月: 2003年10月

10月19日

 朝起きたら体のあちこちからめりめりと音がしそうな疲労感があった。さすがに、Sタイヤでの走行は、体にこたえた。ストリートラジアルでは「Vスペシートで十分」とうそぶいていた僕だが、Sにしたら、絶対にノーマルシートでは走れない。けつがあざだらけ、皮が2、3枚むけてしまうに違いない。

 中板橋の新婚宅で目覚めて、道路状況を調べようとネットを見てみると、東名高速で6人死亡した大事故があり、掛川あたりで通行止めになっていることを知る。人がこれから、ぶっ飛ばして帰ろうというのに、ものすごくタイミングが悪い。

 中央道経由で帰ろうかとも思ったが、僕が通るであろう11時すぎには通行止めも解除になっているだろうと楽観して、東名を選択する。環状7号を東名高速に向かう。最初はとっても調子が良かったものの、中央道との交差あたりから、とんでもない渋滞にはまってしまった。東京の街はこんなものか、と思ってのろのろ20分ほどはまっていったら、3車線だったところを2車線に絞る場所にもかかわらず、さらに工事のおっちゃんたちが1車線をふさいで、道路の線引きをしていた。ふざけるな。

 東京インターから東名へ。順調にぶっ飛ばすものの、通行止めは解除されない。まずいぞまずいぞと思いつつ、さらにぶっ飛ばしていると、ほんの通行止めの直前のサービスエリアである。ちょうど給油のために牧ノ原サービスエリアに入ったところで開通したらしく渋滞10キロという表示に変わり、少し長めに休んでいたら、解消していた。グッドタイミングである。

 掛川インターのところで路面にオイルを処理した石灰がまかれていた。ここで数時間前に何人も命を落とした、と悟って、ちょっとびびる。渋滞は完全に解消していて、順調に名古屋へ。

 目的地は東海市。名古屋インターで下り、下道を走って名古屋高速四谷インターから知多半島道路へ。仕事をする場所に車を止めたが、助手席もなく、タイヤを満載している僕のクルマは相当怪しいオーラを放っていた。

 筑波決戦のために相当無茶をしたつけが来て、深夜まで仕事。

10月18日

 友人Kに光が丘まで迎えに来てもらい、そのまま彼のアルバイトの仕事場へ連れて行ってもらう。同業者からホテルマンに転職し、今度選んだ職業はなんと花屋さん。僕と同い年の人が経営しているお店で半年後から働くことになったのだ。なぜ、半年後からしか雇ってもらえないかは、野暮だから書かない。

 会った瞬間からピンと来た。店の中になぜか置いてある朽ちかけのNSR。パソコン前に置いてあるいすは、なぜか180SX純正のシートだ。「日産純正部品」と書かれた袋にはガソリンタンクあたりのものと思われる、馬鹿でっかいOリング。無造作に置かれたインタークーラー。ホワイトボードにはこの経営者のスケジュールが書いてあったのだが、来週の平日の日に二本松へ出張、と書いてあった。間違いない。

 僕と同じ、車ヲタクなのであった。自称、変人、ということであった。変態ではない、ときっぱりと否定していた。健康的なヲタク、ということなのだろうか。

 そんな彼と車をばらすときの心構えや、整備中のさまざまなけがのことや、車乗りは距離感覚が壊れるよね、という話やら、イタメシを食べながら、かなり濃いヲタク話をしながら夜が更けていった。友人Kの実家の布団で寝たのは午前零時すぎだったと思う。

 ぜんぜん寝られなくて、20分に1回ぐらい目を覚ましてしまった。筑波で走ることを考えれば、寝て体力を蓄えた方が良いに決まっているのだが、遠足前の小学生のように、興奮して寝られない状態。ようやく、寝付いたと思ったら3時半に携帯の目覚ましが鳴った。

