11月7日

 夕方、暗くなりかけたころ、新型ロードスターが走っているのを初めて見た。白いボディのフロントフェイスは精悍な印象だが、なぜかボディサイズがかなり大きく見えた。オープンにして乗っていたのは、初老の男性で、かぶっている帽子も様になっていて、自分なりのライフスタイルを実践して生きている感じが伝わってきて、かなり格好良かった。

 確かに、新型のロードスターのコンセプトを見てみると、子育ても終わってちょっと自分にご褒美をあげたい裕福な層を狙っている気がする。これまでNA、NBロードスターに乗っていた人からすると、ちょっと刺激が薄くなり、その代わり安定感と扱いやすさ、高級感、快適さがプラスされた。値段も少々アップ。

 ちょっと話はそれるが、webCGのとある小沢コージのエッセイ(僕は好きだ)に載っていた、ラクティスの開発者へのインタビューを読んで愕然とした。一世を風靡したファンカーゴの後継ではないか、という質問に対して「基本的に後継ではなく、まったく新しいコンセプトの車である」の回答したあたりの下りである。

 「時代が変わってしまったんですよね。ファンカーゴが出た時は、8〜9割が1.3リッターのローグレードをお求めになって、セカンドカー的に使われていたんですが、最近は経済状況が変わり、遊びも増えて、ファーストカー的に使う人が増えてきた。奥さんだけでなく、ダンナさんもこれ一台というケースが増えてるんです。

時代が変わってしまったんですよね。ファンカーゴが出た時は、8〜9割が1.3リッターのローグレードをお求めになって、セカンドカー的に使われていたんですが、最近は経済状況が変わり、遊びも増えて、ファーストカー的に使う人が増えてきた。奥さんだけでなく、ダンナさんもこれ一台というケースが増えてるんです。

 大メーカーが綿密なマーケティングをした結果、大衆は2台車を持つ経済的な余裕がない、という判断を下したのである。狂いきって矯正中の僕の経済観念ではあまり実感がないが、周りを見回すと、確かに同年代の人たちは車にそこまでお金をかける余裕がないのかもしれない。大きなステータスシンボルの車に使い勝手の良い小さな車という時代から、小さすぎることはなく恥ずかしくない程度にちょっと高級な1台という時代に変わってしまった。半面、スーパーカーのような車の市場は広がっているのだから、富めるものとそうでないものとの差が広がりつつあるんだろう。

 ロードスターという車もこうした社会状況とは無縁ではいられない。フルモデルチェンジでメーンターゲットに狙った層は、もう少しアッパー寄りになっちゃったんじゃなかろうか。