さぼるために仕事場を抜け出して歩いて栄のマナハウスと丸善に行った。
車雑誌コーナーで目についたのがVTECマガジン?だ。S2000のエンジンであるF20C型エンジンについて、チューン会社であるスプーンや戸田レーシングのエンジニアが語ったインタビューが載っていた。コンロッド、ピストン、クランクシャフトからヘッドボルトに至るまで、まさに9000回転という高回転を支える技術が注がれているんだなあ、と感心する。
コンロッドはもちろん鍛造で、しかもコンロッドはナットレス。小端部にはなんとブッシュがない。浸炭処理という処理で表面を硬くしてあるから不要なんだろうか? バリと贅肉が多い、マツダB型エンジンとは比較にならなく美しい。ま、贅肉があるからターボで無茶できるのかもしれないけれど。ピストンももちろん鍛造。ピストン高も低くなっていてフリクションロスの低減が効いていそう。トップは比較的フラットでなだらかな形状。ショートストロークエンジンなのに圧縮比が11.7ということは、よっぽど吸排気ポートが立っていてコンパクトな燃焼室になっているんだろう。
カムシャフトなんて中空になっていて、オイルラインになっているんだねえ。折れないのかな。カムのロッカーアームもほれぼれするほど精密にできている。直動式のB型エンジンには無縁な部品であるけれど。
クランクの形も美しい。それを支えるシリンダーブロックは2分割のラダーフレーム。9000回転常用を受け止めるように、しっかり作り込んだ部品とその組み付けに他のエンジンと比べものにならないほどの精度が出ているらしい。いじり倒したら11000回転ぐらいまで回るのかなあ。
思わずホンダ色満載のこの本を買おうかとも思ってしまったのだが、カムの作用角やリフトといったデータがあまり詳しく載っておらず、さらにシリンダーヘッドのポート形状も載っていない。要するに、コンロッドと燃焼室の写真ぐらいからしかエンジンづくりの参考になるものがなかったので、思いとどまった。すごすぎて、自分のエンジンづくりの参考になるものがあまりなかったということか。
クルマ本コーナーに行くと、「マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語」という本が売っていたので思わず衝動買いしてしまう。初版が2003年1月15日になっているから、まだ発売直後らしい。三樹書房・2800円(税別)。184ページ。
マツダ/ユーノスロードスター −日本製ライトウエイトスポーツカーの開発物語
開発主査の平井敏彦氏をはじめ、基礎設計、車両設計、デザイン、シャシー、ソフトトップなどなど数々の開発担当者がそれぞれの機構、デザインに決定した経緯や意義付けを解説している。とってもマニアックだ。ちらちらと読んだだけだが、開発当時の熱意がひしひしと伝わってくる。いかに、お金を掛けないことを厳命されていたか、人が少なかったかがよく分かる。ホンダのイメージリーダーとして華々しくお金を掛けられたS2000(それにしては安く買えるけど)とは雲泥の差である。
発売から14年もたってからこんなきっちりとした本が出てくるあたり、ロードスターがいかに偉大なクルマであるかを改めて認識する。こういう本は買いまくって出版社が儲かるようにしてあげましょう。