月: 2003年7月

7月20日

 なぜか朝6時に目が覚めてしまった。昨夜はホールで麻雀セットが引っ張り出されてきて、メンツに巻き込まれたらまずい、とトイレへ行くふりをしてそろりと抜けだし、自分の部屋の布団の上に倒れ込んだのである。時間は覚えていないが、けっこう早い時間に寝たんだろう。

 車雑誌を読んだりしながら時間をつぶし、ころあいを見てホールに顔を出す。すかさずコーヒーがでてくるのがうれしい。踊り場湿原を見渡すと、薄日が差すぐらいの天気であった。予報では、この三連休は雨模様だったのだが、梅雨の時期の予報はあてにならない。

 某氏が起き出してきたので、朝飯を喰らって白樺湖畔にある別荘に向かう。上り側の車線では、すでにあちこちからやってきた観光客の車がずらりと並んでいた。高原なのに排ガスを垂れ流すのはひどいな、と思ったのだが、自分の車だって騒音&排ガス垂れ流しのエゴエゴカーなのだから、人のことは言えない。

 別荘は林の中にあって薄暗くてじめじめしているのがいまいちだが、ちょこっと手を入れてやれば良い具合の宴会場所になりそうな場所であった。こんなところが使えるなんてうらやましい。ちょいとメンテナンスをして宿に戻る。ビーナスラインは渋滞しているから、一度下山して別ルートで上った。

 ビーナスラインは八島湿原でひどい渋滞になって車が進まないことは分かり切っていることだったので、諏訪側に下りて、高速で塩尻北まで。ディーラーに寄って、最近なにも買っていないのに、アイスコーヒーをがぶ飲みして、しゃべっていた。迷惑な客だ。

 泊まるホテルに車を置いて、バスで浅間温泉のある寺へ。小難しい話を聞き、夜は寺で大量のお酒を飲んでへべれけに酔っぱらった。

7月19日

 長野での仕事ができたので、ついでに翌日に松本で仕事することにして、この3連休を遊び通すことにした。都合の良いことに、東京の某氏がこの3連休を霧ヶ峰ですごす、ということだったので、その宿に潜り込むことに。19日に霧ヶ峰泊、20日には松本のいつものショットバーで飲み明かし、21日は信州変態ツーリングに出る、という遊び三昧の日々なのに、会社から見たら連休中2日間も労働している優秀社員ぶり! 今月だってまだ1日しか休みを取っていないことになっているのだが、大阪で遊んできたり、ビートルズバンドのライブに行ったりと、これでもかというぐらい遊んでいる。あ、それでも連休があけたら、北九州に行ってとんぼ返りしなくちゃならない。

 朝7時にロードスターで出発する。会社からは電車賃しか出ないので、高速を使って長野に行ってしまっては、大変な赤字である。だから、中津川から松本までは国道19号の下道を走ることにした。3時間半で松本に到着。時間がなかったので豊科から高速に乗って長野へ。ついに幌に穴が開いてしまったので心配していた雨もほとんど降らなかった。

 オリンピック施設であるビックハットでは信州環境フェアがやっていた。環境に優しいエコエコ技術を展示している場所に、触媒は付いているけれど生ガスを少し多めに吐き出して環境にはちょっと優しくないエゴエゴな車を乗りつけてしまった。フェア自体には用はなかったのだが。

