月: 2003年2月

2月4日

 仕事する気があんまり起きなかったので、朝のんびりと過ごして、いきなり栄の本屋、マナハウスに行った。

 一応、仕事ということにして、参考になる本をあさっているつもりなのだが、いつの間にか、車本コーナーにいて、真剣なまなざしで物色している自分がいる。F1速報を見る。ルノーの新型車のフロントノーズ周りの形を見て感心する。今や、すべてのチームがフェラーリに限りになく近いエアロダイナミクスを採り入れている中、オリジナリティーがある形である。エンジンも、90度前後が主力な中で、111度という広角バンク角である。低重心となりそうなのだが、振動が多く、また排気管や補機類の取り回しも不自由になってくるらしい。けれども、明らかにライバルと違う形で勝利を目指しているのだから、応援したい。

 今日の収穫は、雑誌AutoWorksの別冊、「出力向上のためのエンジン講座・2」である。マツダのB型エンジンを設計した人で今はチューニング会社代表によるチューニング本である。これがまたなかなか良いバランスで書かれていて、素人が読んでも何となく分かった気になれる本である。エンジンの専門書になってくると数式やら専門用語やらのオンパレードでなかなか手を出しにくいが、この本は素人が読むことを前提としているので、分かったつもりになれる。

 書かれていることは、素人ながらにして抱えていた疑問を解決してくれるものであり、感心することしきりなのであるが、実際、エンジンを組むときにこの本に書いてある技術を生かせるのか、といえば、なかなかそうはならない。素人は、アフターパーツを購入して組み込むしかないのだから。

 共感を覚えたのは、講師の方が、自動車アフターパーツの世界は詐欺的なものが多いと、喝破していること。本物か本物でないか、見極めるためにも、こういった本を読んで素人ながら知識を深めることが大切なのだ。

2月3日

 東京の某氏が自分でヘッドチューンしたエンジンがシャシダイで137馬力を計測した。

 ヘッドの加工は面研1.2mmにポート研磨(手抜き・笑)と燃焼室加工が少しか。ノーマルカム(おかしなバルタイ)。これに、エアクリーナー、エキマニ、マフラーとROMチューンである。コストパフォーマンスが高く、扱いにくさもない。まさに、ファインチューンのお手本といえるエンジンだ。

 最高馬力が出たのがかなり高回転の7500rpmだから、ちょいと回転数には誤差があるのかもしれない。Freedomで空燃比で正確にセッティングを取ると数値的に分かるのだが、ノーマルカムでは7000rpmを超えると急激に吸わなくなる。吸気側カムが119度とおかしなバルタイだから、若干特性は変わると思うけれど。ちなみに、おかしなバルタイなのは某氏のせいじゃない。僕が間違えて加工したカムプーリーを使っているからである。ノーマルバルタイも試してみたが「高回転がいい」とおかしなバルタイのプーリーにわざわざ戻したのだ。

 シャシダイでの馬力測定は、機械ごとの誤差が大きく、1台の数字だけ出されてもそれが妥当な数字なのかが分かりにくい。同じ日に測定したNA6CEやNB8Cと比較すると、137馬力もあながち間違いではなさそう。ヘッド面研で圧縮比が9.4から10.5弱になっているのが一番大きいと思われる。速くしたいなら、あれこれいじって悩む前に、面研するのが手っ取り早い。NA8Cカタログ値の130馬力をも超えているから、大健闘だ。

 が、ここに数字のマジックがある。最大トルクを見ると、14.6kgmが6000rpmで出ている。ノーマルの最大トルクが発生する回転数が5500rpmだから高回転型の特性になっていることが分かる。

 知らない方のデータを引用して申し訳ないのだが、NA8Cシリーズ1.5の吸排気とROMのライトチューンのエンジンが、136.1馬力/6800rpmだったらしい。137馬力にとっても近いのだが、最大トルクを見てみると、16.0kgm/5000rpmとなっている。この違いが分かるだろうか?

