月: 2001年6月

6月8日

 梅雨に入ったはずなのに、今日の松本は空気のさわやかな晴天。北アルプスにはさすがに雲がかかっていたものの、松本平上空は青い空。見ていると、むらむらとドライブに行きたくなってくる。やはり、ドライブはこの時期が一番気持ちがいい。

 さらに今日は、タイヤを替えたばかり。どんな違いがあるのか、いつもの山道に繰り出して、思いっきり走ってみたい。

 もんもんと考えたら、我慢できなくなっちゃった。仕事の途中、さぼって午後4時半ごろ、ジムニーからロードスターに乗り換える。自宅から10分で行けるいつもの山道に直行である。

 まず、ハンドルが異常に軽い。再びパワステを取り付けたよう。乗り心地もよろしい。路面のギャップをやわらかく吸収してくれる感じ。最近乗り心地が悪かったのもタイヤが減っていたのが一番大きな原因かもしれない。しかし、ハンドリングはぐにゃぐにゃと曖昧さが増した気がする。組んだばかりだから空気圧は適正だと思うが、ちゃんと測っておかないと。

 さて、山道の入り口である。いつものように入り口のヘアピンを曲がったら、タイヤが悲鳴を上げた。と、同時にどアンダー。こりゃいかんと、ブレーキを掛けて体勢を立て直す。次のヘアピンでも同じ。これまでと同じ感覚で操作すると、狙ったラインに乗らない。接地感がなく、ぬるぬるした感じ。コーナーの出口でアクセルを開けると、ずるずると外側にふくらんでいく。直線以外はタイヤが鳴りっぱなし。なんというタイヤだ。

 まだ新品で一皮むけていないせいだろうと思い直し、山道を2往復した。

 ぎゃーぎゃーうるさいのは最初と変わらない。「ぎゅーん」という愛称はこの鳴きを表しているのかしら。しかし、一皮むけて本来の性能が出てきた(であろう)ことと、慣れてきたせいで、思うようにコントロールできるようになった。タイヤが鳴き出してから、限界まではかなり余裕がある。どんなコーナーだろうがいつも鳴いているので、限界が分かりやすいかも。滑り出す感じも、唐突ではなくて、つるつるっと穏やか。分かりやすい。しかし、すべての操作にぐにゃぐにゃ感がつきまとう。空気圧が低い、もしくは足回りが柔らかくなっちゃったんじゃないか、と思うぐらい。やはり、空気圧がいくつか測らないといけない。

 一番感じたのは、RE711はやはり高いだけあって優秀なタイヤだったんだな、ということ。下手な僕でもコーナリングスピードの違いが体感できる。安心感も高い。富山の車屋さんによると、RE711の後継のRE-01は縦剛性が高いらしい。とすると、RE711も普通のタイヤよりは縦剛性が高かったとみてもいいだろう。縦剛性が高い、とはどんなことを言うのか、違うタイヤを付けてみて、少し分かった気がする。

 でも、限界が高いと、滑り出しちゃったらとても怖い。ぎゅーんは滑ったところでコーナースピードがRE711よりは少し低い。時速にしたらちょっとの差なんだろうけれど。でも、実際走っていると、この少しの違いが大きい。

 限界は高くないけれど、コントロールしやすいというのが正直な印象。重ステから伝わってくるインフォメーションに耳から入るインフォメーションが加わるので分かりやすい。RE711も鳴いたけれど、このタイヤが鳴くときはかなり攻めているときだから、危険と隣り合わせ。RE711の前に付けていたダンロップのFM901は全然鳴かないタイヤだった。半ばスピン状態となるまで、鳴かない。とことん鳴かない。分かりづらかった覚えがある。

 あとはウエット性能と高速道路かな。ウエットではFM901が安心感が高かった。RE711も同じくらいは安心感があった。高速道路ではFM901が時速ぬふわキロ付近で振動が出たのであまり良いイメージを持っていない。ホイールバランスを取り直しても、改善しなかった。不良品だったのかな。

 安いし、ちゃんとスポーツ走行できるので、「今のところ」十分満足。タイムを削るような走りなら、やはり高くてそれなりのタイヤを買った方がいいのだろうけれど、走って楽しいタイヤというなら、これでいい。