 仕事を終え、国道18号で上田に至り、立科町を抜けて白樺高原。ビーナスラインで霧ヶ峰。車山ゲレンデから上はすっかり霧で覆われていた。

 東京の某氏とともに、踊り場湿原をぐるりと一周。その後、ビール、ワイン、焼酎を飲み明かし、いつしか意識不明に。

7月18日

 「やってられねえよ。こんなに働いて売り上げを上げているのに、査定で2番だぜ? なさけねえことに2番だ。どれだけ査定で金額差が出ているかって聞いてみたら、俺の3分の1しか売り上げていない奴と10万しか違わないの。これじゃあさあ、何のために身を粉にして一生懸命働いているのか、分からなくなるよなあ。俺の弟が大学で教えているんだけどさ、こうやって言うのさ。いくらがんばり通しても、金額はそんなに大きな差になる訳じゃない。一生懸命働くことも大切だが、人生やりたいことをやって楽しくすごすことも大切だって。そうだよなあ。10万だものなあ。年に2回で20万として月に1万5000円ちょっとの差だよ。もうちょっと自分のために時間を使わないと損だよなあ。昔はA級ライセンスとってリッター100馬力を目指して組んだエンジンを積んだサニーで鈴鹿のコーナーで横転していたんだけどな。あなたも、やりたいことやっておかないと、人生あっという間よ。俺だって楽しかった学生時代がもう20年以上前だし、息子が今、その年代だ。いつ女を連れ込んできたって不思議じゃないんだよ。遊ばないといけねえ。もっとも、9時に来て5時に帰るようなやつは、プライベートを充実させることもできないだろうけどな」

 「ボーナス出たんでしょ。おごってちょ」と市場の顔なじみのおっちゃんに話しかけたら、「ま、そこに座れ」。100倍言葉が返ってきて面食らった。

7月17日

 「おい、うなぎを喰いに行くぞ」

と、職場の上司に誘われた。午後1時までぜったい席を離れることができない、仕事があり、午後3時からは東海市で仕事がある。そのきわどい時間帯にウナギを喰らうというのは、なかなかヘビーなスケジュールなのだが、富山のサーキットがホームコースであって、大阪や新潟ぐらいなら隣町ぐらいの勢いの僕のことだから、ちょちょいと時間を計算して十分、間に合うので昼メシをうなぎに決める。

 さて、ウナギ屋がどこにあるのか。最近は、ネットでいろいろな情報を取れるようにはなっているが、うまくて、今日すいている店などという便利なキーワードでは検索はできない。

 錦1丁目にあるウナギ屋を検索で探し、電話をかけたら「すいています」とのこと。さっそく職場場の4人で繰り出して、店に到着したら、錦橋のたもと、ヘルスが並ぶへんてこな場所の汚い店だった。食べてスタミナを付けてから、という合理的な考えなのかも知れない。

 ひつまぶしを茶碗によそってダシをぶっかけて食べる。時間がないのだから、かっ込んでごちそうさま。柳橋市場の中を通って名古屋駅に至り、名鉄に乗って向かったのは新日鉄名古屋工場である。

 でかい。製鉄所自体が一つの街だ。工場の中に、街中と同じ信号が設置されている。巨大なダンプカーが行き交い、煤煙のためか、路肩に植えてある木の葉や茶色く変色していた。タクシーの運転手曰く「端から端まで乗ると、メーターが2000円を超えますよ」。巨大な工場の巨大な溶鉱炉に圧延機で、ばかでかい鋼板をつくって、それがトヨタ自動車などに供給されているのだから、まさしく20世紀を象徴する場所であった。

7月16日

 ある仕事があったのを忘れていて、慌てて調べてみたら、今日の夜、神戸のポートアイランドに行く羽目になった。六甲山にこの日曜日に訪れたばかりであり、一週間前にも武庫川に行ったのだから、最近、兵庫に縁が深い。

 ちょこまかとやらねばならぬことを片づけて、2時ごろ仕事場を出て、新幹線で新神戸へ。地下鉄、ポートライナーと乗り継ぎ、仕事をする。午後6時からの仕事だと思っていったら、午後5時からだった。かなり余裕を持って行ったから良かったものの、せっかく神戸に行ったのに、無駄足になるところであった。

 ここでJornadaが活躍。録音に使った。本体のマイクで拾ったのでちょいと不安だったが、きちんと使える。さすがに512MB積んでいると、数時間は楽々録音できるみたい。

 夜遅くなると帰れないだろうと思っていた。今日は京都で祇園祭だし、もし宿が取れたら京都で一泊していこうかしら、と思ったのだが、さすがに1時間早くなったのだから、余裕で帰宅できる時間。新神戸から名古屋にとんぼ返りした。新幹線の新神戸駅は山の麓にある、というか、山に食い込んでいるのだが、ヒグラシの声がしていた。

