警察って、やっぱり権限がある。濫用じゃないか、という事例をば。
その1。岩倉市で交通安全啓発運動があった。場所は「めいそうせん」と地元で呼ばれている道路。2車線の県道で、交通量がめちゃくちゃ多い。そのうち追い越し車線側の1車線をつぶして小学生をそこに立たせ、検問のように車をとめて、啓発のためのグッズを配っていた。啓発活動自体は、悪いことじゃないのだが、ものすごい渋滞になったことは言うまでもない。動き回る小学生が車道に立っているのも、なかなか恐ろしい光景だった。
その2。緊急配備の訓練をした。緊急配備とは、強盗があったり、自動車盗があった場合に、無線で各署に呼び掛けて、犯人を捕まえようとする警察の態勢だ。小牧であった自動車盗の事件で、犯人が江南まで逃げてきた、という想定の訓練があった。
何カ所もの検問が突破され、逃げているという極悪事件の想定。犯人が捕まる場所にいたのだが、これも同じ2車線の県道上。事前に1車線をパトカーを何台か止めて通行規制し、犯人役の警察官2人が乗った警察車両を待ちかまえる。
僕はちょっと時間に遅れてしまった。やばいな、と思いつつ現場に行くと、パトカーが並んでものものしい雰囲気。ああ、間に合った、と思って警察車両の前にデミオを止め、急いで車を降りると、「待たせていましたから」。ああ、犯人役の人がどこかで待ってくれていたのはうれしいのだが、2車線のうち1車線の規制を長引かせてしまったのだな、と思うと、ちょっと心苦しかった。
僕が現場に着いた直後、犯人役の車両が現着。シナリオ通り、検問にひっかかり、車を停止させられると、周りにいた警察官、妙に張り切って訓練なのに、大声を張り上げながら、車のドアを開けて犯人役の警察官を引きずり出し、路上で馬乗りになって押さえ込んだ。確かに大迫力で、絵的には素晴らしかったのだが、それを脇見しながらのろのろ走る車のせいでやっぱり大渋滞。その場で一生懸命写真を撮りながら、なんとなく、後ろめたかった。
警察には権限がある、怖いのは、その権限に慣れてしまって自分たちが引き起こしている「迷惑」も「当たり前」と思ってしまう、その心かもしれない。