 ちゃちゃっと着替えた。この間買った、つなぎである。車ヲタクであるのなら、やっぱりそれなりの格好で乗り込まねばなるまい。

 木曜日に心配したとおり、辺りが寝静まっているときに、爆音で静寂を破るのも申し訳なかったので、車を駐車場の外まで押してエンジンを掛ける。友人Kが外環のインターまで先導してくれた。持つべきものは良き友だちである。

 筑波まではスムーズに行けた。が、天気予報ではせいぜい曇りだったはずなのに、筑波周辺は雨。そのままコース上がウエットだったらアクセルは踏めない。

 が、雨もやんで気持ちよくドライコンディションで走ることができた。まじで筑波は面白い。興奮の午前中があっという間に過ぎた。

 表彰式がサーキット正面のレストランであり、お開きになると同時に時計をみたら、かなりやばい時間だったので慌てて飛び出してつなぎから、スーツに着替えて、ろくに挨拶もせず飛び出した。午後3時までに港区に行かねばならない仕事があったからである。

 常磐から首都高6号線、C1と入って芝公園で降りる。順調で、なんとかぎりぎりで間に合った。

 仕事が終わり、中板橋の新婚宅へ、再びあつかましくも泊めてもらうために転がり込んだ。しかも、晩飯&ビールもおごってもらって。この厚顔。

10月17日

 8時に起きだして、今日は市バス、地下鉄と乗り継いで日比野へ。今日も市場である。

 とにかく時間がない。1時30分ぐらいまでに新幹線に乗らなければならないにもかかわらず、パソコンと携帯電話をつなぐケーブルをなくしてしまったので、新幹線のなかでゆっくり仕事をすることができなくなってしまった。今日の仕事は市場で場所をかりて片づけなければならない。

 がちゃがちゃっと仕事を終わらせたらまだ正午前だった。人間、やればなんとでもなるもんだ、と感じつつ、時間が余ったので、市場の食堂へ。イクラとネギトロの「二色丼」を食べた。

 名古屋駅。のぞみの指定席を取ろうと思ったら、いずれも満席で、ひかりの指定を取った。やっぱり、のぞみの指定が取りにくくなっている気がする。不便だ。午後4時に代々木での仕事があるので、品川で下りた方が便利。新幹線新駅ができてから初の品川である。山手線で代々木。仕事をして大江戸線で光が丘。友人Kと合流。

 

 明日は筑波決戦である。去年の初参戦と今年ではえらく仕様が変わっている。

去年 ノーマルエンジンFreedom制御軽量フライホイール3.7kg。タイヤはワタナベアルミにネオバ195-50R15。バネはフロント10Kリア8K。ふん詰まったマフラー。どうも、このマフラーのせいでかなり車は遅かったみたい。それでも「調子がよい」と喜んで乗っているのだから、人間の感覚なんていいかげんなものである。

去年ふん詰まったマフラー

今年 1722ccボアアップエンジン4連スロットルin272ex288カムFreedomDジェトロ制御軽量フライホイール3.7kg。マフラーはRSfactorySTAGEの二寸管。12K10Kのバネ。軽いエンケイのRP-F1にADVAN048Sタイヤ195-50R15(おニュー)。自分で言うのもなんだが、去年と比べてかなり速い。

今年

 はっきり言ってしまえば、これで変なタイムだったら腕の問題となるわけで、1年かけてしこしこ車を作って退路を断った形。一年に1度のことだから、気合を入れて走ろう。

10月16日

 朝5時半に起き出して、準備を始める。といっても、着替えを積むぐらいのものだ。そのまま、ロードスターに乗り込み、市場に向かう。

 市場で仕事した後、腹が減ったので市場内の食堂に入る。入り口に「アナゴ丼750円」という掲示があったので、今日は東京まで運転しなければならないことだし、朝っぱらから丼を食べることにした。

