げる水煙で何も見えない。タイヤを滑らすこともできず、まったく練習にならなかった自分がもどかしい。さらに、やってはいけないミスをする。落ち込んでいたら、「失敗できるのも最初だけだぜ」と大阪の某氏に慰めてもらった。走る資格がない、と言われても仕方がないのだが、反省だけして次の走行のことを考えることにした。
4回目はウエットだと思っていたら、乾いた路面と入り交じっていてさらに怖い状態だった。午後は見学しただけのような走行で終わってしまう。雨が降ってしまって運が悪かったのだが、そのコンディションで何もできなかった自分がもどかしい。
それでも、そんな路面で他のドライバーがどんな走りをしているのかをかいま見ることができた。びゅんびゅん抜かれていくのだけれど、抜かれたその次のコーナーでは何とかその車の走りを見ることができる。コーナーの間中、がんばっている、そんな走りだった。相当練習を積まないと行けないことを、またまた再認識する。