 もう、真夏に近いのだが、この涼しさは何だろう。

7月15日

 512MBのコンパクトフラッシュを買っちゃった話を前に書いた。これで、ウルトラマンPCことPC110がWindows95搭載の新鋭GUI機に生まれ変わるかと期待したが、なぜかうまくインストールできない。昔であれば、かなりねちっこくあれこれ調べてWindows95を動かしたに違いないのだが、最近はそこにたくさん時間を使っていられないのでさくっとあきらめた。もし、Windows95が動いたとしても、FCSSを入れてFreedomを制御した、という倒錯した満足感を満たすだけであり、たぶん1回動いたらあとは放置状態で、もとのThinkpad535を使うに決まっているのだ。それを頭で考えて計算して、作業を途中で投げ出す、投げ出せた、ということは、それだけ以前よりもパソコンに対する興味関心が薄れている、ということの現れであるかもしれない。

 さくっとあきらめて、PC DOSを動かすためだけに置いておく、という方が本当の意味で有効活用なのかもしれない。しかし、困ったことは、15000円もしたコンパクトフラッシュである。デジカメに使うにも容量がありすぎるし、やり場がなくなってしまった。

 で、買っちゃったのが、HEWLETT-PACKARD社のHandheld PC Jornada728。友人がタイミング良く売りに出したので、思わず手を挙げてしまったという寸法だ。写真左がPC110、右がJornada、真ん中が携帯のP504i。

 以前は、IBMのWorkPad c3を使っていた。SONYのCLIEと同じpalmOSを搭載して、PCとの連携が容易で素早く立ち上がって情報が引き出せるので、しばらく使っていた。パソコンで入力した情報を見る機能は優れていたのだが、情報を入力するには手書き文字の認識や画面上のキーボードを使わざるを得ず、まったく役に立たなかった。僕の用途では、テキストぐらいはがしがし打てる機能が欲しい。

 テキスト入力がある程度できる、となればやっぱりキーボードは欲しいところ。モバイルギアも持っているのだが、白黒液晶画面で自分でソフトを選ぶこともできず、いまいち感があったので、ここ数年人に貸しっぱなしになっている。

 旅先でわざわざ立ち上がるのが遅いノートパソコンを出さなくても、さっと取り出してすぐ文章が打ち込める機械が欲しかった。「書きたい」と思った瞬間に立ち上がるのでなければ意味がないのである。立ち上げるのが面倒と思った時点で、思い浮かんだ文章は、忘却の彼方にぶっ飛んでいく宿命を背負う。いや、すっと立ち上がる機械があるから、といって使うかどうか分からないのだが。とにかく、持っていないことには使わないことは確か。

 で、Jornadaである。どうも、pocketPCが主流になって、Handheldは衰退する運命にあるみたいだが、僕はこちらを選んだ。やっぱりキーボードが欲しい。すでに悲しい運命を背負っている、と知っただけでもこちらを選ぶだろう。

 やっぱり、新しい機種だけあって、マルチメディア(死語?)機能は豊富である。MP3プレイヤーとして機能しそうであるので、さっそくBeatlesのCDをMP3にして放り込んだ。これで歌詞を放り込めばビートルズバンドの練習の時に大活躍に違いない。すでに一つ、役割があるのである。

 さらに、録音機にもなるらしい。さすがにマイク端子はなく、本体に備え付けのマイクからしか録音できないが、数時間は録ることができるという。すごい。

 ここ数日、持ち歩いてはいるものの、出番はない。もしかすると、ずっと出番がないかもしれない。とにかく、ATOKとWZ-EDITORでも手に入れて、テキスト入力環境を整えることにしよう。

