保育園で今はやりの食育をやっている場面を見た。タンパク質と炭水化物、野菜をバランス良く食べなければならない。それを、食品を色分けしたり、体を機関車に見立てて、3つがそろってようやく走ることができると例えたりして、栄養士がうまいこと子どもに分かるように説明していた。
で、子どもたちを5人ぐらいのグループに分けて、どんな朝ご飯を食べたいかを考えさせる時間に。さすがに子どもにはちょっと難しい作業だが、中にはきちんと話し合う子どももいて、感心する。
考えた結果をみなに発表し、バランスの良い朝ご飯を食べることが大切となんとなく分からせるのが目的。子どもがどこまで理解できるのかは分からないが、家庭で親に向かって「野菜も食べなきゃいけないんだよ」とでも言えば大成功なんだろう。
で、終わった後の雑談で、なぜ朝ご飯に焦点が当たっているのか、その背景を保母さんに聞いた。保母さん曰く「朝ご飯に菓子パンでも食べさせてもらっていればまだ良い方。牛乳をかけないコーンフレークを食べたりとか、親と一緒に食べてこない子どももいるんです」。朝ご飯抜きで来ている子どもは、お昼ご飯の食べ方で分かるという。「がつがつと食らいつくように食べるんです」。その様を想像しただけで、心が痛む。
きっちり食べている子どもと食べていない子ども。入園から半年もたつと、成長の具合で差が出て来るという。将来はかなりの差になることは想像に難くない。
本当に必要なのは子どもの食育ではなく、親への教育なのだ。「私たちは子どもを通じてしか、働きかけることができないんです」というため息交じりの栄養士の言葉がむなしく響いた。