年末からアフガニスタンのカブールに行っていた人が帰ってきたので、会いに行った。というより、ジムニーで松本駅に迎えに行き、そのまま家に乗せていってあげた。
NGOを設立して、支援活動の下見としてパキスタンのペシャワルに行き、状況が良くなっていったので入国して首都カブールまで行ったという。ペシャワル→カブールへの道は、車で1泊の距離。イタリア人のジャーナリストらが、強盗に射殺された場所である。昼だったら大丈夫なのだとか。でも、あまりの悪路に、乗っていったトヨタ車のドラシャが折れて、2時間足止めを喰らい、冷や冷やしたらしい。
マスコミの報道によると、現地は悲惨な状況に思える。山岳の砂漠地帯が延々と続く映像ばかり流れるから、そう思うのも無理はないかも。けれども、ビデオで見せてもらったところによると、山岳地帯は映像通りの砂漠に悪路なのだが、その間の盆地は、青々としていて、非常に豊かな大地が広がっている。カブールに住んでいる人たちの表情は明るく、市場には大勢の人たちと、物であふれかえっている。人々はお金がないけれど、食料は安く買えるので食べるに困ることはないらしい。確かにお金は持っていないけれど、映像を見る限り、けっこう豊かな暮らしをしている。
そんな現地へ、外国から寄せられた支援物資が大型トラックに積まれて運ばれていく。で、行き着くのは、カブールの市場。横流しされて、売りさばかれてしまうのだという。支援物資として届く物の方が少ないらしい。
タリバンはあまり好かれていなかったけれど、報道で流れているような極端な圧政ではなかったらしい。人々が好きな音楽が禁止されていたのは本当らしいが。第一、タリバンが去った後でも、女性は頭からすっぽりとかぶっているブルカを着けたままだ。タリバンが去った後に脱ぎ捨てて歩く女性の映像が象徴的に流されたけれど、やらせや偏向報道だった疑いが強い。ブルカは文化なんだね。
日本にどっと押し寄せた映像は、アメリカ経由、アメリカ寄りの映像だったのかもしれない。たぶん、解放の様子を伝えるのはアメリカ系、空爆の犠牲者はイスラム系通信社から流れてくるのだろう。日本のテレビは、カブールで1カ所だけの発信所から送信しているのが現状。現地リポーターだって、どれだけ真実を伝えているのか、怪しいものである。
テレビや新聞で流れている情報は、本物だと思いがちだけれど、伝える側の意図によっていくらでもねじ曲げられてしまう。同じ映像でも、ナレーション次第で受ける側の印象がまったく違ってくる。
もちろん、僕がアフガンから帰ってきた人と会ったことさえ、嘘なのかも知れないのである。