午前11時34分博多行きののぞみ自由席に乗り、向かうは新神戸。一緒に向かった人がスモーカーであったので喫煙車に座ったのだが、僕にとってはガス室みたいなものだった。駅でタクシーに乗り、ダッシュで三宮の高速バス乗り場にたどり着き、向かったのは淡路島。
名古屋は曇りで寒かったのだが、神戸は暖かく快晴だった。明石海峡大橋は見晴らしが素晴らしい。北部の山岳地帯を抜ける。山を最大限利用した棚田が有機的な曲線の模様を描いていて、これまた素晴らしい風景。高速道路が横に通っているのが残念に思われるぐらいである。
淡路島はかなり前に一度、通ったことがある。ただ、通り抜けただけであまり印象に残っていないのだが、かなり標高があって、起伏に富む。三原町に至り、町内をあちこちまわって仕事をする。巨大な鳥居が目に入った。おのころ島神社といって、国生み伝説の中心地なのだそう。日本書紀などによると、ここから日本が誕生した、ということになっているらしい。真偽は別にして、三原平野の真ん中にこんもりと山があって、鎮守の森がそれを覆っている姿は、霊験あらたかなたたずまいがある。
2時間ちょっと町内をはいずり回り、5時すぎの高速バスでとんぼ返り。名古屋着が午後8時。土地の名物を味わう余裕すらない。
あまりパッとしない様子だったが、大阪、神戸の大都市圏からすぐ来られる場所に豊かな自然があるのだから、ちょっとうまくやれば、人が集まりそうな島であった。残念なのは、その土地の良さは、昔から住んでいる人にはあまり感じられない、ということだ。都市に疲れた人の癒しの場というコンセプトで、地元の味を生かして儲け抜きであれこれ仕掛けを作ると、ひと化けするのに。