11月10日

 岐阜の調理師学校でがんばっているという生徒に会いに行く。なんでも、学校の正面にあるアパートに住み、近所の寿司屋で働きながら学んでいるんだとか。今時の若者には珍しいタイプ。

 岐阜の下呂方面にある旅館の長男だそうで、調理師のお父さんの背中を見て育ち、跡を継ぐというわけでもないのだけれど、お客さんに「おいしかったよ」と言われる仕事が良いと、進路を決めたそう。1年のころから、研修扱いで寿司屋で働き、学費とアパート代の半分ぐらいは自分で稼いでいるという。

 「友だちは女の子とカラオケ行って遊んでいるんでしょう」とかまをかけたらやっぱりその通り「行ってますね」と彼。「遊びたくないの?」と聞いたら「全然」と答えていた。調理をするのも食べるのも好きで、体型にもそれが現れている感じではあるのだが、好きなことに全力投球している姿がすがすがしかった。

 最初は掃除や配膳など下働きばかりだったけれども、最近は料理もちょくちょくやらせてもらっているという。調理学校の地区コンクールで勝って、全国大会へ行くぐらいの腕前になった。まだ握らせてはもらっていないけれど、今月末にフランスに1週間ほど行って学んで来るので、それまでに特訓するのだとか。

 下校で校舎からぞろぞろ出てきた連中を見ると、やっぱり今時の高校生で、だらだらした感じ。漫然と、授業を聞いていた3年と、下積みをしながら学んでいた3年。この差はとてつもなく大きい。