3月11日

 仕事である医師に会う。用件が終わると、突然思いがけない質問が飛んできた。

 「君、まだ若いよね。独身?」

 「はふ? は、ドクシンでしゅ」

 「何年生まれ? どこの学校出たの? ふむふむ。そうか、で彼女いるの?」

 「い、いましぇ〜ん…。(傷つくことをずけずけと。怒)」

 「そうか、ちょうどいい!(何が?) こういう仕事をしているとね、(僕の渡した名刺になにやら書き込みながら…)人からよろしく頼まれるんだよ」

 (おもむろに立ち上がり、棚のファイルをごそごそする医師)

 「あ、あの〜何やっておられるんでしゅか?」

 「いやね、年頃の娘さんの親からなんだけれどね、良い縁談がないか、よく相談があるんだよ。(一つ写真を取り出し) この娘! けっこう美人でしょう。でもね、残念ながらもう決まっちゃったんだよね」

 「はあ」

 「もちろん、親から頼まれたとしてもね、僕のところに一緒に来てもらうんだが…。(あちこち引っ張り回した挙げ句) この娘なんかどう? 外車ディーラーに勤めているんだよ。なかなか良いでしょう。あ、でも君より年上か…。これじゃ、いかんな」

 「はあ(ちょっとトキメキ)」

 「この娘なんかもね、なかなかかわいいんだよ」

 「はあ(いったい何人ストックしているんでしゅか?)」

 「ま、異業種での交流を進めているからね、その一環なんだけれど」

 「はあ」

 「こうやって縁談持ちかけるとね、中には嫌がる人もいるんだよ。だからね、もしその気があるんだったら、履歴書書いて持ってきてね」

 「はあ。(エンリョしておきまふ)」

 

 世の中変わった世話をする人がいるもんだと思った。