月: 2005年8月

8月22日

 人と会ってじっくりお話を聞く仕事を2件やった。字数が少ない中で、人となりをどう表現するのか。軽率な表現をしてしまったら、その人の人生すべてを否定することにもなりかねないので、いくら行数が少なかろうがじっくり話しを聞くことになる。それを2件やり、しかもすぐ字にしなければならかったので、非常に疲れた。

8月21日

 なぜか一宮駅前で民主党の岡田代表を見た。演説を聞いていたが、なんだか華がない。まじめなのは伝わってくるが、今回の選挙では相手が悪いとしか言いようがない。「選挙に負けたら責任を取って辞める」といい切ったのは格好が良いのだが、小泉さんが言った翌日となるとインパクトが弱い。ごてごてで仕方なく言わされた印象になってしまう。解散した5分後ぐらいに会見を開いてそう宣言するぐらいでないと意味がなかった。

 それにしても小泉さん、郵政法案否決から解散、その後の刺客まで、練りに練ったシナリオがあったとしたら、ものすごい政治センスだ。肉を切らせて骨をたつ、という言葉がこれほどしっくりくる状況もないだろう。自民党、という組織を生かすための、最大の効果を発揮するシナリオを誰かが書いたんだろうか?

8月19日

 労働組合の活動でお呼ばれしたので、名古屋の本社へ。つい最近まで働いていた場所なのだが、なぜか地方にでちゃうとよそよそしい場所に感じてしまう。ひがみ根性かしら。

 古巣に戻って懐かしい面々とお話をする。たった半年だが、いろいろ変わっていた。

8月18日

 家から近くの短大で、教授がブドウの収穫をすると聞いたので、出かける。夏休みのキャンパスの一角の土地を3年前に借りて、耕して育てているのだ。

 収穫していたのはメルロとカルベネ種。3年前に植えて、初めての収穫。病気にやられたり、直前にムクドリの大群に実を食べられたりと不運が重なって、数量にしたらちょこっと。それでも、喜々として収穫する教授。実は一流ホテルでソムリエをしていた経歴を持つ。そんな人が教えている大学が近くにあるのはうれしい。ソムリエのときはぱりっとした格好をして粋に振る舞っているに違いないのだが、作業着を着て剪定ばさみを持って、喜々とブドウを収穫している姿はお百姓さんそのもの。

 もちろん、ブドウはワインを造るために育てている。「消費する側の出口は極めたから、造る側の入り口を極めたい」という。きわめて正しい。

 んが、採れたブドウはほんのちょこっと。それでも、塩尻のイヅツワインに持っていって、醸造してもらうという。「これを持っていって『これだけじゃできないよ』と笑われてもいいんだ」と教授。わざわざ、車で運ぶのだから、コストで言えばまったく合理的じゃない。

 「いいんだ、お金じゃないんだ」という教授。将来、地ワインをみんなでつくりこの地にブドウの文化を根付かせたいという。お金じゃない、と言い切って目標に突き進む人は見ていてすがすがしい。

8月17日

 使っている携帯電話の登録住所が、前の住所になっているので、NTTドコモに行く。FOMAだとiモードでちょちょいと住所変更できるみたいなのだが、MOVAな僕の携帯はどうもできないみたい。いっそのことFOMAに変えたい気分なのだが、業務電話の通話料を負担している会社はFOMAへの変更を認めない。けちだ。

 ドコモの営業所に行き、おねいさんに頼んで、出された書類にちょちょいと記入し住所変更完了。「ぴったり料金プラン診断」という張り紙が目に入ったので、「ほかになにかございますか」と話したおねえさんに、「そういえば」と切り出した。

 仕事で使った電話代は会社が負担するシステムになっている。私用電話代のほか、基本料やiモードの基本料、超過パケット代は自分で負担する。ということは、基本料をできるだけ下げた方が得なのだ。

 料金プランを調べてもらうと、基本料が1000円安くなるプランがあることを知る。が、通話料は高くなる。それでも、基本料が下がれば僕の負担額は減る。迷わず「こちらのプランにしてください」とお願いする。が、相手もプロ。「現在のご使用状況ですと、こちらのプランに切り替えると、総支払額はかえって高くなりますが…」

 「基本料が下がれば良いんです」とかまわずお願いする。けげんな顔をしながら、端末を操作してプランを変更するおねえさん。こっすい(せこいを表す名古屋弁)自分にちょっと後ろめたさを感じてしまった。