 某氏のNA6CEは、137馬力/7500rpm、14.6kgm/6000rpm。比べてみると、トルクで実に1kg以上の差があり、さらにそれがかなり低い回転数で出ている。要するに、NA8Cは、3000回転ぐらいから圧倒的に太いトルクが出ているのである。これが240ccもの多い排気量の差だ。

 実際サーキットを走ると、この差がでかい。直線勝負しているときならそれほど差が出ないかもしれないが、ヘアピンからの立ち上がりや上り坂では歴然と差がついてしまう。

 速い車を目指すなら、迷わずNA8Cを選ばなければならない。けれども、BPエンジンは吹け上がりがもっさりしていて、よっぽど気合いを入れないと気持ちよくならないらしい。

 僕のエンジンは気持ちいいけど速くない(数値にしたら130psぐらいか?)。NA8CのBPエンジンは気持ちよくはないが、ちょいと手を入れれば速い(NBになると、気持ち良い上に馬鹿っ速である)。

 排気量を上げるのがエンジンチューンの第一歩なのだな、というまったくの基本を今更になって実感している今日この頃。

2月2日

 大阪のロードスター仲間がバルブスプリングコンプレッサーと、ドリルなどのスピードをコントロールする可変抵抗を貸して欲しい、というので、三重・亀山のオリーブボールさんで待ち合わせした。何の断りもなく待ち合わせ場所にしたのだから、ショップにとってはいい迷惑である。

オリーブボールさん

 諏訪などを走って、ボディーに塩化カルシウムといった融雪剤がこびりついて小汚かったので、朝起きて、愛知県知事選挙に投票しに行き、洗車した。洗車場に行ってボディーについたほこりを吹き飛ばし、家に戻ってカーシャンプーで荒い、水をはじくようにする液体をコーティングする。

 東名阪に乗って亀山へ。鈴鹿インターで降りて、1時前に付いた。オイルと、点火プラグを交換する。昼すぎに集合の予定だったのだが、いつまでたっても、大阪の某氏は現れない。用事をすませて、モーターランド鈴鹿に走りに行こうと思っていたから、いらいらが募る。

 来るか分からないものを待っていても仕方がないので、午後3時からの走行枠にエントリーできるようにオリーブボールさんを出発。サーキットに到着すると、これまで走行したときと違ってたくさんの車が集まっていた。事務所で聞くと、3時からの走行枠は埋まっているとのこと。せっかくメンテナンスをして来たのに、と残念に思うが、走っている連中がとにかく危ない運転をしていた。ドリフトクラスじゃないのに、ドリフトの練習をしてスピンをしまくり、まじめに走っている車の進路を塞いでいた。アンダーかオーバーかどちらかしかないセッティングの車が我が物顔で走っている。危ないから、走行は差し控えた。

 残念に思いつつ、再びオリーブボールへ。大阪の某氏が到着しており、無事、バルブスプリングコンプレッサーと、可変抵抗を渡すことができた。

 夜は長島の知人と桑名で夕飯。ハマグリの酒蒸し、生牡蠣、なまこなどを食べる。帰ってきたのは午後11時前であった。

2月1日

 日曜日からロードスターに乗っていないので禁断症状が出た。と、2週連続で同じ事を書いてみたりする。実際、乗りたくてたまらなかったので、ロードスターで出勤。仕事場とは逆の山側に行きたい気持ちを理性で抑えた。

 アイドル時の振動と、うるさい吸気音と引き替えに得たトルクが、僕の右足の理性を奪う。3000回転あたりから突然立ち上がるトルクは、6000回転までフラットに吹け上がり、そこからもう一段、パワーバンドがある。7000回転ぐらいで急に頭打ちしてそれ以上回すのが嫌になるのは、マフラーが詰まっているからかもしれない。

 とにかく、踏んでしまう。3速に入れてもまだトルク感があるから、踏んでしまう。とても街中で出すスピードではなくなってしまったところで理性が右足にブレーキをかける。

 とこうやって書くと、恐ろしく速くなってしまったようだけれど、NBノーマルには太刀打ちできないと思われる。吹け上がり感、トルク感といったフィーリングは良いのだが、所詮、「感」だ。そんなものを感じさせなくても、NBは速い。

 やっぱりエンジンって排気量ですべてが決まる気がする。B6エンジンとBPエンジンの排気量の差は約240ccだ。この差はでかい。セッティング次第で、馬力自体はNB1ノーマルの145馬力に近づけられるのだが、最大トルクを見ると14kgm台だったりする。しかもそれが6000回転以上で出ているような感じ。一方、NB1-BPの最大トルクは16.6kgm/5000rpmである。2kgmの差がでかい上、それがかなり低い回転で出る。走ると、このトルク差をとっても感じる。エンジン性能を比べるとき、最大馬力に目がいきがちだけれど、実際速さを決めるのはトルクカーブだったりする。

 たぶん、最新のロードスターを買った方が安いし速いし快適なのだ。しかし、無駄遣いと分かっていても今のNA6CEで勝負を挑むことにこだわってしまう。

 病気なのだから仕方がない。