 アナゴってちょっぴり高級な食材なので、750円という値段も考えれば、「アナゴ丼」と言ったって、どんぶり飯の上に申し訳程度に一切れ二切れ載っている程度だろう、となめていた。「おまちどう」と運ばれてきた丼を見て、仰天したのである。ちょっぴり小ぶりだが、アナゴの丸ごと天ぷらが載っていた。しかも3匹も。朝からこれはつらいなあ、とつぶやきながら、食べ出すとなかなかの美味。

 が、このアナゴたちは頭が落としていない。どうも、ぎざぎざの歯は笑っているみたいでグロテスクだし、ころもの下からにらみつけられている気がして落ち着かなかった。マケテナルモノカと、完食。

 仕事をちゃきちゃきと片づけて、午後3時、新品タイヤが4本も室内に積んでいるのでゴム臭いロードスターで出発。名古屋高速経由で中央道へ。ちょうど、松本で用事があった友人Kと諏訪あたりで合流し、自宅まで連れて行ってもらう手はずである。

 5時に諏訪あたり、と伝えてあったとおりに通過し、ちょうど友人Kも諏訪南インターから乗ったと連絡が入った。これならすぐ追いついて、双葉サービスエリアあたりで給油して休憩すればよいだろう、と思っていたのだが、走れども走れども追いつかない。ゆっくり走っているベンツに捕まってしまったこともあるけれど、いくら何でもおかしい。

 双葉を過ぎても追いつかなかったので、今度はガソリンが危機的状態になった。すでにEの位置を差している。しびれを切らせて、「どこにいる?」と聞くと、「もうすぐ談合坂」との答え。10キロぐらい先を走っているらしかった。どうやら、追いつかれまいと、愛車のデミオでぶっ飛ばしているらしい。

 談合坂まで20数キロという看板を見て、ガソリンの量を見る。どうみても、あと5リットルも残っていない感じ。やばいやばい、と思いつつ坂道を上り、なるべくアクセルを踏まないように坂道を下った。

 談合坂のサービスエリアに入ると真っ先にスタンドへ。44リットル近く入った。高速道路ではかなりやばい状態であった。

 都内では比較的スムーズに走ることができ、練馬の友人K宅へおじゃまする。閑静な住宅街の中、奥まった場所にある駐車場に、ひときわうるさい車が駐車する。土曜は午前4時ぐらいに出るからかなり迷惑。駐車場の外まで押してからエンジンを掛けた方が良いかもしれない。

 7時半には到着したから、4時間ちょっとかかったことになる。都内が込んでいたことを考えれば、東名とそれほど時間は変わらないみたい。

 友人Kの両親にお土産のきしめんを渡しつつあいさつして、地下鉄の駅前にある白木屋グループの魚民で飲む。9時7分の地下鉄に乗らないと帰れなかったので、時間は1時間。短期決戦で最初に注文しまくり、ビールを流し込んで、3杯飲んでお茶漬けを食べ終わったところでタイムアップ。居酒屋でこれほど急いで飲み食いしたのも初めてだ。

 池袋から東京。午後10時発最終ひかりで名古屋。最終の地下鉄で藤ヶ丘に戻ってきた。いずれも意識を失っていたから、東京駅からワープしたみたいだった。

10月15日

 週末に備えて朝ゆっくり寝てすごし、おもむろに起き出して、まずは洗車を始めた。もちろん、今日は出勤する日なのだが、そんなことはお構いなし。電話がかかってきたら、適当に答えてごまかしておけばよい。何しろ、明日、東京へ車を置いてこなくちゃいけないのだから、準備するのは今日しかないのである。

 金曜日の夜に洗車したばかりだったのだが、度重なる雨で無惨な姿になっていたので、再び最初からやり直す形。平日昼間から一生懸命洗車している姿を見て、近所の人は、ついにあそこの不良息子がリストラされた、と思っているに違いない。ワックスまでかけて、17万キロ超のポンコツにしてはまあまあきれいになった。