6月7日

 仕事を適当に終わらせて、午後7時ぐらいにディーラーに直行。タイヤを交換した。選んだのはトーヨーのトランピオF-08(エフゼロハチ)。なんて書くと格好良く聞こえるけれど、「GU:WN」(ぎゅーん)という愛称らしい。格好悪い。

 13日に車検に入れるので、ついでにやってもらえば良かったのだが、10日に富山に行く予定があるので、急きょ、タイヤだけを交換した。これまで付けていたRE711は、片減りを起こしていて、ショルダー部が丸坊主だった。雨でもまっすぐ走っている分には大丈夫だと思われるが、富山への道は北アルプスを貫いている安房トンネルを抜ける険しい道。曲がりくねっているし、路面の状態が悪い。雨が降っていると、間違いなくハンドルが取られて、下手するとスピン、谷底へ直行ということになりかねない。

 晴天でも、山岳地帯の道はところどころ沢水があふれてかなりの水が流れているところがある。気持ちのいい道をぶっ飛ばしていて、コーナーを曲がったら突然ウエット路面である可能性もある。すると、つるっとリアが滑ってスピン、谷底へ直行ということになりかねない。

 値段は4本で33200円。1本8300円。安い。タイヤ交換工賃と廃タイヤ処理料で10000円。コストパフォーマンスがよろしい。RE711と比べると、その分、グリップが落ちるのかもしれない。慣れるまで気を付けて走らなければ。RE711のときのような走り方をすると、コーナーの途中で突然リアが滑り出してスピン、谷底へ直行ということになりかねない。

 組み替え作業中に、店長にバルブのすりあわせを教えてもらった。これは本編で改めて書く。組み替えが終わって、新タイヤでさっそうと飛び出したら、なにか車が重い。リアキャリパーが固着、サイドブレーキが完全に戻らなくて、効いたままになっていた。ちょっと前にも出た症状が再発。店に戻って見てもらったら、キャリパーのオーバーホールが必要と言われた。もし開けてみて、中の金属部品が腐食していたら、キャリパー交換となるそう。また出費が重なる(涙)。ブレーキの整備だけは自信がないので自分ではやらないことにしている。オーバーホールの技術料は1カ所1万円を見た方がよいそう。フロントのキャリパーも1800用に交換する予定なので、車検代と合わせていくらかかるんだ? 5万キロちょっとの事故車からはぎ取って移植した後、まだ1万キロぐらいしか走っていないのに。

 とにかく、整備してもらう間はサイドブレーキを使わないようにしないと。片方のブレーキが効いたまま気づかず走ったら、片側だけフェード。調子よく走ってハードブレーキを掛けたとたん、片効きしてスピン、谷底へ直行ということになりかねない。

6月6日

 「ハイオク満タン」

と久しぶりに言ってしまった。ロードスターにコスモの「スーパーマグナム」を入れたのだ。シリンダーヘッドを載せ替えるための下準備である。圧縮比が10.0:1を超えるはずで、カムシャフトもしばらくノーマルを使うので、レギュラーのままではノッキングが発生する可能性が高い。載せ替えてからハイオクを入れたのでは遅いので、事前に切り替えるのだ。

 38リットル入ったので、タンクの中の85%ほどはハイオクになったことになる。オクタン価は90後半になったかな? このままヘッドを載せ替えても、ノッキングは発生しないかもしれない。

 しかし、松本はガソリンが高い。だいたい1リットル119円。レギュラーでも106円/Lする。実家(愛知県)に帰ると、レギュラーで90円台前半で入れられるのに、あまりにも格差がありすぎる。ちなみに、諏訪地方ではレギュラーで108円/Lだった。

 レギュラーを入れていて1回の給油で4000円弱払っていたのが、今回は4500円を超えたので、とても割高に感じる。作用角の大きなカムにすればレギュラーで何とか回るのかな。けれども、これから腰下のチューニングをはじめてさらに圧縮比を上げる予定なので、もうレギュラーを入れることはないかもしれない。

 しかし、今回は燃費が悪すぎた。6.3km/Lぐらい。ワースト記録達成。ターボ車じゃないんだから。ビーナスラインを走ったのが効いた。標高差1300mを1速を多用して一気に駆け上がり、気持ちのいい高原道路を2往復もしてしまったのだから仕方がないか。一番燃費がよかったときの半分も走っていない。

