バルタイを取った車は早く走れるようにしなければならなかった。だって、夜、友達の家に呼ばれていたんだもの。組み立てなければ、行くことができない。ちゃんと組まなければ、途中で壊れてしまう。急げばミスを誘発し、急がなければ、おいしいお酒が飲めない。このもどかしさ。
とりあえず、作業が終わったのだが、けっこう細々としたことが残っていてなかなか出発できない。完璧、と思っていたのだが、純正の水温計が動いていなかったので、熱したクランク角センサーの下に手を突っ込み、熱い思いをしながら配線をする。点火時期も合わさなければならない。
走り出すと、やはり圧縮比が上がった上、ハイカムが入っているので、ちゃんと速くなっていた。すでに組んで1万キロを走行したシリンダーヘッドであるので、慣らしなんて無用である。7000回転までぶん回す。でも、セッティングがまったく取れていなく、高回転では燃調が薄くなっているだろうから、あまり無茶なことはしなかった。
今回は4月にエンジンから取り外してあったシリンダーヘッドASSYをそのまま取り付けただけ。カムやカムプーリーなどなど、ごっそりすべての部品が付いていたから、本当にポン付け。シール類なんかもそのまま使ったから、かかったお金と言えば、松本のディーラーで買ったヘッドガスケットの部品代だけである。これもデッドストックで落ちていた物を安く譲ってもらったので1500円だ。
友達の家は、豊田である。トヨタ自動車本社の南ぐらい。時間がなかったので名古屋インターから東名高速に乗ろうとしたのだが、渋滞の案内が出ていたので急きょ、下道から行くことにする。
オーバーラップ48度と、実にライトなバルブタイミングであるにもかかわらず、やはりシングルスロットルでは厳しいのか、しょっちゅうエンストをする。下手をすると空ぶかししたり、クラッチを切るだけでエンジンが止まる。Freedomの設定で何とかなればよいのだが、とりあえず、アイドル回転数を950回転にしてしのぐ。どこかの設定でなんとかならないものか。
バルブタイミングの問題だと思うのだが、吸気音がものすごい。全域でトルク感が増し、壊れそうに回る怪しげなフィーリングがさらに怪しげに研ぎ澄まされた。やっぱり、ハイカムってかなり効くんだなというのが今回の実感。面研して圧縮比を少し上げただけのエンジンにも乗っているから、余計にそう思う。
何とか無事、友達の家に着き、奥さんの手料理で宴会。奥さんがロードスターに乗りたいというので、開幌状態にして、国道248号をぶっ飛ばした。かなり喜んでもらえたみたい。
この友達夫婦。外科医と看護婦である。とにかく酒を勧めてくる。「いやさ、病み上がりでそんなに飲めないんだヨ」と言っているのに、飲め飲め。友達曰く、「ぶっ倒れたら、点滴打ってやるから。すっきりするぞ」。おもむろに引き出しを開け、点滴と輸液のルートセットをわざわざ見せてくれる。奥さん曰く「私も最近また勤めだしてかなり勘が戻ったから大丈夫よ!」。夫婦そろって、たちが悪い。
友達が作ってくれるカクテルをがぶ飲みして夜が更けていった。
そして今日である。今日も名古屋駅付近で新年会。「やぎや」というアジアンテイストの怪しげな店でベトナム手羽先を食べながら、再びお酒をがぶ飲み。終電で帰ってきた。