 下回りに潜って怪しげな作業をする。そういえば、ボルトがなかったのでホームセンターに買いにいったりして、けっこう時間を取られてしまった。

 そして、助手席を外す。軽量化のため、もあるけれど、もう一つ重要なのは、タイヤを運ばなければならないのだ。

 一年に1度走れるか走れないか、の筑波サーキットである。晴れの舞台なのだから、きちんとおめかししていかねばならぬ。おしゃれは足下から、ということでアルミホイールを新調した。マクラーレンと同じデザインのものを新品で購入してあった。それに合わせてタイヤも新しくしてある。ニューネオバの強力グリップと比べてどうであるかは、まだ走ったことがないから分からない。もったいないから、筑波で付け替える。だから、助手席を外さないと4本タイヤが詰めないのだ。

 4本並べてぱちり。ぴかぴかのホイールは気持ちがよろしい。

10月14日

 「じゃあ、金曜日に来てください」

との電話の向こうの声に、頭から血の気が引いていったのである。筑波決戦に集中したいのに、前後にたくさん仕事が入ってしまって困っちゃった。

 筑波決戦は土曜日午前6時から。金曜日は毎週、市場へ行く仕事があって、それが終わればそのまま帰ってしまってもかまわないので、ロードスターで出勤して午後6時ぐらいに終わり、そのまま東名で筑波に向かうスケジュールを立てていた。車の中で1、2時間寝るぐらいが精一杯だが、仕方があるまい。ちなみに土曜日は午後に都内で仕事があるので、走行会後もゆっくりできない。それでも、スケジュールはなんとななるはずであった。

 が、明日か明後日に東京で会おうと考えていた人が、金曜日しか時間がない、という。月曜までに仕上げなければならない仕事なので、なんとしても今週中に会わねばならない。金曜日は市場の仕事があるので、金曜なら物理的に夕方にしか会うことができない。

 「木曜日に何とかなりませんかね」

と、交渉したが、時間がなくて無理、との返事。どうしよう。受話器を抱えたまま、わずか1秒足らずの間にあれこれ計算が頭を駆けめぐったのである。

 仕事を優先すれば、筑波決戦をあきらめる。が、僕は車人間であって、仕事人間じゃないから、この選択肢はあり得ない。じゃあ、東京まで行っておきながら、新幹線でダッシュで名古屋まで戻り、ロードスターに乗ってまた筑波までとんぼ返りする。これなら、何とかなる。が、かなり体力的にはキツイ。なにより、土曜日の仕事に差し障るかもしれない。

 一番良いのが、市場で仕事した後、東京へロードスターで向かうことだが、ちょっと時間がタイトすぎだし、運転していたら金曜日の仕事ができない。困った。

 が、体力と時間を犠牲にすれば何とかなる作戦を考えついて、金曜日午後4時から会う約束にした。

 作戦とは、前日にロードスターを都内に置いておくことである。練馬に住んでいる友人Kの実家に前日に行ってロードスターを置いておき、金曜日は泊めてもらう。そして、朝早く起きて筑波入りする、という体力勝負の案である。電話しながら直感で思いつき、それしかない、と確信した。

前日にロードスターを都内に置いておく

 ちなみに、今日の昼、大阪で仕事をしていたら、ある人から電話があり、「日曜日午後1時半に東海市に来てくれない?」とのこと。

今日の昼、大阪で仕事をしていたら

 さらに! 東名高速が集中工事であるとの情報が入った! 名古屋−東京間が7時間近くかかるという。中央道経由に決定。ちょうど、友人Kが松本で用事がある、ということなので、木曜日夕方、諏訪辺りで落ち合って一緒に都内入りすることとなった。土曜日は先日お世話になった新婚宅で再び泊めてもらう。

 滅茶苦茶で頭がこんがらがってしまう。以下に整理してみる。

15日(水)

 午前中に仕事をさぼって車の準備をしておく。午後仕事(飲みにいくかもしれない)。深夜帰宅。

16日(木)

