3月24日

 東京あたりでは桜がすでに葉桜になりつつある、というのに、松本は冬に逆戻りしたような寒さ。それなのに、午後11時に仕事が飛び込みやがった。

 仕方なくジムニーに乗ろうとすると、うっすらと雪化粧。松本の市街地でも雪が舞ったらしい。なぜか制服を着た人がうじゃうじゃいるスーパーの前に張られた黄色いテープの近くで、カメラをぶら下げながら立ちつくしていた。数日前なら、風もやわらかくて春のにおいがしていたのに、こんな日に限って刺すように冷たい。

 私事ながら、やらねばならないことをやっていたら、いつしか時計の短針が下の方を指す時間になっていた。帰宅して寝る。今日は休みなのだが、飛び込んだ仕事の後始末をしなくてはならない。

 夕方、諏訪の某氏とブツを交換するために、ロードスターを開幌状態にして走り出す。塩尻峠の気温は0度だった。せっかく空燃比計が付いているのだから、高いところを走って燃調がどうなるのかを見てみたい。霧ヶ峰に進路を取る。

 スキーシーズンも終わりかけたこの時期、暗くなった高原に向かう車は皆無。路面は乾燥状態。凍っていないか注意しながら、快調に走る。

 霧ヶ峰にたどり着くと、燃調は諏訪より1濃くなっていた。海面でぴったりと燃調を合わせて、標高600mの松本に来ると、全体に0.9くらい濃くなる。それだけ空気が薄い、ということである。松本の平らではあまりフルスロットルをする機会もないので、少し薄くして、山を駆け上っているときにちょうどよい燃調になるようにしてあった。だから、標高700mの諏訪でちょうど良い燃調だった。

 それが、霧ヶ峰に行ったら、また全体に1濃くなった。霧ヶ峰はだいたい標高1500m前後。ということは標高が700〜800m高くなるごとに空燃比は1ぐらいずつ濃くなっていくことになる。

 そのままビーナスラインで一番標高の高い2000m付近に行けばさらに1近く濃くなることになる。もし、ノーマルのまま燃調を絞らないで上がったら、空燃比計は8台を指すこともあるかもしれない。まあ、標高2000mで本気で走る人は一部だろうから、それほど問題にならないのだろうけれど。

 空気の濃さ、は日ごろあまり意識をしない。無料化になったビーナスラインを白樺湖方面にひた走り、そんなことを考えながら走っていたら、吹き込む風もどことなく軽く感じられる。しかし、下界で0度なんだから、標高1500mでは−5度以下に違いない。グローブをして走っていても、指の先が痛い。耳がちぎれそうになったので、コートのフードを被った。

 寒いから屋根を閉めるという発想は起きなかったのかしら。