12月21日

 久しぶりに警察署に行った。何年か前は毎日欠かさず、一日何回も足繁く通ったものだが、最近はまったくといって行く機会がない。いや違った。そういえば、つい最近にも警察署に行ったのだった。住所が変わったので免許の書き換えに。ちょっと前には愛車の窓ガラスに黄色い地に赤く丸印が書いてある紙を貼られるいたずらをされて、それをはがしてもらうために仕方なく行ったこともあった。

 警察といっても、交通課はどちらかというと行政で司法な感じはしないから、やはり今回、刑事課に足を踏み入れ、久々に警察署という場の雰囲気を堪能してきたのであった。

 告発状を出すから付いてきてくれ、と初めて会ったばかりの人に頼まれたのだ。名古屋市内の某警察署へ行き、訪れたのは刑事課の知能犯担当。ネットオークションで詐欺に遭ったそうで、被害届を出すのが第一の目的。さらに、オークション主宰者に対して詐欺行為を放置していたのは幇助に当たるとして、告発状を提出したいのだ、とその初めて会ったばかりの人は警察官に熱弁をふるっていた。

 被害届の準備をしていた刑事は、告発と聞いて穏やかならぬ表情になった。詐欺のしかも、幇助だというのだから当たり前かもしれない。詐欺犯罪を摘発するのは大変なことなのだ。お金を取ろうと、だましそうとした意志があるかどうかを立証しなければならないからだ。ネットオークションで架空の出品をして、お金だけ取って逃げたとしても、「納品するつもりだ」「お金は返すつもりだ」と言えば、それだけで詐欺罪の適用は難しくなる。二項詐欺ならタクシー乗り逃げや食い逃げをすれば成立するから簡単なのだけれど。警官は言葉こそ選んでしゃべっていたが、「どんなに大変なのか知らないから、そんな簡単に詐欺だと言えるんだろう。これだから素人は困る」と顔に書いてあった。

 それにしても、警官の顔を見るのはおもしろい。詐欺師と向き合う知能犯担当はやはり、詐欺師のような顔になるし、強行犯相手に切った張ったの世界で生きる警官はどこか殺伐としていてすぐ分かる。やくざを相手にする暴対は、やっぱりやくざみたいな格好と表情をしている。ただ、どんな場所で働いていても、一つだけ彼らに共通する特徴がある。それは、口の利き方がどこか横柄、ということだ。

 と、つまらないことをまた書いてしまった。別の場所で毎日書いていた「日常」の更新をやめてから半年以上。日々つまらないテキストを書き連ねていると、うっぷんがたまってたまって仕方がない。前の場所とは関係ない場所で、それでも誰かに読まれるかもしれないというちょっとした緊張感のある場所で、何となく、書いてみたくなった。