 午前7時すぎにロードスターで市場に行って仕事をし、それから仕事場でいろいろ片づけてから、午後3時には仕事を切り上げ、中央道へ。諏訪のサービスエリアで友人Kと落ち合い、練馬区入り。最終近くの新幹線で名古屋に戻る。午前1時ごろ帰宅。

17日(金)

 午前9時ごろから市場で仕事し、昼ごろ新幹線で東京に向かう。新幹線の中でこの日の分の仕事をして、午後4時から人に会う。夜、友人K宅に泊めてもらう。

18日(土)決戦当日

 午前4時ぐらいに起きて、友人K宅の家人を起こさないように出発(爆音だからどうしよう)。筑波入り。午前中走行会。午後3時ごろから都内で仕事。それから、中板橋の新婚宅に転がり込む。

19日(日)

 集中工事も終わっているので、東名で名古屋に向かう。午後1時すぎから東海市で仕事。

 おお、完ぺきなスケジュールだ。

10月13日

 2日間、車三昧ですごしてしまったのだから、今日ぐらいは仕事をせねば、と朝早く家を出る。視界が悪くなるぐらいのかなりの大雨で、助手席側や天井の穴から思いっきり雨漏りする。

 向かったのはいつもの市場の近く。国道1号沿い。何しろ、雨漏りがひどいので、そのままにしておくわけにもいかず、新幹線のガード下で雨宿りして、対策を講じる。といっても、幌回りのゴムを引っ張ったりして調整するぐらいだが。

 2時間ぐらい仕事をして、それでは、と挨拶したころには雨はほとんど止んでいた。建物から出てロードスターのドアを開けて絶句。エスケレートの座面が池になっていた。調整した助手席側の浸水はなかったのだが、今度は運転席側から激しく水が入ったらしい。

 トランクの中のぼろ切れで必死に吸い取って池はなくなったのだが、まだぐちょぐちょの状態。その上にスーツ姿で座らねばならない。とほほと思い、覚悟を決めて乗り込む。さすがにもろに座る気にはならず、足と背中で踏ん張って、お尻を浮かしたまま走り出した。

 が、そんな体勢危ないに決まっている。なにかないか、と思いあちこち引っかき回したら、コンビニ袋を発見! シートに敷いてなんとか走り出すことができた。

 そろそろ幌が限界かもしれない。

10月12日

 朝5時半ぐらいにモーニングコールがなった。ぎゃるぎゃるからであったら、寝不足であろうが、はぐっと、ばっちり一瞬で目が覚めるはずなのだが、そんなわけもなく、また寝たくなるような感じだったが無理して起きた。

 中部ミーティングに参戦するのである。どうせ行くなら、早めに行って宴会してしまおうという企みがあって、ゲートが開く午前8時半よりも前にたどり着く手はずだった。

 中部MTまでの道のりは、バネを変えた効果を試すのにちょうど良いうねうね道である。路面はウエットであったから、ニューネオバのウエットグリップも試すことができる。

 瀬戸方面に向かい、さっそく足回りを試す。12k10kのバネだと、普通の人なら、激しい突き上げで、脳みそがばらけちゃうかもしれない、と思うかもしれない。が、数字から受ける印象とはまったく違って、しなやか。ちょっと大きなギャップではさすがに突き上げ感が大きいが、路面のうねり程度であれば、まったく苦もなく通り抜けてゆく。

 さすがにレートアップしただけあってコーナースピードがかなり上がっている。限界すらまだつかめない感じ。路面は完全ウエットなのだが、まったく不安なく走ることができるのは、新ネオバ、かなりの実力である。

 国道153号に合流すると、沿道に停車しているロードスターがちらほらと。のろのろと走って8時前には治部坂高原スキー場に到着したのだが、開場前だというのにすでに数十台のロードスターが集まっていた。みなさん、気合が入っている。あいにく、霧雨が降ったり止んだりの天候。風がなかったからそれほど寒くなかったのが救い。

