1月6日

 今日が正式な仕事始めに当たるのだが、相手がある商売なので、アポを取らないと仕事にならない。一つ、アポを入れたのだが、当然、後日に会うことになるので、この2日ほどは暇なのだ。いや、こう言っては語弊がある。とりあえず、暇になるようにアポを入れていない、というのが正しい。

 なので、仕事中にも関わらず、パソコンに保存してあるFreedomのデータをのぞき見していた。基本的にテキストファイルであるから、テキストエディタがあれば簡単にいじることができることを知る。それならば、と、噴射量マップの吸気圧ピッチの変更にトライしてみる。

 Freedomの噴射量マップは、回転数18レベル、負荷軸32レベルの計576のデータで構成されている。これだけ書くと、なんだか、訳が分からない。

 Freedomは燃料を噴射する量を決めるのに、回転数の軸と、吸気圧(負荷)の軸からなる2次元のマップを使っている。例えば、3000回転のときに、吸気圧が500mmHgだったら、この量のガソリンを吹く、といちいち指定してあげるのだ。18×32で576ものデータを覚えられるのだ。詳しくはここを見てほしい。

ここ

 回転数は500回転ごとに18レベルだから、500回転から9000回転まで、吸気圧は50mmHgごとに32レベルだから、50mmHgから1600mmHgまで用意されている。

 ところが! 大気圧は標高0メートルで快晴の日だと、765mmHgぐらい。自然吸気(NA)エンジンでは、アクセルを全開にしても大気圧+αの吸気圧しか得られないわけで、800mmHg以上のマップはまったく使っていないことになる。半分しか使っていない。なぜ、1600mmHgまで用意されているかと言えば、ターボやスーパーチャージャーなどの過給器を使うときのためにあるのだ。

 せっかく用意されたマップが半分しか使われていないのはもったいない。今現在、ターボ化する予定もない。だったら、50mmHgごとのピッチを25mmHgごとに変更すれば、32レベルある吸気圧の軸をすべて使うことができる。これまでよりも倍、細やかな制御ができることになる。

 エンジンがシングルスロットルの場合は、50mmHgのピッチでもまったく問題なくスムーズにエンジンは回るのだが、今回の変更は4連スロットルを付けるときのための準備的な作業だ。4連スロットルは、シングルスロットルよりも、ハーフスロットルの領域での制御が難しいらしい。理由は、アクセル全開のときの吸気圧と、ハーフスロットルのときの吸気圧があまり変わらない数字が出てしまうからなのだが、難しいことは4連を付けることができた暁に本編で書くことにしよう。ピッチを細かくすれば、それだけハーフスロットルのときの制御が細かくできるんじゃないか、と予測した。まったく無意味なことをやっているかもしれない。もし、予測通りに事が運んでくれたら、シングルスロットルの段階できちんと噴射量マップを作っておいた方が、4連に移行したときにやりやすいと思われる。

 噴射量マップの800mmHg以降はターボ用の領域であり、NAでは考えられないほど濃い数字が羅列(インジェクターの能力を簡単に超えている)されている。ピッチを変えてもデータの中身までは変わらないので、まともに動かしたかったら、あらかじめまともな数字を入力しておく必要がある。エンジンを動かしながら、パソコンでぱちぱちと入力していたのでは気の遠くなる時間がかかるので、データのうち、噴射量マップのデータをテキストエディタの秀丸やらエクセルでちょいちょいと作成する。点火マップも同じようにデータを作成する。空燃比計を付けたときの空燃比マップも作成する。

 とりあえず、パソコン上でこれだけの作業をやっておいた。言うまでもないが、仕事中である。同僚の人が僕のパソコンの数字の羅列を見て、「なにこれ」と聞いてきたが、まさか正直に答える訳にもいかず、「某国がラジオ放送で送ってくる暗号を解読するための乱数表です」とごまかしておいた。

 作っちゃったら早く動かしたくなるもので、4時すぎに黙って仕事場を上がり、帰宅してFreedomにデータを転送。転送中にエンストしたが、再始動したら問題なく動いた。変更前とまったく同じように回っている。マップが倍のデータ数になったので、変更が大変かと言えば、空燃比連動機能を使って、勝手にFreedomが学習してくれるのでそれほどの労力は必要ないと思う。

 問題と言えば、古いパソコンなので噴射量マップの全体を見るときに、スクロールに時間がかかることぐらい(だと思う)。

 早く帰宅したのは、アストロへ行きたかったからでもあった。アストロに行き、メタルクリーンを購入。外してバルブをばらしてあるヘッドを洗浄した。

 新春早々、車三昧な日々なのである。