11月1日

 クランクシャフトのリアオイルシールなど、足りない部品をマツダのディーラーに取りに行ったら、お姉さんに「スーツを買わない?」と聞かれた。一瞬、何のことか分からず、2、3回聞き返してしまった。どういうことだ。

 説明によると、毎年この時期にスーツを販売しているのだという。渡された封筒の中の説明書きには「新生長野マツダ1周年記念」と銘打っている。「特別価格でご提供」とも。紳士服メーカーがディーラーを会場に販売会を開くらしい。フロントのお兄さんは、接客担当のため販売ノルマが多く割り振られ、もし売れないと自分で買わないといけないらしい。このご時世、車を売っているだけではディーラーでは勤まらないのか。大変だ。

 友人の結婚式やジムニーの車検に加え、ロードスターの任意保険の請求が来ているので、今、究極にお金がない。値段を見ると、仕立てスーツが5万円ぐらい。これは、かなりの出費だ。

 けれども、用もないのにふらふらと出掛けていって、店長とマニアックな話に興じ、出されたコーヒーを、あ、いつもすいませんね、などと恐縮したふりをしながら、遠慮なくがぶ飲みしてしまい、挙げ句の果てにはここから1台も車を買ったことがなく、営業成績にはほとんど貢献していないのだから、このディーラーには迷惑をかけているのである。スーツ1着ぐらい買ってあげないと、申し訳ない。ちょうど、冬用のを1着欲しかったところだし。

 だから、前向きな返事をしたのでした。