10月22日

 新栄で仕事があったので、仕事場から歩いて行くことにした。最近、おなかの出っ張り具合が深刻な状況に陥りつつあるから、少しでも運動することが必要なのである。

 てくてくと、名古屋の道を歩いていく。新しい街に引っ越してきたら歩くかオープンで走るに限る。街の表情を知ってこそ、住んでいる場所に愛着がもてるのだ。

 秋の日差しはとっても穏やかで気温もそれほど高くないから、スーツの上着を着ていてちょうど良いくらい。ときどき、キンモクセイの香りが漂ってきたりして、すっかり秋の風情が漂っている。もうしばらくしたら、冬と呼ばれる季節になるんだろう。松本に住んでいたものとすれば、名古屋の冬は冬のうちに入らない。

 歩くときに邪魔に思うのが眼鏡だ。微妙にずりおちてきたのを上げるのが面倒くさい。外してみた。ど近眼なので、眼鏡を外すと1メートルぐらい先までしか見えずにあとはぼやけてしまう。10年ちょっと前に眼鏡を着け始めてから、10分以上かけないで歩いたことはないと思うのだが、今日は外したまま、何も見えないまま、20分以上歩いてみた。

 はっきり見えない、ということはそこら辺に張ってある怪しげな広告の文句も読めないし、たとえ、とっても良さそうなおねいちゃんとすれ違ったとしてもまったく目を向けることもない。眼鏡を外していると、まったく煩悩から離れてしまうので不思議なものである。

 でもかなり視野が狭いらしく、セントラルパークを横断していたら、すぐ横にテレビ塔があったのに気が付いて驚いた。この間完成したばかりのオアシスなんとかというへんてこな建造物も、巨大な輪郭が分かるぐらいで、細かいところはよく分からない。人が倒れていてもそのまま踏んづけてしまいそうな勢いだから、デンジャラスな人間だ。

 仕事があるので再び眼鏡をかけたら、とっても度が強く感じた。景色もゆがんで見える。目が回る。頭痛がし出した。

 夜まで違和感は収まらず。頭も痛い。どうやら、あまり慣れないことはしない方が良いらしい。