東京の某氏が自分でヘッドチューンしたエンジンがシャシダイで137馬力を計測した。
ヘッドの加工は面研1.2mmにポート研磨(手抜き・笑)と燃焼室加工が少しか。ノーマルカム(おかしなバルタイ)。これに、エアクリーナー、エキマニ、マフラーとROMチューンである。コストパフォーマンスが高く、扱いにくさもない。まさに、ファインチューンのお手本といえるエンジンだ。
最高馬力が出たのがかなり高回転の7500rpmだから、ちょいと回転数には誤差があるのかもしれない。Freedomで空燃比で正確にセッティングを取ると数値的に分かるのだが、ノーマルカムでは7000rpmを超えると急激に吸わなくなる。吸気側カムが119度とおかしなバルタイだから、若干特性は変わると思うけれど。ちなみに、おかしなバルタイなのは某氏のせいじゃない。僕が間違えて加工したカムプーリーを使っているからである。ノーマルバルタイも試してみたが「高回転がいい」とおかしなバルタイのプーリーにわざわざ戻したのだ。
シャシダイでの馬力測定は、機械ごとの誤差が大きく、1台の数字だけ出されてもそれが妥当な数字なのかが分かりにくい。同じ日に測定したNA6CEやNB8Cと比較すると、137馬力もあながち間違いではなさそう。ヘッド面研で圧縮比が9.4から10.5弱になっているのが一番大きいと思われる。速くしたいなら、あれこれいじって悩む前に、面研するのが手っ取り早い。NA8Cカタログ値の130馬力をも超えているから、大健闘だ。
が、ここに数字のマジックがある。最大トルクを見ると、14.6kgmが6000rpmで出ている。ノーマルの最大トルクが発生する回転数が5500rpmだから高回転型の特性になっていることが分かる。
知らない方のデータを引用して申し訳ないのだが、NA8Cシリーズ1.5の吸排気とROMのライトチューンのエンジンが、136.1馬力/6800rpmだったらしい。137馬力にとっても近いのだが、最大トルクを見てみると、16.0kgm/5000rpmとなっている。この違いが分かるだろうか?
某氏のNA6CEは、137馬力/7500rpm、14.6kgm/6000rpm。比べてみると、トルクで実に1kg以上の差があり、さらにそれがかなり低い回転数で出ている。要するに、NA8Cは、3000回転ぐらいから圧倒的に太いトルクが出ているのである。これが240ccもの多い排気量の差だ。
実際サーキットを走ると、この差がでかい。直線勝負しているときならそれほど差が出ないかもしれないが、ヘアピンからの立ち上がりや上り坂では歴然と差がついてしまう。
速い車を目指すなら、迷わずNA8Cを選ばなければならない。けれども、BPエンジンは吹け上がりがもっさりしていて、よっぽど気合いを入れないと気持ちよくならないらしい。
僕のエンジンは気持ちいいけど速くない(数値にしたら130psぐらいか?)。NA8CのBPエンジンは気持ちよくはないが、ちょいと手を入れれば速い(NBになると、気持ち良い上に馬鹿っ速である)。
排気量を上げるのがエンジンチューンの第一歩なのだな、というまったくの基本を今更になって実感している今日この頃。