先週の土曜日、群馬に行った後に松本に寄った。異動に伴って大変お世話になった人もいるし、そろそろ松本の街並みが恋しい。群馬へ行くついでに寄りましょう、と段取りを付けて置いた。
この季節なら鍋、ということで、市役所近くのお店に入ってイノシシ鍋を頼んだ。
ケモノの肉というのは一般的に、独特のケモノ臭があって食べられたものじゃないものが多い。特に、古くなった熊の肉などは、煮込むと家中にケモノ臭が充満し、煮た鍋はケモノのにおいが取れなくなって捨てざるを得ないというぐらい強烈なのだ。
しかし、新鮮な肉であると、独特の臭みが風味となって良い頃合いの味になる。このお店で食べさせるイノシシ鍋は、「臭い」の一歩手前で、肉の風味が鍋に投入する食材すべてに行き渡って、鍋から取り出すすべてのものがうまいのだ。
4人で行ったのだが2人前で十分な量である。まず、イノシシの肉を鍋で焼いてから、味噌ベースの汁を注ぎ、野菜を投入する。乳臭い牛肉よりも、こくがあるだしが出て、ぐつぐつとケモノエキスで煮込まれた野菜は、もはや別の食べ物へと変わっている。ちょいと大げさなのだが、これくらいほめたくなるほどの味である。
その後、最盛期は週に3回ぐらい通っていたショットバーに行った。先頭に立って店の扉を開けたら、こちらを見たマスターの目が点になっていた。座っておしぼりでゴシゴシと顔を拭いて(もはや行動様式が親父化している)いたら、後ろから抱きつかれてしまった。ちょっとおかまっぽいと思っていたのだが、やっぱり、と一人合点していたら、マスターの彼女とかいう人がカウンターに立っていたので、なんだか訳の分からないことになってしまった。マスターの高校生の娘が手伝っていたり、マスターのファンだというお姉さんがバイトをしていたり、いろいろ複雑な店である。しかし、居心地は最高によい。
名古屋ではまだ良い店を見つけていない。何しろ街が中途半端に大きいから悪いのだ。