7月14日

 寝ているときに見る夢って、意味があるんだろうか。どっかの学者さんは、すべて性欲に結びつけてしまっているらしいが、なんだか違和感がある議論ではある。

 何者かから逃げているのが、僕がよく見る夢のパターンだ。戦争で敵から逃げていたり、警察に追われて逃げ回ったり。なんだかよく分からないが、夢の中で僕は良く撃たれている。銃弾の嵐をかいくぐって、逃げ回っている。これは何となく仕事とかのプレッシャーが夢に具現化して出てきているような気がする。出てくる映像がすべてカラーの極彩色であり、夢が覚めてもしばらくくっきりと余韻が残っていて脂汗をかいている場合もあるのだから、かなり重症なのかも知れない。

 変な夢ばかり見ている僕であるが、昨日はいつもとは違う毛色の奇抜な夢を見た。

 夢に登場した猫の毛色は白であった。僕は、松本にいたとき通っていたいつものショットバーのカウンターで酔いつぶれていたらしい。ふと目が覚めて、前を見ると、マスターが「とほほ」と、声を出して、しょうがない奴だよ、まったく、という目で僕を見ていた。がんがんと頭が痛い。

 「人生に、意味というものはないかもしれないわね」

と横に座った猫が語り出した。僕の隣でスツールに座ってバーボンのロックを傾けているのだから、どう考えても「うる星やつら」に出てくるコタツ猫ほどの巨大な化け猫であるはずなのだが、夢だからそんな矛盾に気づくはずもない。毛の長い女性であった。毛が長い、のは髪の毛が長いわけではなく、全身白い毛むくじゃらなのだから色気もへったくれもない。声の様子から、かなりお年を召しているらしい。

 「人生が意味を持つのではなくて、それぞれが意味を見いだすものなのじゃないかしら。人生の終わった時点の結果がすべてなのではなくて、日々の積み重ねが結果になるのよ。意味のある人生なんて、馬鹿げた言葉だわ」

 おいおい、お前は猫なのだから人生じゃなくて、猫生であろう、という突っ込みもうつつの世界であればとっさにできるのだが、あくまで夢である。僕はその言葉にはっとしながらも、きわめて寂しい考え方のように受け取れたので、反論した。何を言ったのかは覚えがないのだが、たぶん青臭い言葉を吐いたのであろう。白猫はぶっつぶれた顔の中央にある鼻でふふんと、笑い、手にしたバーボンをくいっと傾けると、うつろに宙を眺めていた目がふっと細くなり、ごろっごろっごろっと喉から音が聞こえてきた。満足げである。

 「歴史は、たまたま受け継がれることになった出来事を後世の人間が意味づけをして書き記した解釈の集大成だと思うの。ある必然があって歴史があるのじゃなく、あくまで起きたことをどう解釈して書き記したか。歴史自体に必然と意味があるわけじゃない。同じように、人生そのものは意味を持つものではなくて、それぞれの人生を生きた者がどう解釈するか、満足したかが重要だと思うの。だから、長い、短いは意味を持たない。どう、生きたかが問われてくる」

 なんだか、とても深淵な思想を講釈してもらっている気がするのだが、語る白猫は腕をなめて頭にこすりつけている。すなわち毛繕いをしながら話しているのだから、なんだか拍子抜けしてしまう。

 「少なくとも、私は満足な人生を送ってきたわ。私を猫扱いしない良いご主人さまだった」

 それは、このメス白猫の思い上がりのような気もするのだが、夢の中の僕はきわめて真剣なのが滑稽である。

 「いろんな人が出入りしてかわいがってくれた。私ほど顔の広い人もなかなかいないんじゃないかしら」

 だから、お前は人じゃなくて猫だろう、という突っ込みは、夢を思い出してこの文章を書いている僕がしているのであって、夢の中の僕は至って感動しているのである。素敵な人生(猫生か)を送れて良かったね、と。

 ふと目が覚めたら、やっぱり二日酔いだったので、幻想的なのだが、妙にリアリティのある夢として記憶に残った。お金中心に回っているから何かと結果が求められる社会だが、人間自身の存在は、結果が大切なのではなく、どう生きたかが大切なのかも知れない。例え、存在した期間が短くても、満足な人生というのはあり得るのだ。

