初めてマフラーを買った。普通は車をいじる場合に最初の方にマフラーを変えることを考えるのが一般なのだろうが、エンジン積み降ろしをした後になってしまった。ただうるさいだけのマフラーは嫌であるし、買ってしまってから後悔してノーマルに戻してもつまらない、と思っていたから。昨年秋にHKSのリーガルマフラーをタナボタして付けてはいたけれど。
選んだのはRS Factory STAGEのN-ZEROマフラー、通称「2寸管」だ。パイプの太さが二寸、すなわち、60mmあるからのネーミング。強烈なインパクトで、一度聞いたら忘れない名前である。世の中にあるロードスター用マフラーでは50パイが平均じゃないだろうか。有名なCORN’S管でメイン48パイ。出口が太くてもメインパイプが細かったり、絞られているものが多いから、オール60パイは太い方の部類に入る。有名どころでは、柿本マフラーが60だったか。
このマフラー、いつもお世話になっている富山の車屋さんが大絶賛。「性能が確実に上がる。付けておけ!」と言われたから、付けることにした。STAGEさんも知っている方だし、信頼できる。ロードスターのためだけに作られ、音量ではなく音質にこだわり、うるさすぎず、ノーマル然としたルックスは「大人の」マフラーと言えよう。何より、価格が54800円とお値打ち。
付けることにして、富山の車屋さんに取り寄せてもらうことにした。マフラーを付けるために、なぜ太平洋側から日本海側に行くのかは謎である。
ようやく先の土曜日に取り付けることができた。
見た目は、車の下をのぞき込まない限り、ノーマルとほとんど変わらない。少しだけ長くつきだしているので、ノーマルマフラーではないことが分かる。なんて控えめな自己主張であることか。
うきうきしながらエンジンを始動する。アイドリングの音ではそれほど大きな音ではない。ノーマルに少し毛が生えた程度。けれども、音質は変わっていて、ハイカムでばらけた音を心地よく強調してレーシーである。アイドル時の排気の圧力が明らかに増している。
空ぶかししてみると、排気音よりも吸気音が勝っている。ちょっと異常なぐらいの吸気音かも。
乗ってみた感想では、音はやはりノーマルから比べると大きい。車遊びについて理解のない一般人を助手席に乗せるのはちょいと遠慮したくなるレベル。しかし、車好きな人だとちょっと物足りないぐらいの音量だと思われる。一人で乗っている分にはちょうど良いのだが、人を乗せると、ちょっとアクセル開度、回転数を気にしてしまう。
3000〜3500回転 ぐらいの間だけ低く響く音が大きくなるのが、ちょいと気になる。不思議なのだが、2500回転ではかなり静かなのだ。2000回転以下ではノーマルよりうるさい。4000回転以下はピンポイントでうるさかったり、静かだったりする。面研1mmにハイカムが入っているから、ノーマル
エンジンの人とは若干音が違うかもしれない。
これが、4000回転を超えたあたりから様子が変わってくる。普通なら3000回転あたりで出ている重低音の音量が上がっていくだけなのかな、と思うが違うのである。音が澄んでくると言ったら正しくないかもしれないが、耳ざわりな音がなくなってくる。とっても不思議な感覚である。パーンと高い音が出てきて、必要以上に回したくなる気分にさせられる。アクセルを踏み込むと、異常な吸気音が出て、マフラーの音と混ざってしまうのが残念である。ハーフスロットル以下だと、マフラーの音だけが出てとっても気持ちがよい。ノーマルに比べて最初は大きいかな、と思っていた音も慣れてくると「快感」に変わってくる。
音ばかり書いているが、高回転でのパワーアップを感じる。松本から名古屋まで高速を走ったときの感触では、4000回転より上では特にトルクが太くなっていて、5速4500回転といった領域での運転が楽。巷では、太いマフラーは低速のトルクがなくなる、と言われているが、明らかに感じられるような落ち込みはない。
アクセルに対する吹け上がりのレスポンスも気持ちよくなった。エンジン全体のフィーリングは、スムーズに吹け上がるようになってしまったので、かえって物足りなくなったくらい。
名古屋の街でロータスエリーゼと一緒に走った。決して信号が青になったと同時にフルスロットル、というような勝負をしたわけではない。それでも、8000回転まで回してようやく付いていったときの音は、エリーゼに負けていなかった。