AEDというハイテクの固まりの救命器具の講習会をのぞいた。
日本語では、自動体外式除細動器。普段慣れないランニングをしたり、ギャンブルで大当たりしてびっくりしたとき、あふっとぶっ倒れて意識を失うことがある。そのまま死んじゃう場合の多くは、心臓に原因があり、心臓がけいれんを起こして血を送れない心室細動という病気だという。放置すると10分で死んでしまうらしい。
心室細動を起こした心臓に正気に戻ってもらう唯一の方法が電気ショック。AEDは自動の名の通り、でっかい電極を胸に2枚張れば、勝手に心電図を取って電気ショックが必要なのかどうかを判断してくれる。「患者から離れて」などと音声で案内をするので、小学生でも使用が可能なほど簡単になっている。すごいハイテクだ。
救急車に装備されていたぐらいだったのが、昨年から一般の人も使っても良いことになって一気に普及した。皇室の人が心室細動で亡くなったことも規制緩和を後押ししたに違いない。
4月、愛・地球博の会場に2週間行っていた。グローバルループを歩いていると、200メートルおきぐらいにAEDが設置してあって、やたらめったら置いてあるなあと感じた。聞くと万博会場に100台設置してあるのだという。最低数十万はする高価な機械だから、なんでそんなに置くのか、裏でもうけている人でもいるのではないか、と勘ぐったりもしたのだが、やたらめったら置いてあるおかげで何人か命が救われた、という話しを聞き、やっぱり国を挙げてやっているイベントなのだから、それぐらい置きたくなる気持ちもなんとなく理解できたのであった。
で、講習会。AEDを使ってやるのだと思ったら、AEDの訓練専門の機械であった。格好は同じだが、形が同じで音声が流れるだけのモックアップみたいなもの。講習があった市では、訓練用の機械は導入して一般の人に使い方を伝えるものの、本物のAEDを買う予定はまだないのだという。市民会館だとか、美術館だとか、人が多く集まる場所の目につく場所に置いてあってはじめてAEDの使い方を習う意味がある。講習だけ受けても使う機会がなければ意味がないよなあ、と微妙な思いで訓練を見ていた。