勤務時間

 「休みなのになぜか…」で始まる日記をよく書いていた覚えがある。平日に割り振られた休みは休みではなく、普通に仕事をして半休になればいい方。そんな働き方をしていた。そもそも、相手に振り回される職業なので、勤務時間なんてあってないようなもの。目の前に出現した課題は片っ端から片づけていって、結果休めればいいよね、というのが10年ぐらい前までは当たり前だった。

 ところが働き方改革で様相が変わった。書類送検されてはかなわんわい、とばかりに現場への改革の強制が進み、夜や休みに呼び出すことはもちろん、連絡することもご法度とされるようになってきた。以前からは想像できないぐらい、若手は休めるようになった。

 たぶん、良いことなんだろうけれど、一方で仕事ってそんなものじゃないだろうと思う僕がいる。僕の仕事の場合、量をこなせば間違いなく質も上がっていくし、持ち場に赴任して一定期間集中してエネルギーを投入すれば、今度は情報が向こうから入ってくるようになる。1年で持ち場替えということもざらなので、うかうかしていたらなんの成果もないまま次の持ち場への配転されてしまう。

 ここで言っているのは強制されてやる仕事ではなく、自発的にやる仕事なのがポイントで、与えられた条件の中で脳みそをフル回転させて成果を求めて動いた結果、超過勤務ならしょうがないと思う。働き方改革が、若手の成長の機会を奪っているとしたら、本末転倒しているんじゃないだろうか。相手からしたら、こちらの休みの都合で担当者がころころ変わるわけで、仕事の責任を持つ、という意味でも好ましい状況じゃない。

 「勤務時間の記録ってどこまで正確に書けばいいんですかね」と新人に聞かれ、本当なら「そんなの適当に書いておいて、仕事しまくればいいんだ」と言いたいところなんだけれど、管理職になると口が裂けてもそんなことは言えない。かなり婉曲な言葉遣いでどう働くのかは結局、人それぞれなんだよ、という意味のことを伝えたが、伝わったかどうか。

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