 ミーティング開始。ミーティングでまずすべきことは、ショップ出店やフリーマーケットで掘り出し物を探すことだろう。NBのマキシムのエキマニ9000円、なんていうものもあった。

 楽しみにしていたのが、マルハの出店なのだが、期待していたエンジン系パーツは格安オイルフィルターや点火プラグぐらいで、純正部品が多く並んでおり少々期待はずれ。ま、ミーティングに持ってきても売れる物じゃないから仕方がないか。ディスプレーぐらいしてくれるか、と思ったのだが。

 なんとなくすごしていたら、バンバンバンとなにやら破裂音が会場内に炸裂した。すわ、某宗教団体の奇襲か、と思ったら、某ショップのでもカー。ふるチューンエンジン直管仕様の爆音の上、アイドリングが厳しいため、常に小刻みにアクセルをあおる必要がある。主催者真っ青。あり得ない爆音であった。BP2リッター296度カムなのだそうだ。ネタとして会場近くでサイレンサーを外してきたらしい。

 雨が降っているのでオリーブボールさんのテントで油を売ったり、殻付きカキを食ったり、カップヌードルチーズカレー味を食べたりして、のんびりすごす。前から一度会ってみたいと思っていた人や、このページにだまされて、修羅の道にはまりこんでしまった学生などと知り合うことができた。大収穫。

 ミーティングもお開きになって、ショップの出店も片づけだしたころ、再びあのでもカーがエンジン始動! バンバンバンバンバンバンと、暖機がすむまでの間、小刻みにアクセルをあおり続けるのは反社会的な香りがして思いっきり笑った。背後にある山全体が爆音で震動するほどの音量。山の近くで花火を上げると山全体から破裂音が跳ね返ってくるのを聞いたことがある人もいると思うが、ちょうどあんな感じ。紅葉に向かっている木々の葉が全部落ちるかと思った。2年前の鈴鹿で聞いたF1の排気音の次にびびった音であった。

 帰り道はドライになっていたので、思いっきり走ってみる。コーナーでいくら踏んでも、オンザレール状態で曲がって行くので、新エンジンで初めて走って全開で以来久しぶりに恐怖感を味わった。18日の筑波、大丈夫かしら。

10月11日

 早朝に市場に行くよう指令がくだされ、サラリーマンの悲しい性、命令されればそそくさと出かけるのであって、今日も朝一番から仕事をした。

 が、7時すぎには暇になってしまった。仕方がないので、三重方面に向かう。

 F1ではない。F1は高すぎるからあきらめた。同じ鈴鹿のサーキットでも、ロードスターが親しみやすい、モーターランド鈴鹿へ向かう。先日の富山での走行会で初めて会った方が、ショップ走行会にエントリーして走るというから。オリーブボールさんもサポートに行くという。朝の7時すぎに熱田区にいるのだから、国道1号を走ってちょちょいと県道、国道と走っていけば、そこはモーターランド鈴鹿、遊びにいかねば損である。下道でとことこ走り出す。

オリーブボール

 三重に入り、四日市東インターを通過。高速のすぐ横を走りながら行ったら、やっぱりF1が開催されるだけあって、大変込んでいた。鈴鹿インター近くでは、8時半というのにすでに数キロの渋滞。やっぱりF1ってすごい。予選ですら、この状態ということは、佐藤琢磨効果もあるか?