 レギュラー仕様のエンジンにハイオクを使うのはとてももったいない。エンジン洗浄剤の効き目ぐらいしかメリットがない。早めに載せ替えよう。載せ替える前に富山に行く予定があるので、ROMを書き換えて点火時期を早めてやろうかしら。体感できるほどは変わらないだろうけれど。

6月5日

 マツダスピードスポーツファクトリーで頼りにしていた「チューニングアドバイザー」のお兄さんが、ファクトリーが移転したことを機に、退職して他の工場に移ってしまった。

 移転で、ファクトリーは松本市のかなり南の方に行ってしまったのだが、スタッフは全員そちらのお店に異動したので、遠いのを我慢すれば、車をいじってもらうのには不便はない。けれども、ほとんどの整備や改良をまかせられるぐらい信頼していた人が、やめてしまったのは痛い。

 理由を聞くと、スタッフにさえ閉店する1週間前ぐらいにその事実を知らされた会社の方針が気にいらなかったことと、アドバイザー業務中心の仕事から、本格的に車を整備できる仕事に移って、腕を磨きたい、ということだった。希望退職を募って優秀な人材を流出させてしまうようなマツダを見限ったのかもしれない。

 いろいろな事業をやっている企業の一部門の、大型車を整備するところへ行くらしい。スポーツカーを扱っていたこれまでとはがらりと仕事の内容が変わる。

 この人はM2を持っている。だから、スポーツカー好きには違いない。なぜ、スポーツカーをチューニングできるような店に行かないのか、と聞いたら、「いい加減な店が多いから」とのこと。

 持ち主が車について知らないことをいいことに、かなりいい加減なことをしている店がある、というような噂は聞いたことがある。この人は信用第一のディーラー系のお店で働いていたこともあり、しっかりした知識に裏打ちされた作業をしてくれたし、はっきりいって商売が下手だと思うくらい、まじめにやってくれた。だから、松本のスポーツファクトリーに関しては、僕は信頼している。今度、前店長にバルブすりあわせを伝授してもらうし。

 車をうまく維持するには信頼できる店を探すしかない。会社から「異動攻撃」を喰らったら、どうしようかな、と考えている今日この頃である。

6月4日

 現在、バルブタイミングの勉強中。ノーマルカムを使うので、タイミングベルト交換の要領でやれば理解せずに組むことも可能なのだが、やはり理解した上でばらし、組み上げたい。

 クランク2回転でカムシャフトは1回転。面研でバルブタイミングはどれだけ狂うのか。1mmの面研で2度遅れる側に狂うバルブタイミングを正しくするには、カムプーリーのノックピン穴のどちら側をどれだけ削れば調整できるのか。排気カムは遅れたままにするのか。吸気カムをどれだけ進めて、ノーマル20度のオーバーラップを何度に設定するのか。

 あれこれ考えていると、仕事が手に付かなかったりして。

6月3日

 意識混濁状態でボーリングをやった後、家に帰ったらすぐに意識不明状態に推移していった。ひどい二日酔いで目覚めると午前2時すぎ。さまざまなホームページのチェックなど、ごそごそやっているうちに、だんだんと酔いも引いて、目がさえてきた。気が付くと、外から鳥の声が。窓の外を見ると、空が薄明状態。とても天気がいいらしい。

 最近、思う存分のドライブをしていないので、むらむらと変な気分になってきた。すかっと抜けるような青空の下、朝のさわやかな空気に包まれた高原を、オープンで走り抜けたい。

 と、考え出したら、いても立ってもいられなくなってきた。今日は仕事だったのだけれども、早朝、ほんの少し走りに行くぐらいなら、かまわない。5時すぎ、シャツでは少し肌寒いぐらいの外に飛び出し、運転席に座った。

 向かったのはビーナスライン。松本から蓼科までの高原を結ぶ有料道路だ。午前8時までなら料金所は開いていない。車もまばらな市内を一気に走り抜け、高原への道をひた走る。他にじゃまな車はいない。標高600メートルの松本盆地から標高2000メートル付近まで駆け上る急な坂道を、1速までたたき込みながら駆け上った。

 朝の高原道路は爽快の一言。朝靄に包まれる嶺々を横目に見ながら、自分の好きなペースで走る。八ヶ岳、蓼科山、北アルプス。コーナーを駆け抜けるたびに、青空をバックに、薄くなりつつある雪化粧をたたえた山岳のパノラマが左右から現れては消える。さっと視界が開けると、そこは霧ヶ峰。道も直線が多くなり、少々危険なスピードまで上がってしまう。

