1月4日

 水から風呂を沸かし、てっきり沸いたものだと思って、ざんぶ、と一気に飛び込んだら、次の瞬間「ごめんなさい!」と、意味不明な叫びとともに、飛び上がった。風呂水の上だけはお湯だったけれど、下が冷水だった。30分沸かした後に、20分も沸かしたのに、まだ全然足りなかったらしい。

 ぶるぶる震えながら、風呂をかき混ぜたら、均一に水になった。こんな低い温度の水に入ったら、心臓がばくばくいって止まってしまいそう。仕方なく、風呂桶の上にしゃがみ、再び湯を沸かすことにする。お湯の蛇口もひねってぶち込む。裸のまま風呂桶の上にしゃがみ、沸くのを待っている姿は、間違っても他の人に見られたくない。

 体全体で震えながら、沸くのを待てども、なかなかすぐに沸くものでもない。風呂の中の温度は、吐いた息が白いくらいだから10度前後と思われる。気化熱で体温がどんどん奪われながらも、真っ裸で、ひたすら待った。

 耐えきれなくなって、蛇口から出たお湯を、頭からかぶったら、あっという間に冷めてしまって、かえって寒さを助長した。心臓がどきどきするくらいの寒さを味わったとき、ようやく上澄みだけはお湯になってきたので、たまらず飛び込んだ。下の方は水だけれど、何とかしのぐことができるもんだ。

 松本の冬には、こういったサバイバルが日常的に繰り広げられるのです。