昼から赤坂で仕事があったので、10時5分ののぞみに乗る。新ダイヤになってから著しく指定席が取りにくくなってしまったので、前日に名古屋駅までわざわざ行き、席取りをしてあった。いつもは大体、本を読んでいたり、ここに出しているくだらない文章を書いていたりするのだが、窓の外のずいぶん見慣れてきた景色をずっと見てボーっとしていたら、東京に着いてしまった。
東京駅から地下鉄・丸の内線で赤坂見附。仕事をする。なぜか桂三枝や長門裕之を見た。
仕事を終えて、築地へ行く。名古屋の中央市場のおっちゃんに買い物を頼まれていたのだ。板裏草履というもので、長靴ができる前、市場の人たちが使っていた履き物らしい。文字通り、草履の裏に木の板が張ってあって、ごちゃごちゃした市場でガラス片などを踏んでも大丈夫なよう、さらに草履に水がしみこまないようにする、というものらしい。築地のファッションを発信する平山商店というところで扱っている、という。
丸の内線から銀座で日比谷線に乗り換えて築地駅まで行く。駅からすぐに市場があった。場外市場がごちゃごちゃと広がり、すし屋がやたらとある。割烹の材料屋だとか、ワサビ屋だとか、鮮魚屋だとか、かまぼこ屋だとか調理器具屋だとかがずらり。狭い間口に良くもまあ、こんなにものを並べるな、と感心するぐらいの店ばかりである。すでに午後3時であり、市場からしたら12時間も時間がずれているわけで、多くの店がシャッターを閉じていた。
平山商店は場内らしいので、勘を頼りにうろうろ歩く。うろうろ歩いて迷うのが楽しい。歩いてその場の空気や雰囲気を満喫できるから。それにしても、使えるかどうか分からない秤が山積みになっている店だとか、小汚いけれども、味は良さそうな定食屋だとかが雑然と並んでいて、面白い場所である。ここなら毎朝通っても、違った発見があって面白いだろう。
しばらくうろうろしていたら、平山商店を発見。店を閉める寸前だった。板裏草履ありますか、と聞いたら、「あるけれど出せない」という。たぶん、営業中は店の前の狭い通りまで屋台のようにずらりとものが並んでいるに違いない。順番に片づけていくと、店の中がぎっしりと商品で埋まってしまい、次に開店して順番に出していかない限り、店の中には入れない。板裏草履はどうやら、奥の方にあるらしかった。せっかく足を運んだので、送ってもらうことにした。
用事をすませてまた場外市場へ。昼メシを食べていなかったので、すしを食べることにした。カウンターに座り、お好みで注文。もちろん、生中ジョッキ。生マグロ、ヤリイカ、アジ、赤貝と2かんずつ食べて、最後に中トロ1かん。ビールもがりもすべて平らげてさっと席を立つ。時間にして15分。
ほろよい気分で東京駅まで歩く。満腹で幸せ。
夜に用事があるので、すぐ帰らねばならない。指定席を取ろうとしたら、すべて満席である。金曜午後は、かなり込むみたい。仕方がないのでのぞみ自由席を狙ったら、長蛇の列。とっても座れないのであきらめて、多目的室とかの設備がある11号車に行き、通路で立ちっぱなしで名古屋へ。くたびれた。
夜はビートルズバンドの練習を見学。リーダーであり、会社の上役でもある人と差しで飲んだら午前2時。