 気温はまだ低い。ヒーターを全開にしていれば、水温90度、油温110度で安定する。内側が丸坊主になったタイヤのグリップが少々あやしいが、思ったラインを描くぐらいの余裕はまだあった。

 結局、2往復した。ぐったりしつつも、妙な満足感を感じながら8時すぎ、下山する。燃料タンクからは半分以上のガソリンが消えた。

 愛知から親が来たので、昼食をともに食べる。午後、富山のけんさんがパーツを受け取りに遠征してきたので、左フロントのサスペンションと、フェンダーを渡す。

 先ほど、仕事場で、けんさんからもらった鱒寿司を夕食として食べた。とても美味。

 あれ、いつ仕事したんだろ?

6月2日

 バルブ各部の名称についてとんでもない勘違いをしていた。バルブフェース(Valve Face)と聞いて、てっきり燃焼室側から見た「Face(表面)」だと思っていたら、バルブシートと当たるところが、フェースと呼ぶのだった。皿の形をしているところは「バルブヘッド」または「バルブクラウン」と呼ぶ。恥ずかしい。「バルブ研磨」を訂正しておいた。

 間違ってもバルブフェースをがりがり削ってはいけません。そんなことをしたら、再びシートとの当たりを取るのに、ひどい手間がかかりそう。

 今日は休み。インマニを磨いていたら、「バーベキューやるから来い」との電話があった。アルコール類を異常に摂取して、半ば意識不明状態になりながら、6年以上ぶりのボーリングに行ったら、70台ぐらいしかスコアが取れなかった気がする。正直なところ、あまり覚えていない。

 ボーリングは素面の時にやりましょう。

6月1日

 仕事をさぼって、読者からの情報提供で知った工具屋に行った。読者からメールがもらえるだけでも感動的なのに、さらに情報まで教えてもらえるなんて涙が出そう。

 「メカキチ」という名前の輸入工具屋である。今日の昼に受信した電子メールで名前だけ教えてもらい、タウンページを見て、さっそく夕方、仕事を切り上げて向かったのだ。

 ところが見たタウンページが古かった。松本電鉄新村駅のすぐ南側だと書いてあったので、その通り向かったら、何と閉店していた。「つぶれたのか」と一瞬狼狽したものの、閉じたシャッターに掲げてある看板には新しい場所が地図で示してあった。ちょっと東側の田んぼの中に移転していた。

 期待を胸に中にはいると、予想を裏切る充実度! まず入り口をくぐった正面にWAKOSのケミカル類がずらり。ジャンボブレーキクリーナーも、メタルコンパウンドも、その他、物欲を刺激するさまざまなケミカル類がそろっていた。工具も充実。スナップオンをはじめ、ファコムやスタビレー、ハゼット、日本のものはKTCやKokenなどなど、メガネやコンビネーションレンチ、ドライバー類がずらりとディスプレーされていた。にぎりものも、バーコにKNIPEXと、もれなく並ぶ。工具の製作過程を紹介するオブジェもあった。店内を一巡して思わず、うなり声を上げた。

 他にも、ガレージジャッキやウマ、エアツールなど、車をいじるのに使う工具はだいたいそろっている。変わり種は、KNIPEXの電卓やスナップオンの灰皿など。グッズもちゃんとある。ポート研磨などに使った先端工具類は扱ってなかったけれど。

 今まで工具を買っていたのは、アストロの名古屋店。実家に帰ったついでに寄っていた。基本工具のラインナップは、アストロ名古屋店に勝っているのではないか。この店さえ近場にあれば、わざわざアストロに行かなくても大丈夫そう。ただしアストロは、オリジナルの工具が充実していて、妖しい魅力に満ちているが。800円のピストンリングコンプレッサーとか。

 長野県内で、本格的に輸入工具を変えるのは、長野市のアストロと、ここだけじゃないか、とここの店員。そのおかげで、田んぼの真ん中での営業でも食って行けている、とのこと。

 いい工具屋を教えてもらった。ちなみに耐熱液体ガスケットと、WAKOSのさびおとし(名前を忘れた)を衝動買いした。