12月9日

 ひどく気分が悪く、午前中ベッドから起きあがることができなかった。どんなひどい状態だったのか、思いだそうにも思い出せない。途中までは覚えているが、その後は断片しか残っていない。なぜかパジャマを重ね着して、しかも前後が逆だ。

 うう、とのろのろ起き出して、考える。どうやって帰ってきたのか。タクシーを降りた記憶はあるが、乗った記憶はない。久々にひどい酔い方をしてしまった。

 こんなとき心配になるのが、乱暴狼藉を犯していないかである。女の人とかに抱きついちゃったりしてたら大変じゃないですか。どうも、過去の経験からは、記憶がなくなるほど酔っぱらってもけっこう普通らしい。でも、心配だ。

 こんなときは、自分の失った記憶(いや、記録されなかったのか)を取り戻すため、おそるおそる情報を集める。パソコンを開いてみると、「大丈夫でしたか、無事帰りましたか。心配になって携帯に電話したけれど繋がらなくて」とメールが入っていた。心配してもらっている、ということはたぶん、乱暴狼藉はしていないだろう。一安心か。が、最後の一文。「カメラ大丈夫ですか?」。へ?

 のろのろと玄関にたどり着くと、ブラケットから脱落し、中身の電池をぶちまけたフラッシュを発見した。根本が折れている。直さなければ。

 もう一通メールが届いていた。「やっぱりあの焼酎はヤバいんだよ。たぶん君は2本分ぐらい飲んでるはずだよ」。そんなに飲んだんですか。2時間ぐらいの時間に焼酎1リットル以上飲めば、ちょっと中毒気味でやばいよなあ。文字で書いていると人ごとみたいだけれど、今にも出そうな吐き気を感じながら読んでいるのである。最後の一文。

 「ふふふ…楽しませてもらったよ( ̄ー ̄)」

 そうか、面白かっただけか。たぶん、乱暴狼藉はしていなさそうだ。返信メールを打つとしばらくして返信があった。

 「○○ちゃんの巧妙な『調子こいて飲んでんじゃね〜よ!二日酔いにしたろか大作戦』の罠にはまったね。△△ちゃんも手強いな。彼女にトドメを刺されたって感じだな」

 どうやら、おねえさま方のおもちゃになっていたらしい。がーん。