α−n制御では大事
「9 スロットル開度関係」について。
●スロットル開度関係
吸気圧で制御するDジェトロだろうが、スロットル開度で制御するスロポジ制御=α−n制御だろうが大切なのが、スロットルポジションセンサー回りの調整だ。
スロポジには2種類ある。NA6CEのスイッチ式とNA8、NB8、AE101のリニア式である。スイッチ式の中身については こちら を参照。見ての通り、全閉(アイドル状態)か全開かの違いしか分からない代物である。
リニア式は、ラジオなどの音量を調整するボリュームみたいなもので、アクセル開度に従って出力される電圧が徐々に変化していく。この電圧を読みとることで、アクセル開度がどれくらいなのか、0%から100%までの数値で知ることができる仕組みだ。
いずれの方式も、きちんと調整することが大切である。 アイドル接点がある場合は、スロットルが少しでも動いたらアイドル接点がOFFになるよう、きっちり調整しなければならない。 ここがいい加減だと、スロットルの開きはじめで、ぎくしゃくした動きが出て、ひどい場合は車体全体ががっくんがっくん動いたり、スロットルを少し開いたのに全然反応しなかったりして、街乗りには非常に厳しい車になってしまう。
本来なら、厳密な調整にはテスターが必要なのだが、Freedomの場合は非常に楽だ。エンジンルームにパソコンを持っていき、上のようなFCSSの画面を見ながら調整すればよい。アイドル接点がONになると、アイドル安定化補正がちらちらと動く。スロポジのねじをゆるめて、位置を動かしてやる。アイドル接点がOFFになれば、アイドル安定化補正は1.000に固定になる。画面を見ながら、ぎりぎりONになる位置にスロポジを固定する。あとは、スロットルが少しでも動いたとき、アイドル安定化補正が1.000になるかどうかを確かめればよい。
シビアに調整すると、それだけでアクセルの踏み始めが気持ちよくなる。シビアにしすぎると、走っている途中にアイドル接点がONにならなくなって、アイドル制御をしなくなる。ここら辺のバランスは試行錯誤で覚えるしかない。
で、まず設定するのが以下の2つのフラグ。
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スロットルポジションセンサーモードフラグ
スロポジがスイッチ式かリニア式かを選択する。
NA6CEのB6ノーマルエンジンにFreedomを取り付けた当初、アイドリングして2分ほどたつと自動的にエンストする怪現象が出た。アクセルさえ踏まなければ、エンジンスタート直後は調子よくアイドリングしているのだが、2分たつと、突然回転数が落ち込んでエンジンが止まってしまう。
何が原因か分からなかったのだが、識者からのアドバイスで、このフラグの設定を変更した。NA6CEのノーマルのスロポジはスイッチ式。僕の買ったFreedomはB6エンジンにAE101用の4連スロットルを取り付けるためのキットだったから、内部のデーターが4連スロットル用に設定されていた。だから、スロポジがAE101のリニア式であるという前提で、ここのフラグがリニア式に設定されていたのだ。フラグをスイッチ式に変更したら、今までの怪現象は何だったのかと思うほど快調にエンジンが動くようになった。
リニア式であれば1:リニアを入力する。0はスイッチ式PB0入力、2はスイッチ式TH入力というスロポジに対応しているのだが、NA6CEがどちらなのかは分からないので、不具合の出ない方を選んで下さい。
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アイドル接点フラグ
スロポジにアイドル接点があるかどうかをここで設定。NA6CE、NA8Cなら、0:有りを入力する。NB8CやAE111のスロポジはアイドル接点がないらしい。この場合は、1:無しを入力する。すると、スロットル開度が一定以上小さくなるとアイドル制御を開始する。
もちろん、 アイドル接点があるスロポジでも「無し」に設定すれば、スロットル開度からアイドル状態かどうかを検出するようにな る。
以下、分かりやすくするため、順不同で書きます。
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スロットル全閉レベル
スロットルが全閉になったときの、電圧の入力レベルを指定する。スロポジ制御の場合ここがきちんと設定されていないと、まともに動かない。
ヘッドライトを使ったり電気の負荷がかかっていると、スロポジの電圧もかなり影響を受けてころころと変化する。Dジェトロなら問題ないが、スロポジ制御だと、このずれは致命的で、一気に不調になってしまう。スロットルを閉じているのに、明らかに変なスロットル開度を示しているときにはここで調整する。学習があるので、乗っているうちに正常な値を示すようになる。
スロットル全閉レベルの学習は、アイドル接点が「あり」と「なし」で方式が違う。
「あり」の場合はアイドル接点がOFFからONになったときの開度を学習する。「なし」の場合は、現在の全閉レベルより低くなった場合、その値を新たなスロットル全閉レベルとするように学習する 。
学習は、現在の全閉レベルから新たな電圧レベルの差の十分の一を、現在の全閉レベルに対して増減するため、ちょいと時間がかかる。
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全閉レベル学習OFFフラグ
全閉レベルの学習を切るフラグ。スロポジ回りでトラブルが起きたときに、不確定要素を一つなくすためのものと考えればよい。
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スロットル全開レベル
スロットルが全開(=100%)のときの入力レベルを指定する。スロットルが全開の時、スロットル開度が100%になるように設定する。
Freedomを取り付けたら、きちんと全開レベルを設定するようにしておきたい
。
以下3つは、アイドル接点が「なし」の場合のパラメーターである。
○
スロットル全閉レベル補正値
アイドル接点が「なし」の場合に使う。入力レベルは、電気負荷の違いなど、さまざまな要因で誤差が生じる。このため、全閉レベルの学習で入力レベルのもっとも小さい値を全閉レベルとすると、次にエンジンを始動したときに、ずれが生じることがある。値が小さくなりすぎると、アイドリング状態などを検出できなくなるため、Freedomの電源がONになるたび(=イグニッションスイッチがONのたび)に、この補正値分だけ、全閉レベルを増やす。デフォルトは0.5。
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アイドルON開度
アイドル接点が「なし」の場合、スロットル開度がこの値以上のとき、アイドル状態でないと判断する。デフォルトは1.0。あまり大きくすると、スロットルを開いたのにアイドル状態と判断されて、フィーリングが悪くなる。
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アイドルOFF開度
