月: 2003年8月

8月17日

 朝から友人のエンジンをおろす。

 体調が悪く、どうも風邪をひいてしまったらしい。それでも、僕は排気側を担当して、エキマニ、パワステ、エアコン、ヒーターホースなどを外した。

 午前10時から始めて2時ぐらいには降りたのだが、まだまだ。

 調子が悪い中、名古屋まで戻る。高速を使えば3時間半。

8月16日

 国道41号をひたすら北上。5時間半ほどして富山に到着する。

 昼間からビールを飲み始めて、一度つぶれて夜に再び宴会へ。バーベキュー大会となったのだが、すでにアルコールが体中を駆けめぐっていて、鉄板の上で焼いたちゃんちゃん焼きをひっくり返したりして大暴れ。「あんた、いつまでも成長しないね」と感心されてしまう。反省。

8月15日

 両親が奥三河のばあさんの家に行き、メシにありつけなかったので、2日連続で知人の家に転がり込んで、安すし屋に行ったりしてごちそうになった。

 敗戦記念日。お盆と迎え火送り火。60年近く前の出来事。人の命についていやおうなしに考えさせられる期間。

8月14日

 世間ではお盆だといって、帰省したり旅行に行ったり、サーキットへ走りに行ったりしているみたいだが、僕は問答無用で市場に行かねばならなかったので、いつもより少し遅めの午前6時に顔を出した。

 市場は15日から3連休なので、それはそれは忙しくてだれもが走りまくってあわただしいに違いないと想像していたのだが、いつもの光景とそれほど違いはなかった。休みは事前に分かっていることでその間の生鮮食品の手当は事前に終わっているのだろう。何よりも、売れていない。野菜など高騰しているに違いない、と思っていたのだが、それほど慌てる状況でもないらしい。やはり、夏はきちっと暑くないと調子が悪い。

 多くの人が休んでいるこの期間に、むさ苦しい仕事場に缶詰になって電話を取っているのもおっくうだったので、知り合いの家に転がり込んで、コーヒーやら昼ご飯やらを出してもらいながらのんびりと仕事をした。

8月13日

 セッティングの最中にS2000に追っかけられた。加速でまったく太刀打ちできず、こちらは必死なのだが向こうはどうやらアクセル全開にもしていない様子であった。

 そのときである。バックミラーの厳ついヘッドライトを見ながら加速し、シフトアップ。ばふっと煙がS2000にかかっていた。

 2つのケースが考えられる。一時的に濃すぎる燃調になって、黒煙が出ているということ、もう一つは、シフトアップでアクセルを戻して吸気ポートの負圧が高くなったとき、バルブガイドからオイルが吸い出されて燃焼室内に入って燃えていること。

 燃調なら改善の余地があるのだが、オイル下がりであれば、ヘッドのオーバーホールをしないと、直らない。以前、1速でぶん回していたとき、黒煙がでていたことを思い出す。

 が、今日オイルの量を見てみたら、0.5リットルぐらい減っていた。しかも、マフラーの回りのバンパーがすすで汚れている。前にレベルゲージを見たのはいつだったかははっきり思い出せないが、最近であることは確か。月曜から火曜にかけて400km走り、セッティングのために高速上で全開を何度も繰り返して7000回転キープで走っていたりするのだから、それぐらい減っても仕方がないか。

 まだジムカーナでしか走っていないエンジン。サーキットに行く前に壊れちゃうかも。金と手間を掛けなくても速いS2000に乗り換えるか…。

8月12日

 Freedomのセッティングがあまりにもいまいちだったので、きちっとやることにした。今は外気圧補正をどうやったら良いか悩んでいるのだが、それ以前に、平地できちっとしたセッティングを出さないと、高地に行ったって調子が悪いに決まっている。

 まずは、スロポジを調整する。どうも、アイドル接点の調整が甘くて、少し踏み込まないとアイドル制御から抜け出さない。本当に微妙なところなのだが、ここが甘いとアクセルオフや踏み始めでギクシャク感が出て不快。きわめて重要なポイントだったりする。街中でおもむろにボンネットを開け、パソコンをエンジンルームまで持ってきて、微妙な調整をする。街中で調整するのが変態車野郎の快感だったりする。

