1月15日

 昨日買ったロードスター本。平井主査がロードスターを企画・設計するにあたり、骨となるコンセプトを書いたチャート図が載っている。

 その中に書いてある言葉のすべてがロードスターで実現されている。これは、コストだとか、安全だとか、居住性だとかのバランスを考えて、設計段階であれこれ綱引きをする現代のクルマづくりにとっては奇跡とも言えることなのかもしれない。

 キーワードを羅列する。

 「Hair in the wind(適度な風の巻き込み)」「ショートストロークで節度あるチェンジ」「軽量ボディ」「FRレイアウト」「ヒールアンドトゥに適したペダル配置」「クロスギアレシオ」「不快でないゴツゴツ感を残す」「Wウイッシュボーンサスの採用(前/後)」「フューエルリッド位置(Rフェンダー上面丸型)」「適度に狭いインテリア」「折り畳み式サンバイザー」「メーター特性 スピード オイルプレッシャー」「Simple
interior」「特定の回転域で(排気音が)こもることがない」「Non Spongy Brake」

 3分の2ぐらいを引用したが、初代NA6CEにはすべてが取り込まれている。やはり、「適度な風のまきこみ」「リニアな油圧計」「折り畳み式サンバイザ」「ゴツゴツ感」などなどは、演出されたものなのだ。マイナーチェンジごとにコストカットの名目でこうした「味」が失われて行くのは少し、寂しい。

 Non Spongy Brakeとは、踏んだ力に応じてがつんと効くブレーキの事だと思う。ブレーキを利かそうと思えば、それなりの力でペダルを踏む必要がある、ということだと思う。踏んだ力にリニアに利くブレーキだ。

 最近のブレーキは、倍力装置の容量が上げられて、ブレーキペダルを踏む力ではなく、ストロークで制動力が決まるようになっている。NA6CEに乗っている者が、NA8CやNBをちょこっと運転してみて不満に感じるのはこの点だ。前輪を前足、後輪を後ろ足のように感じるには、がつんと踏めるブレーキが大切だと思うのだが、これは時代遅れの考えなのだろうか。