10月24日

 来た道を引き返す形で、軽井沢から千曲ビューラインへ。あたりはもう暗い。

 軽井沢ミーティングでは、ノーマルに和田峠を通って岡谷インターへ行ったが、独りで走っているのであれば、やはりアブノーマルな道を行くしかない。

 千曲ビューラインの旧北御牧村から立科町方面へ抜ける道に行く。なじんできた自治体名がかなり変わった。かなりの数の町村が消えている。

 白樺湖へ向かう県道へ。白樺湖からビーナスラインを経由して諏訪市内に下る。トラックが多い和田峠だとどうしてもペースが落ちてしまうから、あまり交通量が多くない方を選択する。走って面白い道でもある。

 と、車がいないことを期待したのだが、和田峠が有料道路なこともあって、トラックが走っていた。しばらく後ろで我慢して、登坂車線に行ったところで追い越す。

 白樺湖畔からビーナスラインへ。ルート選択の失敗を悟る。濃霧、いや、斜面にぶつかってきた雨雲で前がまったく見えない。数メートル先の路面のラインを見ながらノロノロと走る。崖から落ちたらしばらく見つけてもらえないだろう。

 諏訪市内に入り、国道20号を岡谷方面へ。普通の人なら迷わず高速道路なのだろうが、アブノーマルな僕は下道直行である。塩尻から国道19号ルートに向かう。

 が、予想外の事態が発生。「通行止め」の表示が。中央道の中津川と飯田間で事故が発生したらしい。

 迂回路と言えば、国道19号しかない。ただでさえ、トラックばかりで怖い国道なのに、迂回してきたトラックで交通量が増えているとなればデンジャラスが危ない。排ガスでむせ返ったようになるのもいやなので、塩尻への坂を上り始めたところでUターン。伊那谷から帰ることにする。

 雨脚がかなり強くて、前もなかなか見られない状態。ほかの車ものろのろ運転。こういうときはやはり、車があまり走っていないアブノーマルな道を選択するしかない。

 天竜川の左岸に飯田まで通じている県道がある。曲がりくねっていて、途中、幅が2メートルぐらいで落ちそうな部分があるので、ほとんど車が走っていない。

 快調に飛ばしていたら道路の真ん中にきらりと2つの光が見えたので、急ブレーキ。タヌキだ。向こうもこっちにびっくりして金縛りになり、そのまま道を横切れば良いのに来た方向に引き返すので、さらに危ない。

 駒ケ根市に差し掛かり、道幅2メートル区間へ。左は崖、右はガードレール&ところどころ崩れかけた路肩という非常にスリリングな場所である。対向車はライトで分かるので、落石と水たまりだけに注意してかっ飛ばす。

 気分はラリー。前日からすでに500キロ以上走っている疲れもあって、ランナーズハイ。というか、もう憑きものでも付いたかのようなトランス状態。

 途中、立派な角を持った鹿が道路の真ん中にたたずんでいた。こちらが近づくと路肩によけたが、左前足になにか網のようなものが絡まっていてひきずっていた。かわいそうに思うが、野生動物に近づけるわけもなく、そのまま通り過ぎる。

 順調に飯田まで到着。給油をして、再スタート。まだ通行止めは解除になっていない。

 国道153号はほとんど車もおらず、順調にかっ飛ばす。すでに5時間は走り続けているのだが、憑きものに突き動かされてひたすら走りまくる。疲れると集中力が切れ、さらに大雨が降っているとなると、それほどとばせないのだが、なぜか疲れも知らず愛知県内へ。瀬戸市の街に出るまで、息つく間もなく、ガソリンスタンドで買ったコーヒーを飲むこともなく一心不乱に走り続けてしまった。

 行きから帰りまで750キロの行程。うち高速は行きに使った60キロちょっと。久しぶりに心行くまで走りまくった。