 セッティングを1からやってみることにした。基本的にNEKO空燃比計を使った学習に頼るやり方。Dジェトロでシングルスロットルであれば、本当に簡単に終わってしまう。なぜなら、吸気管内の圧力(=吸気圧)に吸い込んだ空気の量が比例しているから、空燃比フィードバックを元にした学習をONにして走っていれば、きちんとセッティングが取れてしまう。本当にお手軽で、ROMチューンに匹敵するぐらい簡単な作業だ。

 が、4連スロットルは吸気管内の圧力と吸い込んだ空気の量との比例関係が崩れてしまう。パーシャルでも全開時とほとんど変わらない吸気管圧力になってしまうのだ。ここら辺の理屈はなかなか難しいのだが、シングルスロットルが空気だまり(=インテークマニホールド)の中の空気を吸っていて、インマニ内の空気の圧力によって吸入量が変わるイメージであって、基本的にはスロットル開度が吸気管内の圧力を決めている。それに対し、4連スロットルは開きはじめはシングルスロットルと同じように吸気管内の圧力と各気筒が吸っている空気の量が比例しているのだが、スロットル開度がある値を越えるとこの比例関係が崩れてしまい、吸気管内の圧力は大気圧と変わらなくなってしまう。スロットル開度30%(だいたいこの辺りで比例関係が崩れはじめる、ということで、状況によって変わる)と全開でも、同じ吸気圧の値(=750mmHgぐらい)が出てしまうことになるのだ(6000回転以上ではちょこっとスロットルを開けただけで750mmHgあたりになるので非常に濃い燃調となる)

(だいたいこの辺りで比例関係が崩れはじめる、ということで、状況によって変わる)(6000回転以上ではちょこっとスロットルを開けただけで750mmHgあたりになるので非常に濃い燃調となる)

 全開と30%で同じ噴射量であることになり、どうなるかといえば、スロットル開度30%ではスロットルバルブが吸気の邪魔をしているから、その分抵抗になり、空気の吸入量は少ない。ここに全開のときの燃料をぶち込めば異常に濃くなるに決まっている。吸気管内の圧力で制御しているDジェトロを何の補正もなく使っている限り、パーシャルからある程度のスロットル開度までは濃くなってしまうのは避けられないみたい。スロットルが閉じているほど、濃くずれてしまう。

 つじつまを合わせるために使うのがスロットル開度補正である。例えば、スロットルが30%開いているときに、燃料をどれくらい減量する、ということを指示できる。だから4連スロットルをDジェトロでセッティングしようと思ったら、噴射マップとスロットル開度補正マップの2つをうまく使って燃調を合わせる必要があるのだ。やってみれば分かるけれど、これは、とてもややこしい。

 で、まずは噴射量マップがきちんとできていないとお話にならない。上記の理由で、とてもややこしいことになる。なにせ、少しスロットルを踏み込めば、Freedomは全開と判断してしまうのだ。

 僕がいままでいろいろ試した手順は以下の通り。まずはスロットルマップにすべて1.0000が入力されているものを転送して、スロットル補正をカットする。

 スロットル開度20%程度までで3000〜6000回転ぐらいまでの領域で走って学習させてとりあえず普通に走るようにする。その後、全開の領域(=750mmHg前後)を学習させる。フィードバックを切っても、スロットル全開で空燃比が良い加減になっていることを確認して、とりあえず、全開時のセッティングは終了。その後、フィードバック上限吸気圧を700〜720mmHgあたりにする。これはせっかく学習した全開領域のマップの数字を保護する意味合い。そして、しばらく走行してスロットル開け始めの領域を煮詰める。

 この状態でフィードバックを切って走り出すと、スロットル開け始めと、全開のときには狙った空燃比に来るのだが、パーシャルの領域が非常に濃い。下手すると空燃比10よりももっと濃い「RICH」という表示が出るくらい。