アイドル接点が「なし」の場合、スロットル開度がこの値以下のとき、アイドル状態であると判断する。デフォルトは1.5。
以下2つは「出力増量補正」についてのパラメーターである。
出力増量補正は、純正のO2センサーを使って学習をさせた場合に使う補正で、リニア式の空燃比計を使う 「空燃比計連動機能」が付いている場合には、あまり使用しない。 ちなみに空燃比計連動機能を動かすためのファイル「MIXCONT」のデータをFreedomに転送した場合、出力増量補正は200%に設定されて、補正が殺される 。
純正のO2センサーは、理論空燃比である14.7より「濃い」か「薄い」の判断しかできない。このため、この信号を使って学習させると、噴射量マップの全域にわたって理論空燃比で噴射するような数値になる。スロットル開け始めからハーフスロットルぐらいまでなら理論空燃比で燃焼させていれば良いのだが、加速のためにエンジンに負荷をかけた場合、理論空燃比では薄く、パワーも出ないし、ノッキングも出やすくなって危険である。だから、一定以上、スロットルが開いた時点で、燃料を濃くするための補正が「出力増量補正」である。
僕は、空燃比計連動機能が付いているので、出力増量補正開始スロットル開度に200を入力して補正自体を殺している。スロットル開度は100%までしかないから、それ以上の数値を入れれば、補正はかからない。
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出力増量補正開始スロットル開度
デフォルトは90.0。この場合、スロットル開度がこれ以上のときに出力増量補正をかけることになる。
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出力増量補正値
デフォルトは1.180。なぜ、1.180かというと、理論空燃比14.7の噴射量に1.180をかけると出力空燃比である12.5に近づくから。14.7÷12.5=1.176。
ノーマルO2センサーを使って、高回転、高負荷の領域まで学習させようとすると、ちょっと薄目の空燃比で何度も何度も高回転まで回すことになり、下手をするとエンジンが壊れてしまう。 リニア式の空燃比計が5万円程度で買えるようになったのだから、ぜひ購入してセッティングすることをおすすめする。 もし、仕方なくノーマルのO2センサーで学習させるならば、Freedomのログ機能を使おう。 ログを記録しながら、スロットル全開フル加速を何度かしてみて、高回転でどんなフィードバック補正がかかっているか、その数値を基に自分でマップの数値を「手打ち」するのだ。リスクのある理論空燃比での高負荷運転を最小限にとどめることができて、精神安定上よろしい。
出力増量補正で使えるのは、 出力増量補正がかかっているときは、空燃比のフィードバック補正がかからない 、という点である。たとえば、高負荷状態のマップはだいたい完成して、低負荷のときだけ学習させたい、という場合、好みのアクセル開度で出力増量補正がかかるようにしておけば、自動的にフィードバックが停止される。もちろん、このときの補正値は1.000にしておく。
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スロットル開度データ出力フラグ
AE86やAE92のオートマチック車のためのフラグ。オートマチックのコンピューターへスロットル開度データを出力するかどうかを指定する。ここは1:出力無しに設定する。ダイレクトイグニッションを付けている場合は、同一の出力端子を使っているらしいので、かならず1:出力無しに設定する。
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スロットル開度補正ポイント
実際のスロットル開度とFreedomが判断するスロットル開度をずらした場合に使うみたい。スロットル開度を20段階に分けて、事細かに開度を設定することができる。普通にセッティングしている限りは必要ないが、ポイント1は基準になるので、絶対に0.0から変更してはならないらしい。
ポイント1
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0.0 |
ポイント2
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5.0 |
ポイント3
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10.0 |
ポイント4
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15.0 |
ポイント5
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20.0 |
ポイント6
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25.0 |
ポイント7
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30.0 |
ポイント8
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35.0 |
ポイント9
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40.0 |
ポイント10
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45.0 |
ポイント11
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50.0 |
ポイント12
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55.0 |
ポイント13
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60.0 |
ポイント14
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65.0 |
ポイント15
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70.0 |
ポイント16
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75.0 |
ポイント17
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80.0 |
ポイント18
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85.0 |
ポイント19
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90.0 |
ポイント20
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95.0 |