医師の卵の友人の結婚式に出席した。友達から呼んでもらったのは初めて。こう書くと、いかにも寂しい惨め野郎に見えるけれど、親しい友人で結婚したのは、彼が一番なのだ。
結婚式というと、大散財、おまけに親族の目の前で恥ずかしい思いをしなくてはならないのだから、最近では地味婚などといって、簡単に済ませたり、入籍だけしたりする人もいる。僕は、世間並みにやった方がいい、と思っている。人生の中で、セレモニーというのは、一見、馬鹿げて見えるけれど、ここ数年、さまざまなところに頭を突っ込んでいると、けっこう重要なことであるように思えてきた。
気取っちゃって、ふふん、結婚式なんて形式だけのものはつまらない。ハートさえあれば、いい。と、ロマンチックな考えにふけりつつ、マイホームの頭金を作る方が先だ、などと極めて現実的なこともつぶやきながら、完全に2人だけの世界で思考が完結してしまい、式を開かなかったとしたら、10年後ぐらいに寂しい思いをするんじゃないかしら、と思う。あのときは、あんなに馬鹿馬鹿しいことやっちゃった、と2人、顔を見合わせて笑うのは微笑ましい光景だが、開かなかった場合、やっぱり開けば良かったと考えるのは寂しい。開かなかったのはあなたに甲斐性がないからよ、などと夫婦間に不穏な空気が流れたりして、家庭内不和の火種とならないとも限らない。
と、くだらないことを書いたけれど、友人の式は極めてステレオタイプなものだった。感動した。やっぱりいいもんだな、と思った。
写真の撮影を頼んでいない、というから、僕が引き受けることにした。当日は、1眼レフのカメラにデジカメ、ノートパソコンというものものしい出で立ちで式場に向かった。せっかくのメシも喰らう暇がないかな、と思ったけれど、式場のカメラマンがカメラ2丁をぶら下げてうろうろしていたから、何とか、すべて平らげることができた。それでも24枚撮りで6本ぐらい撮ったから、席を立ち、場内を駆け回って撮影した後、再び座ってメシを喰らい、再び動きがあったら、またすぐ立つという忙しい思いをした。そして、なぜかメモを取った。
結婚式の2次会。1次会に出席できなかった人ために様子を伝え、新夫婦の記念にしてもらおうと、印刷物を作った。ノートパソコンはこれを作るためわざわざ持っていったのである。「パーソナル編集長」というマイナーだがすばらしいDTPソフトを使えば、これくらいのものなら簡単にできる。(→これ。友人は了という名前)
ここの雅スポみたいなノリにしようかなとも思ったけれど、2人にとっては一生の思い出の1つとなるかもしれないから、まじめに作った。一生懸命書いたメモがここで生かされるのだ。1次会終了後、礼服に白ネクタイのおめでたルックで、ピンク色の袋に入った引き出物と、でかいカメラ、かばんを手に名古屋の街をうろつき、目に入ったのがあるイタリアンなカフェ。アイスコーヒー1杯頼んだだけなのに、1時間半ぐらい粘った。しかも、こっそりコンセントも拝借した。ごめんなさい。
画像ではカラーだが、実際はプリンター代わりにファクスを借りて印刷したから、モノクロ。40枚コピーして、2次会会場へ。思いの外、喜んでもらえた。さすがに疲れたので、2次会の写真を大量に撮影する気にはならず。周りは医者ばかりだから、あまり話が合いそうもなかったので、高校時代の友人と思い出話にふけったのだった。
大量に飲み、食い、幸せな2人を見せつけられて、おなか一杯。ごちそうさま。