「焼き肉を食わしてやる」というので、しっぽ振って岐阜まで行ってしまった。お医者さんである。お金をたくさん持っていそうだから、甘えるだけ甘えてしまえばよいのだ。
柳ヶ瀬のステーキハウスに行ってがしがし肉を喰らう。乾杯!と言って、かちんとグラスを鳴らした1秒後には空いていたのには驚いた。まあまあひとつ、と注いでも再び1秒。あっという間に瓶が空っぽになってしまった。
気さくで良い人なのだが、すごい人らしい。ヒトの肝臓を移し替えてしまうような人なのだ。移植するなら心臓の方が血管も太くて簡単なのだとか。ただ、心臓は移植するとなると、提供する人が脳死になっていなければならないのだが。動脈や胆管などがぐちゃぐちゃしている肝臓を移植には医師や看護婦十人がかりで12時間から20時間ぐらいかかるのだが、その診療報酬は63万円ぐらいと恐ろしいほど安いらしいのに憤慨していた。
酔っていたからただ喰らっていたのだが、焼き肉くらいながら、微妙な内容の話をしていたな、と思う。心臓は落としても(落とさないけれど)使えるほど強い臓器だが、肝臓はつぶれちゃって無理、だとか、手術後に止めていた心臓がうまいこと動かなくても電極付けちゃえば動くんだとか。刺し身でも牛肉を食べたのだが幸い、レバーやハツは出てこなかった。
最終1本前のJRで名古屋に戻り、地下鉄。座ったと思ったら藤ヶ丘だった。