11月17日

 冷却水漏れが最近の悩みの種であった。

 ことの始まりは筑波決戦。2本目まではまったく問題なかったのだが、3本目のコースインのときに、異変に気づく。いつもなら95度は絶対に超えることがない水温計が100度ぐらいになっていたのである。大森φ45の水温計で100度といったら真上に針があるので、ちらっと見たときはかなり焦った。巨大オイルクーラーが付いているし、5月に新エンジンを積んだときに、富山の車屋さんの工場に落ちていた(後に保管してあっただけであることが判明)マツダスピードの激冷えラジエーターに交換してあったから、夏でも走っていれば水温は90度以下の快適生活。アイドリングでも94度以上となったのは見たことがないから、どこかに異常が起きたことは疑いもない事実であった。

 走っていれば問題ないのだが、街中などで信号待ちをしていると、ずんずんと水温が100度を超えてくる状態。エンジンルームをのぞくと、水温が高くなってもラジエーターのファンが回っていない。エアコンを付けてみると、両方とも回ることを考えると、サーモスタットのところに付いている、ファンのスイッチがいかれてしまったらしいことが判明した。

 日曜日の馬鹿げた工事で大渋滞してしまった環7のせいで症状が悪化してしまった気がする。普段ならスムーズに抜けるのに、東京インター手前10キロほどの地点で30分ぐらい渋滞にはまり、水温がぐいぐい上がるのでヒーターを付けたり、エアコンを入れてファンを強制的に回したりと、大変な努力をしたのだが、水温は高いままになってしまった。ラジエーターのアッパーホースで100度を超えるぐらいなのだから、ヘッドの後ろ側のヒーターへと繋がる部分は110度を超えていたのかも知れない。

 名古屋までは無事に戻り、しばらくはファンが回らないまま、だましだまし乗っていた。が、ここでさらなる異常が。ヒーターやエアコンのONで下がっていた水温が下がらなくなった。おかしい、と思い、リザーバータンクをチェックすると、空っぽ。これはやばい、と思い、ラジエーターキャップを外すと、水が入っていない。ラジエーターに1リットル以上入る状態だったので、かなり冷却効率が下がっていたに違いない。

 それでも、エンジンの調子は別に悪くなく、そのまま乗っていた。が、冷却水が微妙に減る。いろいろチェックするがよく分からない。飛騨に行ったついでに、ラジエーターファンのスイッチをもらい、付け替えてファンは復活した。しかし、冷却水が減る症状は前よりひどくなったようである。

 サーモスタットケースからウオーターポンプに向かう、細いホースがラジエーターの圧が上がったときにパンクした形跡があったので、たぶんここを変えてしまえば直るだろうと楽観していたのだが、やっぱり異常な量が減っていく。かなりの量が減っているのだから、アイドリングをしていれば、漏れている場所からもくもくと水蒸気が上がるはずだ、と思ったのだが、いくらラジエーターやホースなどを見ても、漏れている場所が分からない。

 それでも、だましだまし乗っていた。この日曜日、瑞浪へ遊びに行く前、満タンにしておいた冷却水がやっぱり減っていて、700mlぐらい継ぎ足した。瑞浪まで50キロぐらいなのでかなりの消費量である。おかしいおかしい、と言っていたら、「ここから漏れてる」と指摘されたのは、ヘッドの裏側。ヒーターへ向かうホースやら、水温センサーが付いているウオーターアウトレットの部分のガスケットが抜けてしまったらしい。ぽたぽたと落ちているのが見えたから、かなりの量だ。てっきり、ホースが破れているのだと思いこんでいたので、盲点であった。

 たぶん、抜けてしまった理由は、メタルクリーンにある。ヘッドをチューニングする前、加工前のヘッドをきちっと写真で抑えておこうと、いつもより念入りに掃除をした。メタルクリーンに漬けたのは良いのだが、取り出す暇がなくて、長い時間、放置してしまったのだ。ところどころが錆びたりして反省したのだが、たぶん、このとき紙でできたガスケットもちょっとおかしくなっていたのだろう。ラジエーターのファンスイッチが壊れ、高音になって圧が上がったのをきっかけに、もろくなった部分が破れてしまった、というのが今のところの推測。

 こまったのが、瑞浪から掛川に行かねばならない、というスケジュールだったこと。かなり深刻な漏れ方なのだし、一気にガスケットが崩壊して目の前が真っ白になったら、それこそ自走不可能だ。

 でも、行かねばならない場所だったので、向かう。下道を使って奥三河から天竜に抜けるコースを取ったのはご愛敬。途中、50キロも走ったら、ラジエーターの下半分の水位になるほどの消費量だから、三河の山奥で不動車になるかもしれない、という恐怖と戦いながらの走行。ペットボトルなどに入れて持ち歩いた水は計6リットルほど。が、すぐなくなる。今回、身に染みたのだが、水の確保もけっこう大変なのである。

 時間に余裕があるからと思って選んだ下道だったのだが、そんな事情で水を探しながらの旅になってしまい、天竜にたどり着く頃には、辺りは真っ暗。やばい遅刻する、と焦りつつ、回転を上げてしまうと、漏れる量が多くなってしまうに決まっているから、そっと走る。

 なんとか掛川までは無事到着。市内で迷ったこともあり、仕事が始まる1分前ぎりぎりの到着となった。午後9時半ごろ名古屋に向けて出発。途中、サービスエリア3カ所に止まって冷却水を補充し、やっとのことで家にたどり着いた。

 ガスケットを交換しなければならないのだが、非常に手の入りにくい場所である。もし、できない場合はヘッドを外してしまうのが、一番手っ取り早い方法かもしれない。