ジョージハリソンが死んじゃった。実はビートルズファン。ビートルズのファンだなんて、ありきたりで、こんな場所で表明するのは興ざめ。気後れするのだが、募る思いは隠せない。
このサイトを書いているパソコンには、学生時代にアルバムのジャケットをスキャナーで取り込んで自作した壁紙が張ってある。高校時代に坂崎幸之助の深夜FM番組でよく流れて気に入り、名古屋大須の電気街で1枚800円ぐらいのばった物のCDを買い込んで、熱中したのが懐かしい。
実は、4人の中でも「一番目立たない」とされるこの人が好きだったのである。レノン・マッカートニーのまぶしすぎるコンビを前には、少しぐらい優秀でもまったく注目されない。道化者で最後にメンバーになったリンゴスターにさえ、知名度で負けている、お茶目な人なのである。デビュー以前の曲を集めたアンソロジーというアルバムで、妙に下手なギターソロはきっと、彼の演奏に違いない。「ギターうまくなれよ」とメンバーにいわれて殴り合いになったという話もあるらしいのだが、やっぱりビートルズ。後期になると、才能が開花するのである。シングルのA面を獲得するほどの名曲揃いとなる。
基本的に目立ちたくない性格なのかもしれない。2枚目のアルバム「With the Beatles」には、初めて彼が作ったという「Don’t Bother Me」という曲が収められている。意訳すると「僕のことはほっといて」。ある人から「お前も曲を作れ作れ」と催促されて作ったという説があるらしいけれど、それに答えて「うるさいな」という曲を作るところが、彼らしい皮肉かも。最強コンビのおかげで有名になってしまって、彼自身とまどって、遠慮していたのかも。いや、すねていたのか。彼のニヒルで投げやりな感じの歌い方や、皮肉たっぷりで嘲笑的な歌詞が、僕の心をとらえているのかも知れない。「Something」「Here Comes The Sun」といった美しい曲も作っています。
ビートルズ解散後、盗作で訴えられて、しかも負けちゃった話を聞いても、やはり好きなのである。ほとんど神格化された最強コンビと違って、人間臭さを感じるから。ビートルズ以外の活動もたくさんして、たくさん失敗した人なのである。
死の直前に、盗作疑惑のかかった「My Sweet Lord」がカーラジオから流れていた。今度こそ危ない、という話を聞いていたのだが、これほど早いとは。
ビートルズ時代にインド哲学に傾倒していた彼は、死亡発表前に自らを火葬させ、遺灰はガンジス川に流すのだそう。幕の引き方まで格好いい。