7月13日

 宝塚で仕事があったので、前日からロードスターで大阪入りをし、遊んでくる計画を立てた。いや、遊んでくる計画を立ててから、仕事を作ったのかもしれない。どっちだろうとそう大した差はないのだが、とにかく大阪の某氏宅へ転がり込んで来たのである。

 僕が転がり込めば問答無用でアルコールが入るのは必然であり、ビールやバーボンなど大量に買い込んで行ったのだが、ビール1リットル飲んだあたりですでに酔いが回っていた。疲れていたのかも知れない。

 もう1リットル飲みながら、グランツーリスモ2で飲酒運転をする。2人でバトルをしたのだが、最後はまっすぐ走らせることすらかなわず、ぼろぼろに敗退してしまったのである。ロードスターのサーキット走行では、ぼろぼろに負かしてやるぜ。

 翌日、某氏を助手席に乗せて高速で宝塚に向かう。この季節、天気が良ければ、夏のクソ暑いのをやせ我慢しながらご機嫌のドライブとなるのだが、あいにく一日中大雨であった。土砂降りが一日中続くのだから、何ともならない。なぜか助手席側だけ大量の雨漏りがあり、散々な目に遭わせてしまった。

 仕事を終わらせてから六甲にドライブに行こうと思っていたのだが、雨は弱まる気配を見せない。それでも、せっかく宝塚まで来ているのだから、六甲山へ向かう。

 急坂を低い回転数で上っていくのはなかなかつらい。でも、思ったよりも低回転で粘ってくれる。山に近づくにつれ雨足が強まり、路面は至る所が川になっていた。標高が高くなってからは霧も出てきて、ドライブどころじゃない。

 さんざんな思いで降りてきて、土砂降りの中を某氏宅に向かっても、一向に雨は弱くならない。結局、自宅に戻ってくるまでずっと大雨が降りっぱなしで、溝が少なくなったネオバでは大変怖い思いをして帰ってきた。

 なぜか、助手席の雨漏りはぴたりと止まっていた。

7月12日

 大阪の某氏のエンジンに火が入った。

 NA8C RS-Limitedの彼のエンジンはBPである。僕が4連スロットルの新エンジンをつくったのに刺激されて、新しいエンジンを組んでしまったらしい。別に前のエンジンで調子が良かったのだから、新しいエンジンを組む必要もないのだが、あえて組んでしまうところがエンジンヲタクの悲しい性である。

 エンジン本体はけっこう本気仕様だ。ボーリングしてNB2ピストンを組み込み、面研0.7mmで圧縮比は11.7あたりと、僕のエンジンと同じぐらい。これにマルハモータースの264度カムを組み込んだ。制御は、ノーマルのシステムのROMチューンを使っているから、シングルスロットルである。ノーマルエアクリ、マフラーなところが本気なのだか、本気じゃないのか意見が分かれるところであるが。

 このエンジン、最大の特徴はコンロッドにある。ノーマルをあるショップに依頼して軽量化。必要と思われる部分まで削っちゃって軽量化してあるところがミソである。6月23日付けの日常を見てもらえれば、そのアクロバチックな加工のほどを分かってもらえると思う。

 今日はちょこっと仕事をして、某氏の車がある三重・亀山のオリーブボールさんに向かう。名古屋高速から東名阪。鈴鹿で降りて、午後5時すぎに到着。が、某氏はまだたどり着いていなかった。何という奴だ。

オリーブボール

 本人が来る前にエンジンを掛けてもらった。とっても調子が良いことを期待していたのだが、期待を遙かに超える調子の悪さだ。アイドリングの音からしていまいちなのである。もちろん、ノーマルエアクリ、ノーマルマフラーで音が情けないことも原因の一つであるだが、それ以上に調子が悪そうなのである。

 そうそうにエンジンを止めて、暗たんたる思いで某氏の到着を待った。ここまで調子が悪いのは、どこか組み間違いがあるに違いない。それを宣告するのは同じプライベーターとして、とってもつらい作業なのである。

