10月6日

 18日の決戦に向けて密かに気合を入れて準備する今日この頃。

 その気持ちを抑えつけることができず、というか、雨が降っていて歩いてバス停に行くのがおっくうだったのでロードスターで出勤してやった。

 うだうだうだ、っとすごして夕方、そろそろ仕事もいやになってきた頃、某所の掲示板でヒントを得て新しいセッティングのアイデアを得たので、試してみることにした。

 現在僕は4連スロットルを負圧で制御するDジェトロで動かしているのだが、負圧というのは一定していないから、標高やスロットルの閉まり具合などでころころセッティングが変わっていく。別に困るほど空燃比がずれるわけではないのだが、一度セッティングしてしまえばあまり変わらないLジェトロROMチューンの安定度を味わっている(標高による空気密度の変化にはまったく対応していないが)ので、やっぱり気になるのである。

 4連スロットルは負圧だけでは厳密には制御できない。アクセル開度30%と100%でほとんど同じ負圧の数値になってしまうのであって、スロットルポジションセンサーで修正することが前提になってしまうのである。

 だったら、負圧による制御は最小限にし、スロポジにて制御してしまえば良いじゃない、というのが普通の人の考えだ。FreedomではDジェのほかにスロポジ制御もできるようになっている。しかし、勝手なイメージとしてなんとなく「おまけ」的な存在であり、真剣に開発されていない気がするので、僕は今までDジェを使ってきた。

 それでも堪忍袋の緒が切れた。飛騨や松本などけっこう標高の高いところにしょっちゅう行く僕の使い方だと、いくら時間を費やしてもばっちり、ということがないからである。いやになっちゃったから、あることを試すことにした。Dジェトロなのだが、スロポジ制御、という奇妙な制御である。

 具体的には、Dジェトロの基本である噴射量マップを一度殺す。マップ上の数字をすべて1.000にしてしまうのである。で、スロットル補正マップで燃調が合うようにつじつまを合わせる。燃料噴射に限ればスロポジ制御と同じ理屈になるはず。

 仕事にばりばり打ち込んでいるふりをしながら、ばりばりとマップを作っていた。さんざん噴射量マップをいじってきた経験があるから何回転のアクセル開度何%にどんな数値を入れればよいのか、だいたい想像が付く。ま、うまくいかないのが、素人作業の常なのだが。

 マップを作ったらさっそく新しい方式でエンジンを回してみたい。そう思って、仕事場を抜け出し、路上駐車をしてある我が愛車に乗り込み、新しい方式でつくったファイルをFreedomに転送する。

 緊張の始動。ぎゅぎゅぎゅん、ぶぉん。とエンジンはちょっと様子がおかしい気配がするがかかった。と思ったら、ぶすぶすぶすぶすと回転が落ちていき、ストール。おかしいな、と思い、もう一度ぎゅぎゅぎゅんと掛ける、ぶぉん。再びぶすぶすっと来たので、スロットルをあおってやったら、ぶぉんぶぉんと普通にふける。が、アクセルを離すとぶすぶす言い出す。エンストしたので再びエンジンをかけたら「バンッ」とインマニ側でバックファイヤーの音がした。歩道を歩いていた人がこっち見てびくっとした。

 NEKOの空燃比計は電源オンから1分たたないと空燃比を表示しない。2000回転ぐらいを維持して待つと、2000回転では適当にマップを書いたにしてはまともな空燃比なのだが、スロットルを離すとたちまちRICHになってストールする。

 ここで気が付いた。Dジェトロ制御の場合、スロットル補正が入るのはアイドルオフの場合なのだ。アイドル中はスロットル補正はカットされるに違いない。スロットル補正されない、ということは、噴射量マップ上の1.000という数字がそのまま噴射量に反映されてしまう。アイドリング時のマップ上の数値は普通0.150〜0.250ぐらい。異常な量のガソリンを吹いてしまっているのだから、そりゃあくすぶるに決まっている。

 だめか、と思うがあきらめきれないので、いろいろあがく。アイドルで調子が悪くなるなら、アイドル状態と判断させないようにすればよい。まずスロポジのアイドル接点をなしに変更。さらに、アイドルON開度とアイドルOFF開度をいずれもマイナスの数値を入れてやる。これでFreedomはアイドル状態を認識できない。

 一応、アイドルするようになった。が、調子が悪い。アイドル安定化補正だって入っていないのだから当たり前。空気の量が少ないようだったので、ISCVを開き気味に調整する。点火時期も10度にならないから、マップ上で10度にしてやる。いろいろあがいたが、やはり調子が悪い。

 走ってみると、重大なことに気が付いた。インジェクションであれば、一定回転数以上でスロットルを閉めると、燃料カットが入るようになっている。Freedomのデフォルトなら1800回転。が、スロットルオフが認識できないのだから、そのまま燃料を噴射し続ける。キャブみたいだ。何ともならないので、元の状態に戻した。実験は完全な失敗に終わっちゃった。

 断っておくと、平地ではすこぶる調子が良い。4連スロットルにハイカムという条件だと、いろいろ面倒なことが起きてくる、ということ。標高の高いところでも、燃調がちょっと狂うぐらいで普通に走るぐらいならまったく問題はおきない。ではなぜあがいているのか、といえば、ただあがきたいから。