 ここで、「スロットルマップ学習」を使う。今までのが噴射量マップに対する学習だったのに対し、今度はスロットル開度に応じて減量することを学習させるのだ。どうも、スロットルマップだけではなく噴射量マップも少しずつ学習させていくみたいなので、まずはすべてのデータを保存しておき、スロットルマップを一定時間学習させたら、もとの噴射量マップだけFreedomに転送して元通りに直すことにしている。

 これでもか、というぐらいに走行してある程度マップを学習させ、あとはパソコン上でマップとにらめっこしながら、でこぼこを修正し、再び走ってみて空燃比の状態を見る。ということを繰り返す。非常に面倒だ。「今、Freedomのどの機能を使ってどこの領域について学習させているのか」をきっちり把握して段階を踏むのが分かりやすいセッティングのミソ。

 注意しなければならないのは、セッティングをしている場所の標高だ。海面レベルから300メートル上っても、スロットルの状態に対応した吸気圧がずれてしまうので訳が分からなくなる。これを補正するのが外気圧補正なのだが、吸気圧を変換するという方式であり、何となく信用していない。やっぱり名古屋高速のような一定の高さの場所でずっと走っていられる場所がやりやすい。

 4スロDジェのセッティングはこんな感じで面倒。しかも、経年変化でセッティングが変わっていっている気がする。ま、ずれといっても少々のもので、少し時間を取ってやれば簡単に治る。空燃比計が付けっぱなしなのだから、フィードバック補正を入れてやれば、いつでもご機嫌な燃調で走れるのだが、スロットル開度が大きく変わると、補正が付いていけずに少しギクシャク感がでる。これが嫌いだから、ちゃんとしたセッティングを取りたいのだ。

 シングルスロットルのDジェはきわめて楽だった。学習をONにしてあとは噴射量マップを学習させるだけ。スロットル開度と吸気圧が比例しているので、面倒な配慮は必要ない。外気圧補正も必要ない気がする。

 ノーマルのLジェトロのROMチューンであれば、一度空燃比を合わせればしばらくは調整する必要はない。が、シングルスロットルが前提となる。さらに、NA6CEの場合は外気圧によって空燃比が変わっていく。地上レベルで燃調を合わせても、標高500、600mのサーキットに行くと、1近く濃くずれてしまう。少し吹け上がりが重くなると思う。

 スロットル開度に応じて噴射量を決めるスロットル制御だととてもセッティングが大幅に楽になるらしいが、エアコン付きでISCVを使っていると、ISCVが増減する空気量の違いに対応できないらしい。Dジェトロの方がいろいろな「手」がある気がするのだが、スロットル制御も試してみたい。

 セッティング最中は全開走行を繰り返している。どうも、全開でシフトアップすると盛大な煙を吐いているらしい。燃料によるものか、オイルによるものか。セッティングがようやく終わったと思ったら、エンジンがブローしたりして…。

8月11日

 さすがに運転し詰め&おっさんと飲み続けの3日間は体にこたえた、ということにしておき、休みます、と仕事場に書き置きだけして、今日はさぼってやった。いちおう3日間の出張をしてきたのだから、だれも文句は言わないだろう。

 午前中ゆっくりすごして、やっぱりロードスターに乗りたかったので、炎天下、開幌にして走り出す。

 名古屋は34度ぐらいだったみたい。じりじりと肌を焦がすような日差し。クソ暑いのだが、ひたすら我慢して涼しげな顔してドライブしているのも、けっこう乙なものである。たぶん、エアコンがきいた車に乗っている人から見ると、「気持ちよさそう」と感じるのかもしれないが、本人は殺人的な暑さに耐え忍んで、努めて平気を装っているのである。走っていれば何とか耐えられる。ぎりぎりのところで我慢する。そんな内向きのストイックな気持ちよさなんて、本人以外はたぶん分からないだろう。

 瀬戸に向けて走り、中津川までつながっている国道363号をひたすら走った。恵那、瑞浪あたりまでは走ることもあるのだが、中津川まで行ったことはなかったから。

 緩やかな上りが続き、前が開けばハイペースで走っているのだが、水温は90度ぐらい。途中、車を追い越そうとしばらく2速で走ったら、水温が98度ぐらいまで上がった。一年前はサーキットで110度までは走っていたのだが、新しいエンジンにしてから90度を超えているのはまれなことで、久しぶりに水温計がそこまで高い数字を指しているのをみると、慌ててヒーターを全開にしてクーリングに入ってしまう。