 モーターランド鈴鹿に到着してパドックを見回すものの、お目当ての方がいない。ドリフトクラスやグリップクラスを見学しながら待っていたら、現れた。やはり、F1渋滞にはまっていたとのこと。

 Freedomが不調だ、というので、同乗走行してパソコンとにらめっこすることにした。ヘルメットならトランクに常備している。

 この方は、長いキャリアを持ち、僕なんかよりも数ランク上のドライビングをする人で、当然、速いタイムをたたき出す。タイムが良い、ということは、それだけコーナーの旋回速度も速いわけで、助手席に乗ってしまったら、そのGに翻弄されてしまうことはうけあい。ノーマルシート、ノーマルシートベルトであるから、Gを受け止めるとしたら、自分の力しかない。そんな中でパソコンを見ながらセッティングしようというのだから、残りの脚力で激しい横Gに立ち向かわねばならない。

 速い人の助手席に乗ることができる、というのはそれだけ自分の経験になるわけで、わくわくしながら同乗走行。僕はパソコンとにらめっこ。車はコースインしていく。

 何とかなる、と思っていたが、想像以上に厳しい環境であった。両手はパソコンにそえられているから、あとは足で突っ張って耐えるしかない。足でフロアに踏ん張り、背中をシートに押しつける。もちろん、この姿勢ではおしりは浮いている。

 走りだして少し後悔する。なにしろ、Sタイヤなど付けたことがない自分では体験したことがない横G。しかもドライバーがスペシャルなので、かなり激しい横Gにまさしく翻弄される。だって、画面ばかり見ていて、コーナーに備えていないんだもの。

 コースインして、まず最初にヘアピン。そこから直線はぐわっと強力エンジンが炸裂し、高速コーナーでリアの流れを感じつつ、速度が乗ったところで突然の急ブレーキ。と思ったらその縦Gは横へと推移してゆき、ヘアピンをクリア。また、直線を炸裂していって、インセクション手前のだらっとしたコーナーを横滑りしながら侵入し、そのまま真横すべりになって突然の加速。そのまま右へ体が吹っ飛んだと思ったら、次の瞬間、強烈に左にはじき飛ばされる。その間、僕はパソコンをぱちぱちやっているのである。

 どうも、僕が横に乗っていようが、本気走りをしていたようで、容赦ない縦横Gがぶち当たってきた10分。降りたときにはへろへろであった。いろいろいじってみたが、症状には変わりがない。

 噴射量マップをいじっても変化がないので、非同期噴射、加減速補正、点火時期、いろいろやってみるも、だめ。2本目にも同じように同乗させてもらって、再び15分間の強烈タイムをすごしたら、気分が悪くなった。普通に走っている車で本を読んだら、弱い人は車酔いするだろう。それが激しく走っている車の中で、パソコンだけみてぱちぱちやっているのだから、おかしくなるに決まっている。頭から血の気が引いていく。自分が走っているときはハンドルで体を支えているのだから、踏ん張りがきく。が、助手席。手はパソコン。足で踏ん張っているしかないのだから、余計に疲れた。速い人だと、ノーマルシート同乗走行はかなり体には厳しい。

 なにかエンジンの様子がおかしい、というときに、空燃比計があるととても楽だ。アクセルとエンジンがどの状態のときに燃調が不調になるぐらい濃く、あるいは薄くなったかが分かるから、だいたい類推して、そこを修正するとばっちり直る。今回は空燃比計がなく、試行錯誤で改善していったから、余計手間が必要だった。空燃比計は高い買い物だが、僕みたいに経験のない素人だと素晴らしい働きをする。

 最後、あとはここしかない、という場所をいじったら、ようやく不具合が消えた。だてに4スロで13000キロも走っていない。フィーリングが向上し、とっても満足してくれたみたい。

 時間はすでに5時。そこからオリーブボールに寄り、場所を借りようと思ったら大盛況だったので空いておらず、店内で遊んでいてしばらく待ってからリフトを借りる。18日の筑波に向けて足回りを交換しておきたかった。現在はフロント10kg/mm、リアに8kg/mmのバネを付けているのを、フロントを12キロにして、外した10キロをリアに回す。リフトがあるとっても楽。

 大変厚かましく、翌朝3時に出発するというのに、夜10時ぐらいまで油を売っていた。