10月4日

 トラブルもなくイタリアから帰国。上記画像は、別にフェラーリ工場を訪れたわけではなくて、フェラーリショップに飾ってあった10年前のF1のV10エンジン。ローマに計5泊、ナポリに2泊、ソレント近郊に1泊。ネット上にあふれているような旅行記をだらだら書いても仕方がないので、気がついたことをメモ風に。

●いつでもどこでもネット環境
 いつでもどこでもネットにつなぎたいのは日本人かアメリカ人ぐらいじゃないか、と思っていたが、空港はもちろんのこと、イタリア国内でもホテルや公共のWifi環境がかなり整えられてる印象だった。

 空港でパソコンを広げている姿は当たり前になっていたし、日本ではiPhoneが独り勝ちのスマートフォンも、イタリア国内ではサムソンあたりが広告をばんばん出していて、普通に商店街の中の電機屋で売られていたし、「スマートフォンどう?」なんて客引きにもあった。iPadもけっこう見かけたなあ。空港で列に並んでいたたぶんアメリカ人のおばちゃんが、iPadの活字に釘付けになっていたのが印象に残った。せっかく旅行に来ているのに、なんだかなあ、と思ってしまった。

 今回の旅では、奥さんの携帯電話を通話可能にしていた以外は一切、何も持って行かなかったので、10日間ぐらいネット不通な環境だった。「ネットで調べたい」と思ったことも何回もあったのだが、なければ工夫したり、人に聞いたりして何とかしてしまうわけで、もしかすると、ネット環境って工夫や未知の人とのコミュニケーション機会を奪っているのかもしれないな、と思った。

●イタリアの公共トイレ
 大用と小用が分かれているのは高級な場所のトイレで、ほとんどが女子トイレみたいに個室に分かれて、洋式トイレが据え付けられていた。手洗い場なんかも個室にあるトイレが多いのは、まあ便利かもしれないが、なんと便座がないのがデフォルト

便座がないのがデフォルト

 イタリア・フィウミチーノ空港に降り立ち、空の長旅で何となく大をもよおしたので、鉄道駅でトイレを探して入ると、便座がなくて臨死体験。小用兼用なんで、他人のおしっこで汚れている上に、トイレのドアの鍵が壊れていて、さすがにそこではできないと、空港まで引き返して事なきを得た。こんなひどいのはここだけか、と思ったら、公共施設にあるトイレはだいたいこんな感じ。汚いのがいやな人は、Bar(バール)なんかに入って借りた方が良いかも。

●キヤノン独り勝ち
 デジイチことデジタル一眼レフカメラの普及率がものすごかった。特に、中国人観光客の9割はでっかいデジイチを持っていて、巨大な交換レンズをカメラバッグに何本も入れてベストを着てと「おまえはカメラマンかっ!」と突っ込みを入れたくなる人が本当に多かった。たぶん、中国で海外旅行できる人たちはひとつかみの富裕層で、今はデジイチがステータスシンボルなんだろう。おしゃれな感じに着飾った若いお姉さん方はたいてい、デジイチをぶら下げてぱしゃぱしゃ撮りながら歩いていたし、中にはおばちゃんたちの一行の全員がデジイチを持っていて、「撮影旅行?」と勘ぐったほど。撮影旅行にしてはみんな派手でひらひらした服を着ていたから、たぶん、金持ちツアーなんだろう。

 もちろん、欧米の人も一眼レフを持っていたけれど、コンパクトカメラ派の方が圧倒的だった。

 気になるシェアはキヤノンが圧倒。Nikonが2に対し、キヤノン8ってぐらい(感覚値)。コンパクトカメラだとそれ以上にキヤノンかなあ。

 そういう僕はデジイチを持って行くと、どうしても仕事を思い出してしまうので、コンパクトカメラを持って行った。小さな三脚を持って行けば、簡単に記念撮影ができるから。旅行の写真って風景だけだとつまらないので。

 車載映像用に買ったカシオのEX880は壊れかけているし、自由度が少ないしであまり持って行く気がしなかったので、大須へ出かけて物色。リコーのGX200の液晶ファインダー付きが中古で売っていたので衝動買いをしてしまった。

 あまりスペックは知らずに買ったのだけれどもこのカメラ、こだわりがあるだけあって、スナップ写真を撮るだけなら十分。というか一眼レフよりも良いと思う。明るい屋外とかで露出がいまいちなこともあるのだけれど、簡単に露出補正ができるし、手ぶれ補正もかなりのもの。8分の1とか4分の1とかでシャッターを切っても何とかなる。さすがに2分の1とかだと何枚か取って1枚ぐらいはなんとか見られる絵って感じ。広角側も24ミリあって、教会だとか屋内の撮影に威力を発揮した。長く愛用できそうだ。

 ちなみにリコーのカメラは1台も見なかった。販売力の差か。

●ロードスター4台
 ロードスターは時々見かける程度。NA型1台にNB型3台、NC型1台を見かけた。オープンカー率はかなり低い感じ。

 新しいFIATの500がけっこうな人気でローマの街に似合っていた。さらに似合っていたのがSMARTで、ずらりと縦列駐車が続くローマの街角で、バイクと同じように横向きに駐車している姿がキュート。日本車はトヨタのビッツ(YARIS)がナンバーワンで、FIATとかスマート並みの普及。日産のマーチ(MICRA)がそれに次ぐ感じ。RAV4も意外に良くみたし、ダイハツもテリオスや軽ががんばっていた。ホンダ車はかなり存在感が薄い感じ。「フィットかな?」と思ったらトヨタの小型車だったり。

 車はへこんでいるのがデフォルトで、細かい傷なんかを気にしていたらたぶん車に乗れない感じ。板金屋さんは商売あがったり。自分で同系色を塗ったり、折れたバックミラーをテープでぐるぐる巻きにして付けていたりと、かなりイタリアンな修復が多かった。

●攻める運転
 ソレント近郊のサンタ・アガタからアマルフィに向かって海岸線沿いの曲がりくねった道をバスにて移動。「パラヒリャッ」と派手なラッパの警笛を轟かせながら現れたバスはすでにすし詰め状態。何とか乗り込んで運転手横に陣取る。このバスの運転が荒い。いや、とても上手なんだけれど、乗客にお構いなくヘアピンカーブを攻めるので、乗客は右に左にと振られるのを手すりなんかにしがみついて耐えないといけない。

 このバス運転手に限らず、攻める人が多い。ちょこっと直線があれば、びゅんびゅんとバイクや車が抜いていく。それもブラインドコーナーが先にあってもおかまいなく抜いていくのは驚いた。対向車も心得ていて、普通に避けるから大丈夫なんだろうけれど。

 その代わり、歩行者には優しく、道路を突然横断しても、減速して渡らせてくれる。クラクションを鳴らされることもない。というか、信号もあまりないから、車が続いていても渡り始めないと、ずっと待っている羽目になってしまうから、仕方なく渡る感じ。走ってくる車をにらみつけながらためらうことなく渡り始める歩行者には感心した。なかなか慣れるものじゃないから、そういう人の後に付いて横断するとうまくいく。