 暗い気持ちのなか、某氏が到着した。本当に不憫である。つくったエンジンがだめだめなんて…。んが、バルブタイミングを聞いてみると、in103度、ex105度、オーバーラップ56度というでたらめなタイミングであった。いや、でたらめではないのだが、ノーマルECUだとちょいとつらい。シングルスロットルでは本当に奥底までROMの解析を進めるか、Freedom制御にしない限りはアイドルの調子が悪くなるようなバルタイである。4連なら簡単に安定してアイドリングするのにねえ。

 だから、オーバーラップが小さくなる方向でバルタイをいじってみるように助言。幸い、スライドカムプーリーに剥き出しスプロケであったので、ちょちょいのちょいでバルタイを変更する。

 ちょいとアイドリングが安定した。どうやら、NA8Cのホッとワイヤー式のエアフロの方が、NA6CEのフラップ式エアフロよりも、オーバーラップの許容範囲が広いらしい。

 何度かいじったら、どろっどろっどろっと怪しい感じなのだが、なんとか許容できるアイドリングになった。レゾネーター付きのノーマルインテークパイプだから、怪しさはある音だがとっても静かである。どうやら、バルタイを攻めすぎていただけのようであった。

 乗って帰ることができそうであったので、大阪の某宅に向けて走ってゆく。大阪までの100何キロか、エンジンもブローすることなく走り抜いた。ま、普通のことであるのだが、使っているコンロッドを思い出すと、よく壊れなかったものだ、マツダの軸受、万歳と叫びたくなる歓喜に包まれる。

 僕が組んだ今回のエンジン、20000キロ元気に回ればうれしいな、と思っていた。某氏が組んだこのエンジン、どれくらいの走行ができるのだろう。だれも、答えを知っている者はいない。

7月11日

 外に出た途端、気の狂いそうな蒸し暑さであった。寝坊した関係で、バスの時間に間に合わせるべく、小走りでバス停に向かったものだから、着いた頃には汗だく、隣近所に乗り合わせた人はさぞかし迷惑だったに違いない。

 今は深夜。外では、断続的に土砂降りとなり、雷がなっている。梅雨が明ける直前の典型的な天候なのだが、天気予報を見る限り、この1週間は雨模様。梅雨明けはまだまだである。

 毎週市場に通っているモノとしては、野菜や果物の値段が気になるのだが、確かに畑で腐ってしまう野菜も多いのだけれど、それ以上に売れないらしい。果物もなかなか売れない。確かに、どんよりと曇った天候、朝晩に至っては、涼しいくらいなのだから、スイカなんぞはまったく売れていないに違いない。ちなみに、スイカは雨が降って、晴天になったからといってすぐには食べてはいけない。雨天直後のスイカは大量の水を吸っており、名古屋弁で言うところの「しゃびしゃびだがね」という状態らしい。水っぽいのである。天気が3日ほど続いたところで収穫されたスイカを食べるのが通である。

 雨は全国均等に降るわけではない。太平洋側の愛知に比べて、内陸の山梨ではそれほど降らない。今、旬を迎えつつある桃は、和歌山、愛知産のものなんかは、1日も置いておけば腐って商品価値がなくなるらしく、おいしくない。山梨産が圧倒的にうまいのだそう。東京、名古屋あたりに在住している人は、ぜひ山梨の桃を買ってほしい。

 話がそれてしまったが、要するに早く梅雨が明けないかなあ、ということなのである。すがすがしい空気の中、お天道様の光をいっぱいに浴びて開幌でドライブしたい。もちろん、時間は5時30分ぐらいを想定している。この季節、7時30分ぐらいまでは開幌も気持ちよく、海沿いなど走っているととっても幸せになれるのだが、それ以降は殺人的にぎらぎらとお日様が照り、じめじめとものすごい湿気が体全体にまとわりついて、湿らせる。夏のオープンカーは深夜から朝が勝負なのだ。