 そして、旅先で友人と合流。もちろん飲みに行った。

8月10日

 宮城はもうトンボが飛んで秋めいた雰囲気。仙台空港からJAS機に乗って名古屋に戻る。台風一過で上空は空気も澄んで、あちこちに夏らしい積乱雲が出ていて、様々な雲の形に見入っていた。が、ところどころ秋めいた鰯雲なのが気になる。遙か南方には巨大な壁のように積乱雲が一列に並んですごい迫力なのだが、手前の積乱雲はちょいと盛り上がりに元気がない感じ。

 富士山が見えたのでデジカメで撮った。

8月9日

 午前3時すぎになんとなく目を覚ましたら、来た。ずずーんという不気味な音とともに、突き上げるような揺れとその後の横揺れ。震度3程度だからたいしたことじゃないのだが、やはり気分の良いものじゃない。7月下旬には、震度5や6が何度も襲ったのだから、震源地周辺に住む人の心労は推して知るべしである。

 観光ホテルに泊まったので朝はバイキング形式。スクランブルエッグやベーコンやスープやサラダ、ヨーグルト、果物、というのが一般的なのだが、ここは和食が充実して刺し身やとろろいもなどなどつい欲張って食べ過ぎそうな品揃えであった。残ったものはどうなるのかな、と余計なことを心配してしまうが、従業員たちで食べてしまうんだろう。

 松島の五大堂、瑞巌寺を見て回る。仕事に来ているんだが、せっかくだから観光してしまった。ここまでは曇りだったのだが、

 ヴィッツに乗って鹿島台役場。今回の地震で玄関の柱がぶっ壊れて、使用不可能になって職員が農協に避難してしまった。のみならず、隣にある病院まで壊れてしまって慌てて患者を避難させた、という町である。緊急時に増俸を集めて対策を取る役所と、けが人を受け入れて応急手当てをする病院が両方とも壊れてしまって逃げ出さなければならなかったのだから、ちょっと運が悪かった。建物が古いことと、盛り土の地盤が悪かったらしい。昭和37年と41年の建物は建築基準法が改正される前だから、鉄筋が空くなすぎるらしい。これぐらいの建物は大都市圏ならごろごろ残っているから、揺すったら同じように壊れる、ということだろう。

 地震の被害といえば、家がぺちゃんこになって住人がつぶれちゃうという被害を想像してしまうが、文字通りぺちゃんこなのは戦前とか戦後とか建てて物置にして手入れもしていない建物で、家屋が傾いたとしても1階部分がつぶれてしまうような被害は本当に少ない。それも、地盤や土台が悪く、事前に予想できる範囲。

 瓦屋根は本当に被害が大きい。ほとんどの家で何らかの損傷があり、浸水しないように青いビニールシートが掛けてある。広大に広がる田んぼの向こうに青いビニールシートが点在している光景は痛々しい。

 台風が来てしまっているので、大変だ。シートをかけていてもめくれてしまって水が入ってしまう。走りながらだんだんと風雨が強くなっていき、午後5時前には土砂降りの横殴りになったので、今日の宿泊地である仙台へ行き、チェックインする。

 酒飲みの二人で行動しているから、夜はもちろん居酒屋である。生ビールに冷酒をちょこっと。あとはホテルでやろう、という話になり、酒を求めてコンビニを探す。台風が直撃していた時間帯だったが、それほど風は強くはなかった。傘をさしてうろうろと街を歩く。が、1軒、2軒、3軒、4軒。回っても、アルコールが置いてあるコンビニがない。ぐしょぐしょに濡れながら、それでもアルコールを求めてさまよう姿は、非情に情けないのだが、そこは我慢できないのが酒飲みの性である。

 ホテルに戻ってビール1リットルと酎ハイを飲んで撃沈。