8月16日

 放置しているとどんどん悪くなるかもしれないと思い、車検切れのロードスターのエンジンをかけてみる。まずはボンネットを開けて、オイルの点検。オイルレベルゲージのHをはるかに超える量のオイルが入っていて、オイル減りエンジンとしてはばっちりである。作ってから4万キロを超えたエンジンはオイルが減る。ある人曰く「エスコートのピストンが減ってるんだろ」。セットで4万円ちょっとのピストンだから、十分あり得る話である。ものすごい手間を掛けてエンジンを組むのだから、部品はケチらない方がよいかもしれない。戸田にしておくべきだったか。

 クランキング一発でエンジンは始動。それにしてもin272ex288度のカムだと振動がひどい。こんなにぶるぶるしている車で普通に街乗りしていたんだな、と今さら思う。

 半年以上ぶりにFCSSを起動してみる。目標アイドリング回転数を見ると900回転。大オーバーラップのバルブタイミングによる吹き返しの影響がほぼない4連だからこそこの回転数でもアイドリングする。シングルスロットルであれば、軽すぎるフライホイールを入れちゃうと、264度のカムでもおいしいバルブタイミングにすることはできない。アイドリングしないから。

 試しにアイドル回転数を1100回転まで上げてみる。かなり安定するけれど、やっぱりぶるぶると不快なことには変わりがない。

 そういえば、Dジェトロだったので、スロポジ制御に変更してみる。アイドリングのままスロポジ制御のデータをFreedomに転送すると、途中でエンジンがストールする。転送を終え、セルを回すと、ちょっとかかりにくい。アクセルを少しあおりながら、長めのクランキングでばっちりアイドリング。なぜか、Dジェトロよりもアイドリングは安定している。たぶん、一定しない負圧で制御するのと、ずっと一定の信号で制御するのとの違いだろう。なまし量を増やせばましになるかもしれない。エアコンを入れればばっちりアイドルアップ。空燃比も空燃比計連動はしていなくても14台で安定する。それでも、スロポジ制御は、スロポジの信号はときどき狂うので使えない。なにが原因なのかつきとめることができれば、絶対スロポジ制御で回すのだけれど。

 街に繰り出してセッティングしたい気分。んが、車検切れなので、敷地から出られない。

8月13日

 7時前に目が覚め、ふらふらと江南へ帰る。休みなのに一日中ごろごろとして過ごす。

 そういえば、5連休をもらったその初日なのだが、実感がない。それもそのはず、休みになっているのは記録の上だけの話であって、やることがあれば動かざるを得ないのである。夜はのろのろと家を出てちょびっと仕事。選挙だから仕方がない。

8月12日

 総選挙に突入したあおりを受けて、対策会議が開かれることになった。つまらない会議の後にはもちろん、懇親会という名の宴会があるに決まっており、「いや、今日はちょっと」と出席を辞退しようものなら上司からのマイナス評価を喰らって辺境の地に追いやられること請け合い、「車で帰るから」とお茶ばかり飲んでいてもやはりそれは自殺行為なので一宮の仕事場で寝てから帰ることにして、お酒を飲む。

 のんべえばかりの業界だから一度始まるとなかなか終わらない。当たり前のように2次会に突入し、そこからがまた長い。ふらふらになって仕事場の1人掛けソファーに倒れ込んで意識を失う。

8月11日

 彫刻家の人に会った。西春町の畑に、長崎の六方石でできた高さ2メートルの彫刻を置き、石の上と畑にひまわりをたくさん植えた。種から植えたひまわりが、育って枯れるまでが作品というわけである。

 石の彫刻は屋久杉をイメージしているという。屋久杉の大木でできた森の中は、うっそうとして暗く、新しい植物はなかなか生えることができない。ところが、屋久杉が枯れて倒れたり、切られたりすると、それまでその大木が覆っていた部分に日が差し込んで、さまざまな植物が一気に芽吹く。そして再び屋久杉の大木が生まれ育って行くのが「倒木更新」という現象。畑の作品は、それを彫刻とひまわりで表現しているのである。

 もともと、さなぎからチョウが生まれたり、種から大きな大木に育ったりと、生き物の変化をテーマに作品を作ってきたという。話を聞きながらふと思う。生き物は生まれてからぐんぐんその姿を変えていくものなのに、彫刻の作品という形でその姿をとどめた瞬間にそれは永遠に姿を変えない。この矛盾。ひまわりは、なかなか良いアイデア。

 文章も同じ矛盾を抱え込む。ある現実を文章にとどめようと、テキストに落とし込んだとしてもそれは現実を表現しただけで現実とは違う。そんな不完全なものが大量に印刷されてばらまかれている。本当にこんなことで良いのだろうかといつも悩んでしまう。